■□■ ミラクル9デイズ □■□






 謎の誕生日休暇とやらで山本がマチュピチュ遺跡まで雲雀を追いかけて行ってしまった結果、ツナと獄寺と草壁の三人が額をつき合わせるという、世にも珍妙な事態となってしまった。もともと仕事上の付き合いも長いので問題はないが、奇妙な光景である感は否めない。
 しかし雲雀の代わりにやってきた草壁は話がわかる男であり、かえって仕事ははかどっていた。何しろ雲雀ときたら、自らの手の内は絶対に明かさず、気が変わっただけではないかと思えるような変節もしばしばあり、何が気に入らないのか突然部屋を出て行ってしまうこともままあった。
 その点草壁は自分の立場をわきまえており、交渉相手としては申し分がない。態度は誠実かつ実直であり、話によけいな脱線や転変もなく、交渉術にも長けており、用意してきた資料や契約書は完璧で、一流のビジネスマンと言って差し支えないだろう。

「いやぁ、草壁さんが来てくれて助かりました」

 なだめたりすかしたりする必要がなく、会話がちゃんと成り立って交渉が円滑に進んだおかげで、いつもの五分の一以下の時間で話がまとまったことから、ツナは心からそう言って草壁の労をねぎらった。

「いえ、本来ならばヒバリが来るべきところ、代理での契約となってしまい申し訳ありません」

 恐縮して頭を下げる草壁に、ツナは笑って頭を上げるようにうながした。

「ったく、端からこうしてりゃよかったんですよ。山本の野郎なんざ、ヒバリの尻追っかけてどこへでも行っちまえばいいんだ」

「まぁまぁ、獄寺くん。山本がヒバリさんと一緒に行ってくれてるおかげで、こうして草壁さんが来てくれるんだからいいんじゃないかな」

「十代目のおっしゃる通りです。山本なんざ、ヒバリのヒモになってりゃいいんです!」

 毒づくと言うよりむしろ力説する獄寺に、ぽつりと草壁が言った。

「いえ、むしろあれは『主夫』かと……」

「…………」

「…………」

 思わず同時にこぼれた三人のため息は、どこまでも深い。





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