るてるてろんげ
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明日は苦手な小学校で4回目の運動会。
3月生まれのぼくは、どうしてもみんなより遅くなってしまう。先生とかも「君は3月生まれだからね」って言ってくれるのに、なんでボクより1年も早く生まれた子と走らせようとするんだろう。 ボクはティッシュで大きな「てるてるボーズ」を作って、ベランダから逆さにつるしてみた。マンガとかによく出てくるやつ。あんまりキキメないらしいけれど……。 雨が降りますように。雨が降りますように。ボクは空に思いっきり気持ちをこめた。でも多分、大丈夫じゃ、ない。 朝になって。雨は降らなかった。しかも、すごく晴れている。 「運動嫌いはお父さんの遺伝だなぁ」 パパが、ぼくの「てるてるボーズ」を、はずした。 「体育大会て、俺も嫌いだったよ」 パパはそういいながら、ぼくのてるてるボーズの、首のとこの輪ゴムで作った結び目をほどいた。 ボクはとてもつらい。競争とかでビリになったら、クラスの点数が下がる。1位が取れなくなってしまう。点数をつけてない学校がとても羨ましい。 みんなに文句を言われてるぼくを、想像してたら、ちょっと泣きそうになった。 ちょっと泣き声が出そうになった時、ぼくの頭にパパの大きな手が乗った。 「こうしてみたらどうだ?」 パパはこないだ行ったクリ拾いのときの、クリのトゲトゲをぼくの作ったてるてるボーズの頭にうめこんでいた。顔のとこだけ、ハサミで上手に切ったらしい。てるてるボーズの頭からトゲがはみ出て、昔の不良マンガの脇役みたいになった。 「ボーズは頭ツルツルで、ピッカリいい天気。だから、ロンゲにしてみたよ。るてるてロンゲ、だ」 パパは親指を立てて、ニッと笑った。 でも、今、空は晴れていて。ぼくは体育大会に出ることになった。遅いよ、パパ。 「遅いよ〜」 ぼくはやっぱりみんなに文句を言われた。でも、思ったほどでもなかった。それがなんだか変にいらいらした。 ちょっと落ち込んで部屋に戻ると、ぼくの机に「るてるてロンゲ」が置いてあった。邪魔だから、カーテンをつるすやつの端っこに適当にかけてみた。ちょうど、るてるてロンゲはさかさまを向いた。 その時、ざーっと大きな音で、雨が降り出した。 「遅いよ……」 ぼくは「るてるてロンゲ」に言った。 なんだか、嫌な気分がした。とりあえずマンガを読んだけど、なんだか面白くない。 「ごめん」 とりあえず、「るてるてロンゲ」に言ってみたら、すぐに雨がやんだ。グーゼンだろうけど。 「るてるてロンゲ」はとりあえず、ぼくの勉強机の引き出しの中にしまった。毎日雨だったら、困るもんね。 |
mixiブログに書いたものをちょこっと修正。運動会、嫌いだったな……。
この話、思いいれ、あんまりないです。すいません……。
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