午後の陽だまり〜咲く

 

 ちょうどいい光。ちょうどいい水。優しく話しかけてくれる声。
 私はゆっくりと育てられている。
 私は、観賞用の花として、改良されてきたそうだ。だから、私は身に余るほどの花を咲かせてしまう。
 あの人は、いつも「ごめんね」と、すばやく余分な花を切り落としてくれる。(すばやくするのは、痛くしないように、だそうだけれど、私にはよくわからない)

 いつの間にか、私の毎日は、光と水と声がめぐるようになっていた。そして、それ以前はどうしていたか、わからない。
 ただ、私がここにいるだけで、私が花を咲かすだけで、声が気持ちいい響きに変わる。

 あの人は、誰にも言えない話を私に聞かせてくれる。
 あの人は、いつも私を褒めてくれる。
「今日も綺麗だよ」って。(その後に、「私も言われたいな」とため息をつく日もある)

 花を咲かせよう。もっと花を咲かせよう。私の体中が、花を咲かせようとしている。
 生きるため? 種を残すため? あの人のため?
 私にはわからない。
 ただ、光と水と声は巡って、それだけで私にはきっと幸せな毎日。

 ……いつか。
 ……いや、もうすぐだと思う。
 私は枯れていく。

 私は、私の中をめぐった、光と水と声を持って、土になりたい。そして、私は再び、命を育んでいきたい。
 あの人が、私がいなくなったこの場所に、種を植えてくれたらいいな。
 土になった私が、また花を咲かせてあげたい。

 ずっと、私を喜んでくれたあの人に。

 ありがとう、トモダチ。

 

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mixiブログに書いたものを修正。前ページの続きです。
個人的に相変わらずクサイながらも気に入ってる話の一つです。
読んでくださる方も気に入っていただけたらいいなと。


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