- 421 名前:初仕事31:2006/11/16(木) 01:34:22 ID:ePZ3TYgd0
- 力の入らない手で、キャンディの包みをガサガサいわせながら開ける。いくつか掴んでヒッツレに
滑らせた。じっと見つめてくるその目元が、すこし切なそうにゆれた気がした。何を考えてる?
いくら見つめても、ヤツの思いは少しも読めない。でも要らなくはないよね。食べてよヒッツレ。
僕からの、ささやかなプレゼントだ。破滅の夢のおすそわけ。
袋の口をぎゅっと掴んで、ハイハイをする。そうしないと進めない。もたもたと手足を運ぶ。
がさがさとセロハンの袋が鳴る。
ガチャメの近くで僕は少し躊躇したけど、やっぱり立ち止まって袋の中に手を差し入れた。
二個、三個…ガチャメに向かって床をすべらせる。あんたにも分けてあげるよ、僕の狂気のかけら。
こういう仕事ってないかな、商品名を考えるような仕事。今の僕に考えさせたら、世界一いい
ネーミングをひねり出してあげられるのにな。
心の中の混沌とは裏腹に、実際の僕は不甲斐ないの一言に尽きた。赤ん坊にさえ追い越されるよ、
こんなハイハイじゃ。つなぎの下半分は全開のまま、胸までめくり上げられた名残で、左右に
開けっ放しだ。のそのそ這いながら、背後にツメカミの気配を察している。ヤツは僕より先に
血圧を測り、またゼリーを手にしていた。飲みもしないゼリーのパックを両手に抱えて、
嬉々としていた顔。きっと思いついたばかりの次の悪戯にわくわくしてたんだろう。そして、
その相手は僕だ。もっとひどい目に遭わされて、悲鳴を上げさせられるのは、他ならぬ僕。
ゼリーのパックを床に投げ出す音がした。そう思った途端、僕は悲鳴を上げていた。
「ぎゃぁっ」
突然脚の間に痛みが走った。痛み? いや、なんと言うんだろう。抜ける!かな。ちぎれる!かも。
「こーんなフリフリしちゃって、遊んで下さいって言ってんだよなあ」
むき出しのままの脚の付け根。そりゃ、後ろから見てれば手も出したくなるね。僕の脚の付け根に
生る卑猥な実。ガキの目には、思わずひっぱりたくなる代物だったろう。力任せに握って、その
根元から引きちぎるつもりなのか、むやみにひっぱるんだ。僕は悲鳴をあげながらのたうつ。
- 422 名前:初仕事32:2006/11/16(木) 01:39:29 ID:ePZ3TYgd0
- 脚の間を通して後ろ向きにひっぱられるのって、かなり辛い。痛いっていうんじゃないんだよ、
もうじっとしてられないって言うか、世も末だって感じ。ちぎれる、ちぎれる!
ぱっとその手が離れる。急に解放されて、僕は息を荒げて体を丸める。でもこの姿勢、後ろにいる
ツメカミから見れば、かえってそこがあらわになってそそるかもしれない。
「突っ込んで欲しいなら早くいいなよ、ホクロちゃーん」
たぶん丸見えになってる僕の中心に、ツメカミが平手打ちを浴びせる。その音は、皮膚がぶつかる
ものだけではない、濡れたような響きを含んでいる。きっとツメカミの手には、ヤツ自身が僕の
中に吐き出した体液がへばりついたにちがいない。
ちょうど、血圧計から出た記録紙をヒッツレが手にとったところだった。ツメカミは大またで
近づくと、一言もなくすいっとその紙を取り上げる。腕の影から盗み見ると、ヒッツレがそんな
ツメカミをじっと目で追っていた。いつものように、無表情のまま。
「おーもしろいこと考えたー」
ツメカミが歌うように言う。ご機嫌だな。いやな予感しかわいてこないよ。
ヤツは、ヒッツレの手から奪い取った薄い記録紙をちゅるちゅると撚って、こよりのようにしている。
「なあ、これどうすると思う?」
壁際に戻ったヒッツレが、僕の渡したキャンディを口に入れるのが見えた。記録紙を取り上げられ
たんだ、引き換えに出てくるはずのエサにはありつけなかったらしい。赤いアメの怪しい色が、
ヒッツレの舌を染めていくんだな。想像したら、身震いが背を走っていく気がした。
「ぎゃあっ!」
乱暴に脚を開かされた僕は、絶叫していた。ツメカミが、僕の先端に硬いこよりを突き合わせて
きたんだ。
「痛い!いやだぁっ!いた…!」
めちゃくちゃに暴れる。また殴られるんだろうな。でもこれは痛いよツメカミ。ひどいって。
あんまりだ。
「やめてよっ!痛いっ痛いっ」
- 423 名前:初仕事33:2006/11/16(木) 01:40:21 ID:ePZ3TYgd0
- ツメカミはかなり嬉しそうに、ひゃっひゃと声を上げて笑っている。細いこよりだけど、ほんの
少しも僕の中には入ってこない。わざとそうしてるのか、それともやっぱり入らないものなのか、
先端でちくちくと抜き差ししている。
「痛え?なあ、すげえ痛え?」
「痛いっ…痛いっ…痛いよっ、いた…」
大きな声を出すと余計に痛みがひどくなりそうで、僕はそろそろと声を絞った。床を手で打ち、
脚を突っ張る。暴れるとかえって怪我をさせられそうで、どこにも力を入れられない。
「ぎゃああー!」
まっすぐにツメカミが差し込んできた。ぐっと尖った感触が、僕の一番やわらかいはずの粘膜を
こそげて進む。
「すげえ、入った。入ったぞホクロ。痛え? なあっ」
ハッ、ハッ、と浅く息を逃しながら、僕は耐えた。痛い。そこから血が噴き出しそうなほど熱い。
手も足も、指先を床に吸い付かせるようにしてもがく。けれど、余分な痛みが怖くて、体を大きく
動かすことは出来ない。
「ぐあっ…! な、に、すんだよ…っ!」
いきなりツメカミが横へ飛んだ。飛んだんじゃない。飛ばされたんだ。
僕の脚の間にいたはずのヤツは、離れたところに転がっている。なんだろう、何が起こった?
見上げると、代わりに僕の脚の間に立っていたのは、ヒッツレだった。
なんだろう。相変わらず冷静な顔だけど、目の下あたりがほんの少し上気したように見える。
ただ興奮してるだけなのか? カラリ、とヒッツレの口の中が鳴る。ああ、僕のあげたキャンディだ。
今までのより大粒だったから、まだ口に残ってたんだな。
「てめ…なんだよ!」
不意打ちで転がされたのが、よほど腹立たしかったんだろう。ツメカミの顔は真っ赤だ。怒りと
苛立ちとで目がつりあがってる。床にダンっと手をついて立ち上がると、ほぼ同時に突きを打った。
ここまでです。
- 424 名前:風と木の名無しさん:2006/11/16(木) 04:35:36 ID:rizc9I8K0
- 痛ぇ―――!!!! (*´Д`)ハァハァ
- 425 名前:リレー:2006/11/16(木) 08:08:34 ID:WvGeZKspO
- 能面の方がまだ雄弁に感情を語るだろう。何を考えているか読み取れない表情で、
従兄弟は侍に歩み寄ると男どもから侍を取り上げた。
半狂いの侍は従兄弟に焦点を合わせることなく、あにさま、あにさま、と
音の無い声で繰り返している。従兄弟は侍の両脚の間に腰をおろし、
股をおっぴろげた。よどんだ白濁が侍の尻の狭間から腿に伝い、流れ落ちてゆく。
従兄弟は侍の奥を濡らしている分を掻き出すべく、
ほっそりとした長い指を三本侍の菊座に突き刺した。中を開き指を蠢かす度、
侍はぬめったものを吐き出し、襞から下垂らせながら、
陰道をひくつかせて従兄弟の指に吸い付いた。あにさま、あにさま、と
繰り返しながら侍は丸出しの尻で従兄弟の指をねぶる。
自分の右の指と濡れそぼった侍の孔が立てる粘ついた音を聞きながら、
従兄弟は左の指先で、そこだけ日に焼けていない丁字の白抜きをなぞり、掌で撫でた。
御前や他の男どもの名残をあらかた掻き出した従兄弟は、指を引き抜き
熱い塊をぐずぐずの襞に押しあて、亀頭を潜り込ませると無言で貫いた。
中心を猛らせ先端をしとどに濡らしながら、もはや誰に何をされているのか
頭で追えなくなっていた侍は、中を犯す太さと熱さにあ、あ、と息をつまらせた。
突き上げられ、揺らされ、切ない疼痛に悶える侍の、半開きの口から涎が伝う。
うるみきった眼からは、涙が溢れ紅潮した頬を濡らす。
従兄弟が侍の痴態を見おろし、何を思い腰を振っているかまでは、
さすがの御前もわからない。わらないが御前は、
優美な男が軍馬のような武士を穿っている絵的な面白さを、
血の繋がりのある者同士が交わっている生々しさを、心から楽しんでいた。
バトンお渡しします。
- 426 名前:風と木の名無しさん:2006/11/16(木) 09:11:13 ID:7fJf0JngO
- 初仕事タンGJ
リレー侍GJ
(;´Д`)ハァハァハァハァ
- 427 名前:テュランの筏1/6:2006/11/16(木) 12:05:19 ID:tityRqBT0
- 二日目
床になにかを叩きつける音で、僕は目覚めた。
防水タープにくるまった身を起こし、音のほうを見る。
クリフが忌々しさを隠しもせず、上着を藤吾の目の前に投げ捨てたのだ。
態度はでかいが、クリフの体躯は華奢と呼べるものだった。
筋肉がつきにくい体質なのだろうか、全体的にすらりと締まっている。
腰まわりの造けいは、そのまま彫刻の題材にしても構わないくらい整っている。
「水だ」
言い放つクリフに、藤吾はうやうやしく水を差しだした。
嫌味がふくまれた動作である事は、その表情を見ていれば分かる。
奪い取り、クリフは足音荒く、いかだの隅へと戻ってきた。
彼の分のタープは………ほとんど使われていないままだった。
夜中に何度か、横で寝苦しそうにしているクリフに、僕は気付いていた。
その原因が………喉の渇きである事も。
もっと強く勧めて、分ければ良かっただろうか。
そんな罪悪感を抱いた僕の視線を感じたのだろう。
クリフは振りかえり、舌打ち一つすると、乱暴にひねって開けたボトルを一口で飲み干した。
- 428 名前:テュランの筏2/6:2006/11/16(木) 12:06:10 ID:tityRqBT0
- 「では今日は下を脱いでもらおうか」
藤吾はその言葉を鞭とし、トランクから取り出した品を飴とした。
水のボトルと、それから黄色いパッケージのブロック型食料だ。
楊玲は、多少はプライドとかそう言ったものを取り戻していたのだろうが………それでも昼前に脱落した。
言ったら悪いけど、たぶん彼は節度とか節制とか、そういった部分が抜け落ちている。
楊玲は育ちきったばかりの下半身を露わにして、せわしなく開封した固形食品をほおばった。
粉と甘い香りがまじってあたりに広がる。
それを嗅いだとき、僕の胃袋はみじめに鳴ったし、傾けるボトルを見たときには、やはり喉がざわついた。
クリフはずっと藤吾にも楊玲にも背を向けたままだった。
藤吾は………にやついた笑いを隠そうともせず、楊玲の足の間をただただ直視する。
それを見ていると、僕はまだしばらくは我慢できそうな気がしたものだった。
- 429 名前:テュランの筏3/6:2006/11/16(木) 12:07:14 ID:tityRqBT0
- 空腹と渇きをごまかすため、僕は色々考え事をした。
四方の景色はまったく変化が現れず、どこまでも海と空。
見ているだけで気が狂ってしまいそうだったから。
最初はクリフに話しかけてみたが、彼はつっけんどんだし、
僕が一方的にしゃべりつづけて、喉が渇くだけのオチだった。
だから、頭の中でめぐらせるのがいい。
藤吾の黒いトランクを、今回はテーマにしてみた。
水と食料のほかに、何が入っているのだろう。大きさは軽自動車のボンネット部分くらいある。
ペットボトル数ダースと、固形食糧を詰めこんでも、まだ余裕はありそうだ。
脱ぎ捨てた僕らの上着を、ていねいに畳んでしまいこんだのも、このトランク。
何を考えているのだろう、持ち主ともども。
傷一つない革の表面は、陽光を浴びてギラギラと輝いている。
それはまるで、楊玲の全裸を凝視した藤吾の瞳の色にも似て………僕は思考を中断した。
- 430 名前:テュランの筏4/6:2006/11/16(木) 12:08:16 ID:tityRqBT0
- 日が沈んだが、昼間中太陽に温められた海の水は、ぬるいままだった。
喉が渇きすぎて、感覚がおかしくなってしまったのかもしれない。
タープの上に横たわり、海水にひたす手は、ちっとも渇きに喘ぐ身体を癒さない。
僕の身体が、海の水の塩気だけ抜きとって、真水を吸いこむスポンジだったらなぁ、と考えるあたり、すでに朦朧としていたのかもしれない。
月のない夜だった。いかだの上に明かりはなく、なびく帆の影も、闇にまぎれて判別できないほどだ。
胃袋が鳴りそうになり、僕はうつぶせになり、腹をおしつけた。
聞いてしまったら、きっとくじける。
渇ききって唾液もわかない口の中は、それでも楊玲が食べていた甘い香りを記憶していた。
最後に食べたのは客船の夕食。
内容は何だったっけ………もう、記憶もあやしい。
脳からも水分が消しとんでいるのだろう。
と、横で身動きする気配があった。クリフだ。
すでにいかだの端に固まっているのは僕と彼だけだった。
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