321資料室:2007/02/17(土) 20:11:43 ID:/AJmdt/50
「ひっ」
ぐちゅりという音がした。
祐一の後孔に、高崎の指が入り込んだのだ。
「わからないかなあ……わたしはね、君のことを気に入っているんだよ。
いい感じに仕込めてきたんだし、そう簡単に手放したりしたくはない」
「あぅ、ぁ…俺は……、あんたの玩具じゃない…!」
「声が大きいってさっきから言っているだろう…。本当は気づかれたいのかね…君は」
「いっ、あ……、んんーっ」
指が三本に増やされた。柔らかい内壁を掻き回され、祐一は身悶えた。
「ふふ、ここだったね?」
「ぁ……、あぅ…っ!」
前立腺を強く擦られたのだ。どうしようもない快感が湧き上がってくる。
だが、性器の根本はつづり紐でぎちぎちに縛られたままなのだ。
「……あ…も、早……く、終わらせてくださ……っ……」
祐一はプライドをかなぐりすてて高崎に哀願した。
身体を好き勝手に玩ばれるのも耐えがたかったが、
何よりも今、自分たちがいるのが会社だというのが祐一の神経をずっと苛んでいた。
もしかしたら、誰も入ってこないだけで、この気配を気づかれているかもしれない。
同じ辱められるにしても、密室のホテルの方がまだ我慢できる……。
だが、高崎は平然として言ってのけた。
「そうか、会社が嫌かい。じゃあ、今度もまた会社でやろうか」
「だから、嫌だって…」
「君が嫌がるからいいんじゃないか」
「そんな……」
祐一が嫌がれば嫌がるほど燃えるというのだろうか。
いくらなんでも酷すぎる……。
祐一は、とうとうずっと抱えていた疑問を口にした。


322資料室:2007/02/17(土) 20:12:45 ID:/AJmdt/50
「何で俺なんですか……俺が一体何をしたっていうんですか……」
高崎は一瞬指を動かすのを止めた。
そして、こう答えた。
「…顔、かな?」
「え?」
祐一は眉をひそめて、高崎を睨み返した。
高崎はそんな祐一の頬を撫でながら、にやりと笑い返した。
「この系統の顔が好みなんだよね。こう、泣かせてみたいなあっていうか……、
そそるというかさ」
「そんな理由で……」
どうしようもない怒りがこみ上げてきた。
祐一の脳裏に、最初に会ったときの記憶が蘇る。
祐一を見て、高崎は驚いたような顔をしていたはずだ。
ああ、やっぱり。
最初に会ったときから目を付けられていたのだ。
あのときから、こうなることが決まっていたのだろう。
それなのに、何も知らずに自分はのんきなものだった。


323資料室:2007/02/17(土) 20:13:26 ID:/AJmdt/50
「ここ、辛そうだね。かわいそうに…」
そういうと高崎は祐一の性器の裏筋を爪でなぞり上げた。
「ひっ、止めて! あぁー…っ……」
高崎はすでに祐一の中で一度、欲を解放している。
だが、祐一は根本を縛り上げられたまま、延々射精を許してもらえていなかった。
地獄だった。
開放できない苦しさと切なさに、祐一は苛まれていた。
「淫乱な子だね」
「う…違……」
「へぇ、何が違うんだね。大股広げて汁まみれになって、恥ずかしくはないのかね?」
「う…ぅっ……」
高崎の言葉に、祐一は耳まで赤く染めた。
どれほど憎まれ口をたたいても、身体は完全に高崎の支配下にあった。
結局逆らえない。
どんな淫らな行為を強要されても、それに従うしか選択肢は残されていないのだ。
「もう…許してください……お願いです……」
「嫌がって悶えて、いやらしく腰を振って。本当にかわいい……」
高碕は祐一の右乳首を口に含み甘噛んだ。
「あ、ん……、ふぅ…っ、あ、あぁ…」
指で、歯で嬲られた右乳首はすっかり腫れ上がり、
少しの刺激にも敏感に反応するようになってしまっていた。


324資料室:2007/02/17(土) 20:14:20 ID:/AJmdt/50
「ごめんなさい…、もう、あんなこと言いませんから……」
身体を意地悪く嬲られ続け、とうとう祐一は泣きながら謝罪の言葉を口にしていた。
さっき高崎を詰ったりしなければ、もう少し早く終わらせてもらえていたのかもしれない。
そんな後悔に襲われたのだ。
高崎は笑いながら祐一の左乳首のクリップをはじいた。
「別に怒っていないよ。訴えたいなら好きにしなさい、こっちもそのくらいの覚悟はある。
でも、どのみち君も会社を辞めることになる。世の中っていうのはそういうものだろう?」
確かにその通りだった。
祐一は被害者で、何一つ非があるわけではない。
だが、祐一がどんな目にあっていたのか知られれば、会社にはもういられなくなるだろう。
「まあ、そうなったら責任を持って私が君を飼ってあげるから、心配要らないさ。
たまには服を着せてあげるから、二人で散歩でもしようじゃないか……」
「あ………?」
両脚を抱えられ、大きく広げられた。
そして、こぷんという音をたてて、再び高碕が祐一の中に入ってきた。
「あうぅっ!!」
両足を抱えられ、ゆっくりとした動きで責められる。
熱く溶け出しそうな快感が、腰から全身に広がってゆく。侵食されそうだった。
何も考えられなくなる。もう何も考えたくない……。
「ふぅ…んっ、んんーっ、………ぅ、…んー……っ」
高崎は、祐一の屈辱と快楽の狭間で喘ぐ祐一の表情を見下ろした。
(そうだな)
顔が好きだという言葉が、一番正しいのだろう。
この顔が、自分の腕の中で喘ぐのをもう一度見てみたかった。
最初に会ったときには驚いた。
雅弥にとてもよく似ていたから。


325資料室:2007/02/17(土) 20:16:42 ID:/AJmdt/50
高崎から見る祐一は、真面目だが控えめで大人しい青年だった。
(顔立ちは確かに似ているけれど、雅弥と性格は正反対だな)
そんなことを思ったものだった。
だが、同期の友人たちといるときに見せる無邪気な笑顔は雅弥そのものだった。
その祐一は、いま高崎の手で剥かれて、涙と精液にまみれて喘いでいる。
突き上げるたびに祐一は悲鳴を上げる。
声が聞こえてしまうよ、と意地悪く言うと、手で口を塞いで声を殺そうとする。
可愛らしいものだ……。
たとえばこれが雅也だったらどうだっただろうか、と高崎は考えた。
こうはいくまい。
資料室などで襲おうものなら、即座に股間を蹴り上げられ撃退されただろう。
その上でエロ中年と罵られ、一週間はお預けだったに違いない。
とてつもなく気まぐれで、わがままだった。
好物のチョコクッキーが切れたときは深夜でも買いに行かされた。
すぐ拗ねる。
そのくせ、気持ちよくしてやったらすぐに機嫌を直す。
気に入らなければ蹴りを入れられる。
死ぬときもあっさりと死んだ。


326資料室:2007/02/17(土) 20:19:38 ID:/AJmdt/50
死んだのは階段から落ちて頭を打ったせいだった。
なんというか、どこどこまでも感傷に浸らせてくれない男だった……。
一緒に暮らした一年にも満たない時間は、それであっけなく終わりとなってしまった。
自分たちらしい別れだったと思う。
ただ、それ以来どことなく、何をしても満たされるということが
無くなったような気がするのはなぜだろうか。
さびしいというのが、こういうことなのかはわからない。
何もわからなくなってしまった。
結局何をしようと、祐一は祐一で雅弥ではない。
自分は祐一を雅弥の身代わりにしたいのか、
それとも祐一を傷つけることで、自分も傷つこうとしているのか。
それとも――自分は、もしかして遠回しに破滅を望んでいるのか。
(とりあえず、気持ちよければそれでいい……それでいいさ)


327資料室:2007/02/17(土) 20:21:10 ID:/AJmdt/50
高崎は張り詰めた祐一の性器を強く握りこんだ。
「んんーーー…っ!!」
「はは…辛いかい?」
「ん…」
「イきたいかい?」
「ん……」
もう祐一には物事をろくに考える力が残っていなかった。
半開きになった口からは、とろりと唾液が滴り落ちている。
もう限界だ……。
どうでもいいから、早く終わらせて欲しい。それだけだった。
「そうだな…」
上体を折り曲げ、高碕が囁いてくる。
高崎も感じているのだろう。息が熱く乱れているのが感じられた。
「そうだな……たまには下の名前で呼んでごらん。悠って」
なんだろうか。高碕の下の名前なんて初めて聞いた気がする。
「………はるか、さん」
すがりつくような思いで、祐一は口にした。
「はるか……さん…悠さん、お願いです……」
高碕が笑ったような気がした。
ああ、止めときゃよかった、とかなんとかつぶやいたような気もする。
けれど、もうよくわからなかった。
口に再びネクタイを押し込まれ、声を封じられた。
根元の紐が一瞬ぴんと張る。そして、するりと解かれた。
「ー……っ!」
高碕に強く扱かれ、祐一は射精した。
せき止められ続けていた快感が一気に開放され、目の前が白くなった。
同時に、高碕の二度目の吐精を自らの後ろで受け止めていた。


328資料室:2007/02/17(土) 20:22:01 ID:/AJmdt/50
(室長……?)
ドアの閉まる音が聞こえた。
自分の意識と身体が、自分の元に戻ってくるのをぼんやりと感じていた。
身体の表面は一応拭かれていた。服もいつのまにか整えられている。
それでも、一時間ほどの間に二度にわたって抱かれ、さんざん嬲られた身体は
消耗が激しかった。
腰は痛むし、乳首などはシャツに擦れるだけでぴりぴりする。
中に出された体液も、当然そのままだった。
高崎の言ったとおり、今は忙しい時期ではないので、自分ひとり抜けたとしても大丈夫だ。
一度戻って、きつければ早退をさせてもらおう…。
「……あれ」
身を起こして、自分のすぐ脇にファイルが二冊置いてあるのがわかった。
中身をみると、間違いなく自分の探していた資料のファイルだ。
高碕が自分の代わりに探しておいてくれたとのだろう。
祐一はファイルを抱えて立ち上がった。
足元がふらふらする。これなら、具合が悪かったといっても怪しまれないだろう。
(そういえば…)
高崎の下の名前の読み方を初めて知った気がする。
名簿で漢字だけ見て、「ゆう」と読むのだとばかり思っていたのだが。
高碕悠……。高崎……………。
「……似合わない名前」
祐一はドアを開けた。
スチールの扉がゆっくりと閉まり、やがて鍵のかかる音が響いた。
祐一の呟いた言葉は、無人の資料室の中に落ちたまま消えていった。

【END】


329資料室:2007/02/17(土) 20:25:00 ID:/AJmdt/50
これで終わりです。
最後まで読んでくださった方ありがとうございました。

途中ではさんでしまった方すみません…

330風と木の名無しさん:2007/02/17(土) 20:25:23 ID:U92vpWEs0
資料室さん、リアルタイムで読めたー、嬉しい。
ちょっと久しぶりでしたけど、王道で楽しみました。

今日は投下祭り状態かなぁ、嬉しいなぁ。


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