You are my baby 








「お前さ、何よさっきのアレ」





人気の無い屋内練習場まで来ると、重ねられたネットの上に栄純を下ろして御幸は言った





「・・・ほんとの事でしょ」
「そりゃそーだけど、あの言い方は誤解されるだろ」
「何の誤解ですか」
「・・・・・・」




確かに栄純は『子供の作り方』は知っている
それは御幸が無理やり見せたAVと、無理やり植えつけた性知識からであるが





(まだ、ヤッてねーし)





自業自得と言うべきか、御幸は苦笑いする
栄純は相変わらず頬を膨らませながらツーンとそっぽを向いていて




「沢村〜〜?」




その可愛げのない(ある意味可愛いすぎる)態度に、御幸が眉を顰めながらグイッと顎を掴むと尖った唇からぶふーっと色気のない空気音が出て思わず笑ってしまった




「色気ねーの」
「!!」




いつものシニカルな笑いじゃなくて、本当に心から笑っている
どこか無邪気なその顔に栄純は一瞬見惚れたが、すぐに眉間に皺を寄せてぼそりと呟く





「・・・悪かったな」
「え?」
「どーせ俺は色気もねーし、子供の作り方だってアンタが無理やり教えてくんなきゃ最近までわかんなかったガキですよ」
「沢村」
「オンナのヒトみてーに胸もねーし、子供だって生めない」
「!!」





御幸が今まで付き合ってきたたくさんのオンナのヒトと比べられても、
元から勝てるわけねーじゃん




そう言うとポロポロと涙を零して栄純は泣き始めた





「バカ、誰がオンナとお前を比べてんだよ」
「うぇ・・・だって倉持先輩が・・・」




(倉持・・・余計な事言いやがって・・・!!)




「俺はお前がいいの!お前じゃなきゃ、駄目なんだよ!」
「・・・嘘だ」
「信じろよ」
「じゃあなんで・・・」
「?」
「なんで何もしないんだよ!?」
「・・・は?」





2人は確かにまだそういう関係ではない
でもそれは御幸が栄純を大事にしているからこその事なのだけど






「俺、アンタが思ってるほど子供じゃない・・・っ」









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