「詩織ちゃん、電話よ」
階下から母親の呼ぶ声が聞こえる。
「誰から?」
階段を降りると、受話器の口のところを押さえた母親がいた。
この電話機には保留機能があるのに詩織の母親はそれを使おうとしない。
「美樹原さんよ」
受話器の口を押さえたまま詩織に手渡す。
「えっ...メグから?」
今は夏休みの最中。
部活動には所属していない愛とは学校で出会うことはなかった。
本来親友であるふたりは、普段であれば事あるごとに一緒に出かけていただろう。特に、夏休みともなれば。
しかし、あの陵辱の日以来、愛とは疎遠だった。
「もしもし」
「あ...し、詩織ちゃん? 愛だけど...今日、時間ない?」
電話ごしの愛の声は、少し元気がないように感じられた。
詩織には、愛がそれを感じさせないように懸命に明るい声を出そうとしていることまでわかった。
「えっ、うん...今日は大丈夫だけど」
「よかったら、一緒にお祭りに行かない?」
そういえば、今日は近所の神社の夏祭りだ。
「え...いいわよ」
「よかった...じゃあ、6:00に神社の入り口で...」
少しの間の後、思いきった様子で、愛は言った。
「あと...浴衣、着てきてね。私も着ていくから」
「うん...わかったわ.....それじゃ」
ゆっくりと受話器を戻す詩織。
「美樹原さん、なんだって?」
受話器から手を離し、決意したような表情で、母親の方を向く。
「ママ...浴衣あるかな」
詩織は、愛が何か隠し事をしていることがすぐわかった。
そして、大田がからんでいる事もすぐに察知した。
でなければ、愛は詩織に浴衣を着てくるように言うはずがない。
きっと、大田にそう言うように命令されたに違いない。
「はい、できたわよ」
しばらくして、母親から浴衣を着せてもらった詩織。
濃紺に朝顔の柄があしらえてあるその浴衣は、清楚な詩織に古風な魅力をつけ加えた。
約束の時間の10分前に、詩織は神社の入り口に着いた。
みかん色の夕焼けに長い影をうつしながら、愛はすでにいた。
ふたりの待ち合わせはいつもこうだった。
約束の時間30分前に愛が到着し、その20分後に詩織が到着する。
愛は白い浴衣に、椿があしらえてある浴衣を着ていた。
詩織を見つけた愛の顔が、ぱっと明るくなる。
「詩織ちゃん...」
しかし、その顔はすぐに暗くなる。
詩織は愛の心情を察し、明るく言った。
「わあ...いい浴衣ね、買ってもらったの?」
「う...うん」
詩織の声に、愛の表情は少し明るさを取り戻した。
「じゃ、行きましょ」
詩織は大田のことは一切口にせず、愛と祭りを楽しんだ。
金魚すくい、ヨーヨー釣り、輪投げ...。
そこにはいつもの仲の良い詩織と愛の姿があった。
神社のはずれにある森にやってきたふたり。
というよりも、愛に導かれてやってきたという方が正しいだろうか。
人気はなく、祭囃子が遠くからかすかに聞こえてくる。
「ごめんね...詩織ちゃん...ごめんね...」
前を歩いていた愛は、立ち止まるなり詩織に背を向けたままそう言った。
何の事に対して謝っているのか、すぐにわかった。
「メグが謝る必要なんてないわ」
愛の小さな肩が、僅かに震えている。
「詩織ちゃん...」
ゆっくりと振り向いた愛の瞳には、今にもあふれださんばかりに涙がたまっていた。
そして、悲しそうな表情のまま、愛は浴衣の帯に手をかけ、それをほどきはじめた。
「メ...メグ?」
するりという布ずれの音と共に外れる帯。
それと同時にはらりとはだける浴衣。その下には何もつけていない愛。
浴衣の裾の奥からのぞく、愛の未成熟だが白く美しい裸体。
しかし、詩織の瞳には信じられないものが飛びこんできた。
思わず、息を呑んでしまう詩織。
そこには、わずかに生えたアンダーヘアーを押しのけるようにして、男性器があった。
「メ...メグ...」
驚きを隠せない詩織。
その表情を見て、愛の涙がつうっと頬をつたう。
しかし、涙を流しながらも無理に笑おうとする愛。
「私...私...もう...もう...普通の女の子じゃ...なくなっちゃったの...」
しかし、耐えきれなくなったのか、言い終えたあと、ひっく、ひっくとしゃくりあげはじめる。
「ぐすっ、こんな...こんな...ひくっ、汚れた私じゃ...詩織ちゃんのお友達じゃいられないよね...」
その両目からは、堰をきったように涙が止めどなくあふれ出していた。
詩織は、なぜ愛に男性器があるのか瞬時に理解した。
愛をそっと抱き寄せる詩織。
「あっ...」
愛の髪の毛を撫でながら、耳元でささやく。
「メグの身体がどんなに変わっても...メグはメグ...ずっと私の親友だよ」
大田に対する怒りもあったが、今はこの消えてしまいそうな存在を守るのが先だった。
「うええ...詩織ちゃん...詩織ちゃん...」
愛はとうとう、詩織の胸の中で子供のように嗚咽をもらして泣きはじめた。
詩織は愛が泣き止むまで、やさしく頭を撫でていた。
やがて少し落ち着いた愛は、しゃくりあげながら詩織に言う。
「うっ...ひくっ、ほ...ほんとに、ほんとに私のお友達でいてくれるの?」
すがるようなその瞳。
詩織は愛の問いの答えのかわりにそのまましゃがみこむと、目の前にある男性器をやさしく数回こすりあげた。
「だっ...だめっ! 汚いよ! 詩織ちゃんっ!」
びくんと震え、腰を引く愛。
「メグの身体で...汚いところなんてあるわけないじゃない」
詩織は本当にそう思っていた。
ゆっくりと男性器をこすりながら、詩織は上目づかいに愛を見る。
「気持ちいい...? メグ」
「あっ...くうんっ!」
返事はなかったが、その可愛いあえぎ声で詩織は十分だった。
その顔をもっと見たくて、詩織は愛の肌と同じくらい白い男性器を、ぱくりと咥えこんだ。
「あうっ! し、詩織ちゃんっ! そんなこと...」
詩織の口内の感触を敏感に感じとり、びくん! と激しく震える愛。
「うっ...くんっ、あんっ!」
じゅぷじゅぷと音をたて、愛の男性器を喉元深くまで咥えこむ。
唇をすぼめ、ぬるぬると愛の男性器を締めつける。そしてそのまま顔を往復させる。
「あふううっ! ううんっ!」
いままで忌まわしい思いしかなかった男性器であったが、
愛の身体についているというだけでなぜこんなにもいとおしいのだろうか。
詩織は懸命になって愛の男性器に愛撫を送りこんだ。
口の中で、男性器がどんどん大きくなっていくのがわかる。
大きくなると、詩織の口では全てを咥えきれないほどになった。
「んぷっ...」
ちゅぽんと口に含んだ男性器をぬく。
「わあ...こんなにおっきくなったよ...メグのおちんちん...」
天を突き、びくん、びくんと詩織の眼前で脈動する愛の男性器。
それは詩織の唾液と夕日のせいで、オレンジ色に塗れ光っていた。
「や...やだっ...見ないで...詩織ちゃん...」
真っ赤にした顔を両手で隠す愛。
「うふふ...かわいい」
つん、と亀頭を指の腹で突く。
その鈴口から漏れた液が、糸となってつうっと繋がる。
すぐ後ろにある御神木によりかかり、着物の裾を開く詩織。
「ね...来て...メグ...私のここに...」
片手で着物の裾をつまみ、指で自らの秘裂を広げて愛に見せる。
「い...いいの? 詩織ちゃん...」
戸惑う表情の愛。
きっと、大田に命じられていたに違いない。だが、詩織はそのことは言わずに、
「あっ...」
愛の腰を抱き、引き寄せた。
「ほら...ここよ」
そして、愛の男性器に手を添えて入り口まで導く。
「ほら、このまま腰をいれるの」
「ほ...ほんとにいいの?」
黙ってこくりと頷く詩織。
おずおずと、愛は詩織の秘穴に男性器を押しすすめた。
ずぷ...
「あくんっ!」
挿入の瞬間、ふたり同時に声をあげる。
「ゆ...ゆっくり...腰を動かして」
「う...うんっ」
愛の顔に全く似合わないグロテスクな肉棒は、ゆっくりと詩織の秘穴に入りこんでいった。
背の低い愛は、背伸びをしながらより深く挿入しようとする。
それに気づいた詩織は腰をおとして愛を迎え入れる。
「始まったか...」
ふたりが交わっている少し遠くに、大田の姿があった。
予想していたより早くふたりの情交が始まり、少しあわててビデオカメラを構える。
「お...大田くんっ、ま、またっ...出ちゃいますっ...」
大田のすぐそばにしゃがみこんだ未緒が、切羽つまった表情で言う。
大田の足元にしゃがみこんでいる未緒は額に玉の汗をうかべ、時折腹部からゴロゴロという音がしている。
「そうかそうか、好きなだけひり出せ」
未緒の方を見もせずに言う。
「うっ...んくうううっ!」
大田にすがりつきながら、耐えきれない表情でついに未緒は脱糞する。
あたりにブリリリリッという排泄音がひびく。
「おい、もっと静かに出せ、聞こえるだろ」
すがりつく未緒の前髪を掴み、乱暴にひっぱる。
「ごっ...ごめんなさいっ...あうううんっ」
しかしなおもブリブリという音が、未緒の尻穴から響いていた。
「メ...メグ...き、気持ちいい?」
愛の甘美な突上げになんとか意識を保ちながら、詩織は言った。
「う...うんっ...詩織ちゃんの中...とってもあったかくて...ぬるぬるしてて...」
夢中で腰を動かしながら、夢見心地でこたえる愛。
「やだっ...メグったら...でも...私も、メグのおちんちん、気持ちいいっ」
普段では絶対に自らの意思では口にしない隠語も、愛が相手だとあっさり出てくる。
ひょっとして、詩織は愛とこうなることを望んでいたのかもしれない。
愛の大きく反りかえった男性器は、計らずとも詩織のGスポットをこれでもかと刺激した。
「ああんっ...あふうっ...うううんっ...」
Gスポットをこすりあげられるタイミングで、詩織はひときわ高い嬌声をあげる。
負けじと詩織は、愛の男性器すぐ下にある、秘裂の肉芽にふれた。
「ほらっ...ここは?」
一瞬愛がビクンと震え、ピストン運動に特殊な力が加わる。
「あっ! だめっ!」
愛の制止を無視して肉芽をコリコリといじる。
「やっ...あっ! そこはっ!!」
詩織が肉芽にふれるたび、小刻みに身体を震わせる愛。しかしそれでもピストン運動は止まらない。
「気持ちいい? ...あっ...うううんっ」
はじめは余裕があったものの、クリトリスをいじったおかげでピストン運動に縦方向の力が加えられ、
詩織に対しての刺激もさらに強くなってしまう。
愛の男性器が詩織の中を出入りするたび、じゅぷじゅぷという音をたてる。
そのたびに、ふたりの少女の太ももからはしとどにあふれた愛液が伝い、地面に染み込んでいった。
大田とは違う、稚拙な腰つき。
しかし、愛の気持ちよさそうな顔を見て、詩織の官能はどんどん高まっていく。
「メ、メグッ!」
詩織は愛の顔を引き寄せて口づけする。
男の無骨な唇と違い、やわらかな少女の唇。
「ん...んむうっ...」
たまらなくなった詩織は、愛の口内に舌を忍びこませる。
一瞬目を白黒させた愛だったが、すぐに詩織の舌を、自らの舌で迎えいれた。
「んむっ...むっ...」
詩織は愛の口内を味わいつくすべく、
唇の裏、歯茎、歯の裏、そして舌の裏にまで舌を絡める。
そして唾液を愛の口に送りこみ、愛の唾液も受け取った。
舌をからめさせ、お互いの唾液をやりとりする。
くちづけをかわしたままのふたりの少女から漏れるくぐもった声と、
はだけた着物からは、白く美しい肢体がチラチラと覗き、その肢体には似つかわしくない男性器が出入りする様が見えた。
詩織は両足を使って、愛の身体を挟み込む。
浴衣の裾から覗いたふたりの少女の艶かしい足がからみあう。
詩織の脚には、愛のすべすべとした脚の感触があった。
詩織は愛がいとおしくてたまらなかった。
ミルクを溶かし込んだような白い肌、
フルーツのようなやわらかく、瑞々しい唇、
サラサラの髪に、そっと香るリンスの匂い。
どこを触れてもやわらかく、力を入れると壊れてしまいそうな身体。
男性器も愛の身体の一部であるならば、喜んで詩織は迎え入れた。
むしろ、目の前で腰を動かしている愛の官能にむせぶ顔を見たくて、自らも腰を動かしていた。
ふたりの少女が絡み合う様は、何よりも美しく、そして官能的だった。
「あっ、あん! し...詩織ちゃんっ、私もう...ダメッ!」
もう泣きそうな顔で、愛は言う。
「はあっ、ああっ、いっ、イク時は一緒よ...メグッ!」
愛の腰に手を回し、やわらかなヒップを引き寄せる。
ぐいっ、と更に深く愛の男性器が詩織の奥に届く。
「い...いくっ! いくっ! 詩織ちゃんっ!」
「わ、私もっ! メ、メグッ! メグッ!」
絶頂にのぼりつめながら、お互いの名前を連呼するふたりの少女。
詩織は力いっぱい愛の身体を抱きしめた。
ぎゅっ、とやわらかな感触が詩織の腕いっぱいに広がる。
もう離さない、もう離さない。
白く呆けて行く頭の中で、詩織はそう誓った。
. . . . .
気を失い、御神木に寄りかかったまま座りこむ詩織の浴衣の着崩れを丁寧に直す愛。
そのふたりを、黒い影が覆う。
「お別れはすんだか?」
背後から、大田の声が。
「はい.....」
大田に背を向けたまま、ゆっくりと立ち上がる愛。
その肩に、大田の手が回される。
「じゃ、行こうか」
肩に回した手を、ぐっと引き寄せる。
「はい.....」
うつむいたまま答える愛。
最後にちらりと、詩織を見て、
「さようなら...詩織ちゃん...」
ささやくような小さな声で、愛は言った。
祭囃子は、あいかわらず遠くで、陽気に響いていた。
「医用蛭 第1部 野に咲く向日葵」終
「医用蛭9」の続きにして、第1部の完結です。
30分で書けたと思ったら、何だこりゃ!?
浴衣とレズっぽさを出したかったのに、全然嫌らしくないぞ!!
反省。
いつか書きなおすかな.....。