「和也ぁー、いるー?」
かすみ荘204号室、早乙女和也の部屋。玄関のチャイムと共にサイバドール・レナが呼びかけてきた。
昨夜の雨とは打って変わって快晴の昼下がり、谷千草との“初体験”の余韻に浸っていた和也は慌ててベッドから飛び起きた。
「い、いるよ……ちょっと待ってて……」
玄関ドアを開けるとレナが膨れっ面で立っていた。
「もう、レディを待たせないでよね」
「ごめん……まぁ、上がんなよ」
「メイは?」
「買い物だよ……」
部屋の中に入ったレナは和也のパソコン・デスクの脇に鎮座しているイカ姿の小型ロボット、イカリヤを見つけた。彼女のお気に入りだ。
「おいーっす!……あれ? イカリヤ寝てるの?」
レナはイカリヤを持ち上げた。“イカの着ぐるみ”の隙間からACアダプター付きのコードが延びてコンセントに繋がっている。
「充電中さ……もうちょっと掛かるよ」
「えー、つまんなーい。一緒に遊ぼうと思っていたのにー」
「ごめんよ……何か飲む?」
「いらなーい……あ、そうだ。千草ママから手紙預かってきたよ」
「え!?」
レナは着ているショートパーカーのフードから封筒を取り出すと和也の前に差し出した。
緊張気味に和也はそれを受け取ろうと手を出したが、レナは彼が掴む直前に引っ込めた。
「え? な、何?」
「お駄賃。前払いだよ」
つんと澄まして言うレナ。
「お、お駄賃ったって……いくらなの?」
「ふふーん、本当は千草ママからもう貰っているんだ。和也からは違うのがいいなー」
「……んじゃあ、何がいいんだい?」
「……レナちゃんにキスしてよ、和也……」
レナはにんまりと笑いながら、しかしわずかに恥らうように言った。その言葉にどぎまぎする和也。
「……わ、分かったよ……それじゃ……」
和也はかがんでレナの額に唇を寄せた。途端に彼女はムッとして和也の顔を押し止めた。
「もう! そこじゃないってば!」
「え……じ、じゃあ何処がいいの……?」
「決まってるじゃない! 唇以外のドコにするってのさ!?」
「く、くち……って……それは……」
和也はレナの詰問にあたふたし、思わず窓の外に見えるかすみの部屋の方に目を向けた。
「何見てんのよ……ははーん、かすみに見られたらどうしようと思ってんでしょ」
「そりゃそうだよ……だってかすみちゃんは……」
「大丈夫だよ。かすみ、二日酔いとかでベッドの上でグッタリしているから」
「そ、そうなのかい?」
「昼前に帰って来たんだけどさ、なーんかムッツリしていたよ」
和也は再びかすみの部屋の窓を見た。カーテンが閉まっていて中の様子は伺えない。
「あのさレナちゃん……かすみちゃん、ここしばらくそんな……ムッツリしていたのかな……」
「別に〜。千草ママやレナちゃんには普通に話しかけたり笑ったりしていたよ。でも時々、急に怖い顔になったりしていたけどね」
やっぱりそうなのか――気落ちする和也の顔をレナがいぶかしげに覗きこんだ。
「ねえ和也、かすみがこの部屋に来なくなったのって、やっぱり和也とケンカしたからなの? 何があったのさ?」
「べ、別に……ケンカとかした訳じゃ……」
「そ〜やってごまかすワケ? いいもん、ちゃんと話してくれないなら、かすみに夕べの事言いつけちゃうから」
ボン!と胸が破裂して心臓が飛び出すほどの衝撃を和也は受けた。
「ゆっ……夕べの事って……」
「夜中に洗濯機の音が聞こえるからレナちゃん目を覚ましたんだ。それでドアを開けたら階段を上がってきた千草ママとバッタリ会ってさ」
千草が風呂場から出て行った後の事か――あの雨の轟音の中でも音が聞こえたのかと和也は固唾を呑んだ。
「どうしたのって聞いたら和也が来てるって言ってさ……千草ママ、これから和也のお嫁さんになるから絶対邪魔しないでねって言ってた」
「お……お嫁さんねぇ……」
「部屋に戻ってその後、階段を誰かが上がってきて、ああ和也だなって思った……ドアの閉まる音が聞こえてから耳の感度を上げたの……」
「…………」
「二人がレナちゃんの事どうのこうのと言ってたからもっと耳を澄ませてたら……そのうち千草ママが変な声を出し始めてさ……」
レナの話を聞くうちに和也は部屋の中の重力がおかしくなって来た様に感じた。めまいを起こしかけているのかも知れない。
たまらなくなった和也はベッドに腰を下ろした。
「話の中身から和也、千草ママにエッチな事してるんだって思った……」
「……で?」
「でも千草ママのウフン、ウフンて声を聞いてるうちにレナちゃんも何だか変な気持ちになってきて……気になって覗きに行ったんだ」
和也は頭を抱えた。心配していた事が現実になっていたとは――。
「千草ママ、邪魔するなとは言ってたけど見るなとは言わなかったからね……そっとドアを開けたら和也と千草ママ、ベッドの中にいた」
「……よく見えたね、暗かったのに……目の感度も上げられるのかい?」
「もちろん!……ねぇ、あれがお嫁さんにするって事? 千草ママ押さえつけていじめてたんじゃないの?」
「違うよ……千草さん…」
「あー! 和也、呼び捨てにしてるー!」
「話の腰を折らないでよ。それにちゃんと“さん”を付けているでしょ……あの時の千草さん、嫌がっていたかい?」
「……まぁ、嫌とか駄目とか言ってたけど……でも、いいとか、もっとしてとか……」
「あれはね……赤ちゃんを作る儀式なんだ。その事を千草さんは“お嫁さんになる”って言ったんだよ」
「……じゃあ千草ママ、和也の赤ちゃんを産むの?」
その一言に和也はゾッとした。千草がどんな予防措置を施したかは分からないが、コンドームのような確実性を実感できる手段でなかった以上、妊娠の可能性は捨てきれない。
和也には心配するなと言った千草をただ信じるしかなかった。
「……いや、それはないと思うよ……あれは儀式の真似事さ。恋人や気持ちの通じ合った男女は、赤ちゃんを作る気がなくてもそういう事を出来るんだよ」
「ふ〜ん……」
「あのさレナちゃん、夕べの事は絶対かすみちゃんに話しちゃ駄目だよ。本当にシャレにならないから……今度はケンカじゃ済まないよ」
「……和也……かすみと仲が悪くなったのって、もしかして他の誰かをお嫁さんにしたから? そうなんでしょ!」
「いや……分かった、言うよ……サラさんだよ。あの人に女の人をお嫁さんにするやり方を教わってたんだ……そこを見られて……」
「なーるほどね〜。サラとこの部屋で裸で抱き合ってたんだ……そりゃかすみも怒るよ……」
絶望感に襲われ、和也は首をうなだれていた。今までの経験からいってレナは自分をあざける言葉を並べ立てるだろう――腹をくくった和也はそれに耐える心構えをした。
しかし待っていてもレナの口からは続く言葉は出てこなかった。不審に思った和也が顔を上げるとレナが思いつめた表情で立っていた。
「……じゃあ和也……レナちゃんもお嫁さんにしてよ……」
「だっ、駄目だよ!」
「どうしてよ!? 和也を好きならお嫁さんになれるんでしょ!?」
「サラさんや千草さんは大人だからだよ! レナちゃんみたいな子にはああいう事しちゃいけないんだ」
「バカにしないでよ! レナちゃんだって大人だよ!……してくれないなら、かすみに言いつけてやる……」
「だからぁ!……もう、それは反則だよ……」
和也はゲンナリした。かすみに言いつけられるのも困るが、だからといってレナを相手にするのも問題がある。
「……レナちゃんが駄目ならメイはどうなのよ? メイだって子供じゃん。でもメイにはするつもりなんでしょ!?」
「いや……それは……メイはもう子供とは……」
「仲直りしたらかすみもするつもりなんでしょ? ケイやマミにもするんでしょ!? 大人だから!」
「だっ……誰でもって訳にはいかないよ……それにマミさんは卓也さんのものだし……」
「千草ママだってかすみのお父さんのものじゃない! 今はいないからって勝手に…」
「千草さんはお願いされたから!……もう止めようよ、この話……」
さすがに和也もレナの執拗さに苛立ちを感じ始めた。自分を大人だと言い張るなら事情を察しろという言葉が喉まで出かかった。
いくら好きでも越えてはならない一線があるという事をどうしたら分かってもらえるのか――。
レナは半泣きになって立ち尽くしている。
「……ごめんよレナちゃん……こっちにおいで……」
また罵声を浴びるかもと和也は身構えたが、意外にもレナは少しためらった後、しおらしく和也の横に腰掛けた。
「人間の世界では大人は小さい子をお嫁さんにしてはいけないという決まりがあるんだ。痛い思いをさせる事もそうだし……」
「痛い思い?」
「大人でも初めての人は痛がるんだよ。実際、サラさんもそうだったし……」
「何をどうしたら痛くなるのよ。裸で抱き合うだけじゃないの?」
以前ケイは20歳未満のサイバドールはセックスに関する裏マニュアルを持っていないと言っていた。
レナは本当に何の知識もないのか――疑問を抱いた和也の胸の内に邪[よこしま]な考えが頭をもたげて来た。
「……レナちゃん……男の人にオチンチンがあるのは知っているよね?」
「知っているよ、それくらい」
「男は女の人にエッチな気持ちを抱くとオチンチンが硬くなるんだ。その硬くなったオチンチンを女の人のオシッコが出る所に入れるんだよ……それを僕はサラさんや千草さんとしていたんだ」
「……入れるだけで痛いの?」
「いや、最初だけさ。入れられた事のない女の人の中には処女膜ってのがあって、オチンチンがそれを突き破った時に痛みを覚えるんだ。レナちゃんの中にもあるはずだよ」
「…………」
「……レナちゃん……本気で僕にお嫁さんにしてもらいたいのなら、その痛みに耐える勇気はあるかい?」
「…………ある……和也にしてもらえるんなら我慢するよ……和也の事、好きだから……それに一人だけのけ者にされるのヤだし……」
とつとつと呟くレナのミニスカートから伸びる、黄色いニーストッキングに包まれた太腿を和也は見つめた。強い欲望がこみ上げてくる。
「よし……」
そう言うと和也はベッドから立ち上がり窓辺へ歩み寄った。
(……どうか、今だけは見逃して……)
かすみの部屋の窓に向かってそう祈った彼はカーテンを閉め、レナの待つベッドに戻った。
「そこに寝そべって……」
和也に言われるままにレナは仰向けになった。緊張しているのか、戸惑った表情を浮かべている。
「そういえばお駄賃まだだったね……キスしよう」
「……うん……」
レナは自然に目を閉じた。和也も身を横たえ、彼女に覆い被さるように顔を寄せた。
「んっっ……ん……」
やさしく唇を重ねられた瞬間、レナは小さく身じろぎした。10秒ほど柔らかいレナの唇の感触を味わった後、和也は頭を上げた。
「今度はもっと大人のキスをするよ。舌を絡めあうんだ。口を少し開けて……」
レナが口を半開きにすると和也は再び顔を寄せキスをした。舌を出して少しずつレナの唇をこじ開け進入した。
口腔[なか]でレナの舌が和也の舌を出迎えた。和也が大胆に舌を動かすとレナの舌もそれに応えるように絡みつく。
「……んん……むふ……んふぅ……」
レナの幼い吐息を聞きながら和也は右手を彼女の腹から脚に向かってゆっくり滑らせていった。
ミニスカートの上から股間に右手が触れた瞬間、レナがピクッと反応し、和也の顔を押しのけた。
「な、何!?」
「もう! 変な所触らないでよ! いやらしい!」
「レナちゃん……僕たちは大事な事をしているんだ。触られたくらいで一々いやらしいとか言わないでよ」
「だって……分かったよ……ごめん……」
「いや、僕も言い過ぎた……初めてなら仕方ないよね……でも触りたいんだ……レナちゃんをお嫁さんにする為に……」
「千草ママにしたみたいに?」
「うん……触り合っているとお互いにエッチな気分になって、オチンチンで繋がりたくなるんだ」
和也は妙な気分だった。自分がケイのようにレナに対してセックス指南をしているとは――。
「……じゃあいい……触って……」
和也はスカートの中に手を入れ、ショーツの上からレナの小さなスリットを撫で始めた。
「……どう?」
「ん……何か変な感じ……何だか……んんっ……くすぐったいような……気持ちいいような……」
「そう……レナちゃん……僕のも触ってくれないかな……」
おずおずと切り出す和也の顔をトロンとした目で見つめるレナ。
その視線を和也のズボンの股間に持っていき、ややあって右手を持ち上げる。和也は手が届きやすいように腰を彼女の方に近づけた。
「ああ……」
レナの小さな手が股間の膨らみに触れると和也は深い溜息を漏らした。
「和也……何かコレ、熱くて硬いよ……」
「そうだよ……もっと撫でて……はぁ……はぁ……いいよ……」
「……ねぇ、コレだんだん大っきくなってきた……」
「レナちゃんに触られて嬉しいんだ……これも君の中に入りたがってる……そうだ、どんな風になっているか見てみるかい?」
「う、うん……」
和也は身を起こすとトレーナーをたくし上げてベルトを外し、ズボンのチャックを下ろした。
レナの横で膝立ちし、トランクスごと腰周りの部分に手を掛ける。
「変なものに見えるかも知れないけど、ビックリしないでよ……」
そう言うと和也はゆっくりとズボンを下ろしていった。トランクスの縁が股間を過ぎると怒張したものがピョコンと顔を出した。
「きゃ!」
「……ビックリしないでって言ったじゃない……」
「しょうがないじゃん……初めて見たんだから……それがエッチな気分になってるオチンチン? 何だか亀さんの頭みたい」
「そうだよ……実際にこの先っちょを亀頭って言うくらいだからね」
「きとう?……亀頭ね……ふ〜ん……」
繰り返し言って納得するレナ。おそらく頭の中の辞書ソフトで検索していたのだろうと和也は思った。
まじまじとペニスを凝視するレナの顔を見る内に、和也の頭の中である考えがよぎった。視線がレナの小さな唇に集中する。
(……頼んだらレナちゃん、しゃぶってくれるだろうか……)
しかし和也はすぐ、その考えにためらいを覚えた。いくらロボットとはいえレナはセックスについて何も知らない女の子である。
いきなりフェラチオなどさせてトラウマになったりしないだろうか?――。
「こんなの入るのかなぁ……」
「えっ……そ、そうだね……そうだ、レナちゃんのも見せてよ。僕が入る所をよく見ておきたいんだ……」
「えー!?……もう、しょうがないなぁ……ちょっと待っててよ……」
レナは恥じらいと不満が入り混じった表情のままワンピースの裾をたくし上げた。
本来なら“いやらしい!”と言いたいのだろうが和也に禁じ手にされた為、言葉を選ぶのに苦労しているようだ。
キャミソールとニーストッキングを繋いでいる左右のベルトを外すと白いショーツに指を掛け、おずおずと太腿に向かって下ろしていく。
「待って……後は僕にやらせて……」
レナを制止した和也は彼女の足元に回ると膝まで下げられたショーツの縁を掴み、スルスルと両脚から引き抜いた。
「……脚を広げるよ……」
和也はレナの両足首を掴むとゆっくり左右に広げていった。レナはかつてない経験に動揺した。
「やっ、やだ……恥ずかしいよこんな格好……」
「恥ずかしがらないで……素敵だよ、レナちゃん……」
ワンピースの裾を押さえて陰部を隠そうとするレナの両手を和也はやさしく掃[はら]った。再び裾をめくり陰部を凝視する。
Vの字に開かれた脚の付け根にはふっくらとした恥丘があり、つるんとした肌のその真ん中にゆるやかに落ち込む秘裂があった。
初めて見る光景に和也は緊張した――いや、見た事がない訳ではない。
幼い頃、まだ小さかった妹と一緒に風呂に入った時に、彼は妹の股間を見ていた。
しかしその頃は性的な関心は薄く、男と女は違う作りになっていると認識しただけに過ぎない。
まして今回のように脚を広げさせた訳でもなかったから、じっくり観察してもいない。
陰毛がないだけでこうも印象が変わるのかと和也は妙な感心をしていた。
露出しているスリットは成人容姿のサイバドールと比べると確かに小さい。レナが入るかどうかと気にするのも無理はなかった。
しかしここで思いとどまる訳にはいかない。レナも“お嫁さん”の仲間に加えなければ拗[す]ねた彼女がかすみに何を言うか分からない。
「そろそろお嫁さんにする準備をしようか……レナちゃんのここ、舐めるよ……」
「だ、駄目だよ! 汚いよ、そんな所……」
「汚くないよ。レナちゃんのなら平気だよ」
和也はそう言ってレナの穢れを知らない秘所に顔を埋めた。スリットの柔らかな両岸を交互に舐めた後、閉じられた谷間に下を差し込む。
「ひゃっ! あ、あぁ……ぐにぐにしたのが入ってくる……んあっ! ああ……」
秘裂の中を上下に舌を這わせながら和也は唾を送り込んだ。最初の時よりも幾分、舌の動きがスムーズになってくる。
「いや……変だよ……あ……レナちゃんのそこ、変な感じ……」
感じ始めたのか、レナは我知らぬうちに腰をもぞもぞ動かしていた。和也は舌をスリットの上に向かって滑らせ小さなクリトリスに触れた。
「あっ!……何?……ああっ! か、和也ぁ! ビリビリくるぅ!」
声を上げるレナに構わず和也はピチャピチャと音を立てて膨らんだ肉芽を舐め回した。その間、彼はレナの内腿を撫ぜて刺激し続けていた。
未成熟な体でもレナは女だった。クリトリスと内腿から伝わる快感に反応した性器は和也を迎えるよう、潤いを帯び始めていた。
「レナちゃんも準備出来てきたみたいだね……よし、少し練習しようか」
「練習……?」
和也は自分の指を口に含んで濡らすとレナのスリットに近づけ、まず人差し指をゆっくりと挿入し始めた。
「あっ!……和也の…指?……あっ、やだ、痛い、怖い!」
「ごめん、痛いの? これで?……そうか、初めてだもんね……でもお嫁さんになる時はもう少し太いものが入るんだよ」
「そのオチンチンでしょ?……分かってる……大丈夫、我慢する……」
「よし……それじゃ、少し動かしてみるよ」
和也は爪で粘膜を傷つけないよう、慎重に指先を円を描くように回し始めた。緊張する膣内の肉壁が人差し指を締め付ける。
「あ……動いてる……あ、痛……あ……うぅん……」
「これだけじゃないよ……オチンチンはこんな風にも動くんだ……」
和也は回転運動を止めると今度は中指も入れ少しずつ抜き差しし始めた。膣内の締め付けは相変わらず強い。
しかし指のピストン運動を続けるうちに滲み出す愛液の量が増え、締め付けも次第に緩んできた。頃合だと和也は判断した。
指を引き抜くと和也は両の親指でスリットを押し広げた。桃色の肉壁が和也を誘うようにぬめりを輝かせていた。
「リラックスしてきたみたいだね……レナちゃん、そろそろ入れるよ……いいかい?」
「はぁ……はぁ……いいよ……して……」
顔を上気させてレナはうなづいた。和也はレナの脚の間で正座し、彼女の腰を掴んで腿の上に引き寄せた。
怒張したペニスがレナの秘裂の直前に突き付けられている。
「レナちゃん……悪いけど自分で口を塞いでて……きっと声を上げる事になるだろうから……」
「そんなに痛いの?……でも頑張る。和也にお嫁さんにしてもらえるなら……」
レナは両手で口の上を覆い、固く目をつぶった。和也はペニスを握ると膣口に狙いを定め、亀頭をスリットに埋まるまで押し込んだ。
「んんっ!」
レナの体がビクンッ!と震えた。痛みを感じているのか眉間にしわを寄せている。
「……大丈夫?」
「ふぅ……ふぅ……ん……」
心配そうに尋ねる和也にレナは胸を大きく上下させながら口を塞いだまま小さく頷いた。
和也はレナが落ち着くのを待ってから再びペニスをゆっくり奥へ進めた。先端が予想していた障害に突き当たった。
「レナちゃん……これから処女膜を破るよ……でもあまり緊張しないで……力を抜いてて……」
レナは再び小さく頷いた。ロボットには必要ないはずだが、深呼吸してその時に備えている。
和也はレナの上に覆いかぶさると彼女の両肩を掴み、少し腰を引いた。
そして彼も一呼吸置き、ペニスを躊躇なく一気に突き入れた。
「ふんっ!」
「んぐうぅっっ!!」
プツッという感触と同時にレナの手の下でひときわ大きな悲鳴が上がる。ずり上がって逃げようとするのを和也は必死で押さえつけた。
「よーし、もう少し頑張って……今、根元まで入れるからね……」
レナを落ち着かせると和也はゆっくりとしたインターバルで腰を前後させ、徐々にペニスを進めていった。
「んっ……んっ……んぐっ……」
相当な痛みを覚えているはずだが、それでもレナは口から手を離さなかった。締まる膣壁を押し分け、ペニスはようやく根元まで埋まった。
「全部入ったよ……ありがとう、よく耐えたね……」
「ふぅ……ふぅ……はぁ……はぁ……出来たんだね……はあぁ……痛かったぁ……」
ホッとしたように呟くレナ。大粒の涙が目じりに沿って伝い落ちてゆく。
「でもこれで終わりじゃないよ……これから僕がレナちゃんの中に精液を出すっていう儀式が残っているんだ……」
「せいえき?」
「うん、それを人間の女の人の奥に出すと赤ちゃんが出来るんだ」
「……それが終わったら本当にお嫁さんになれた事になるんだね……」
「そうだよ……じゃ、動くよ……」
和也は体を起こし、レナの腰を掴むとゆっくりペニスの抽送をし始めた。
精一杯口を開けたスリットからレナの愛液をまとった逸物が出入りを繰り返す。
その間、レナの口からは甘くも苦しげなうめき声が漏れ続けている。
「ううっ……はぁ……んぐっ……くぅ……あっ……はぁ……」
「……まだ痛いかい?」
「うん……でも少し……良くなってきた……うぅ……くぅん……」
「分かった……なるべく早く終わらせるから、もう少し我慢して……」
和也は抽送のピッチを上げた。不思議な事に早く動き出してからの方が膣の締め付けが緩くなってきたような気がした。
ピストン運動に膣が慣れてきたのか、それともマスターの動きに合わせるよう、元々そうプログラムされているのか――。
「あぁ……ふぅ……あんっ……あっ……あぅ……」
和也の腰の動きに合わせて彼の腿の付け根に乗ったレナの両脚がだらしなく揺れ動く。
いつしかレナの体は緊張をなくしていた。適度になった膣の締め付けと愛液のぬめりがペニスを刺激し射精を今や遅しと待ち構えている。
「ああ……レナちゃんの膣内[なか]、とっても気持ちいいよ……素敵だよ……あぁ、ああ……」
「あぅ……はぅ……和也ぁ……レナちゃんにもおいしいって言ってよ……千草ママみたいに……」
「おいしいよ……レナちゃんの体、とってもおいしいよ……」
「あぁ……和也……はぁ……んあっ……レナちゃん変だ……何か……体がジンジンする……」
「僕のもジンジンしてきた……もうすぐ射精[だ]すよ……いいね?……」
リズミカルに腰を突き入れながら和也が尋ねる。サラの時と同様、レナが絶頂を迎える事までは考えていない。
今はとにかく彼女の子宮[なか]に射精して“お嫁さんにする儀式”を完遂する事が最優先だった。
「うっ、あっ、あんっ、かず、やっ、あっ、あんっっ」
「レナちゃんっ、可愛いよっ、レナちゃんっ……うんっ!!」
ぐっと突き入れた瞬間、レナの膣内[なか]でペニスが膨張し、侵略するように精液が奥めがけてほとばしった。
「はぁ……はぁ……おなかの中……温かいものが入ってくる……」
「うん……ふぅ……ふぅ……それが……精液だよ……はぁ……はぁ……」
「……これで……レナちゃんも……お嫁さんになれたんだね……」
「そうだよ……よく頑張ったね、レナちゃん……」
和也はしぼみ始めたペニスをレナのスリットから引き抜いた。愛液まみれの割れ目からじわじわと白濁液が滲み出しトロリと流れ落ちた。
それを見た和也の胸の内に罪悪感がこみ上げてきた。
(僕……とんでもない事をしたんだな……)
和也は複雑な気持ちになった。なかば脅迫するようにせがまれたとはいえ、本来性交を許されない相手としてしまった――。
ぐったりとしたレナを残し、和也はテーブルの上のティッシュの箱を取りにベッドを降りた。ちらと窓の方に目をやる。
(ごめんよ……)
ベッドに戻った和也は自分のペニスと精液が溢れ続けるレナの秘部をティッシュで拭った。
(ごめんよ……本当にごめん……)
頭の中を何度もよぎるその詫びの言葉がレナに対するものなのか、かすみに対するものなのか、和也自身も分からずにいた。
「あらあら〜、こっちに来た早々、とんでもないものを見ちゃったわね〜」
不意に耳にしたその声に和也の全身がビクッ!と震えた。まどろみかけたレナも我に帰った。
和也とレナは声の聞こえた方へ――部屋と台所を仕切る戸口の方へ顔を向けた。
「マ!……マミさん……!?」
驚愕する和也と言葉も出ないレナを微笑ましく見つめる、新妻エプロンと緑色の着物をまとった金髪碧眼の女性がいつの間にかそこにいた。
「和也ちゃ〜ん、レナちゃんにそういう事したら、青少年育成保護条例違反と淫行罪で死刑ッ!よォ〜。ピタッ」
サイバドール・マミはいたずらっぽくそう言ってしなを作り、腰だめにした両手の指をピストルの形にして和也に向けた。
(続く)
気の回し過ぎかも知れませんが時節柄、レナちゃんは扱いづらいキャラになってしまいましたね。
自分でも腰の引けた文章をつづっていると感じます。
原作のレナちゃんは耳年増という印象なのでセックスについて何も知らないという事はないと思うのですが、拙作の設定上どうしてもああ描かざるを得なくて……ちょっと勿体無かったかな?