君想ヒシ夜半




 甘い香りに鼻をくすぐられて、重い瞼をそっと上げてみた。
 視界を埋め尽くす金色に、未だ昼かと嘆息する。優しい闇にまた身を委ねるべく目を閉じようとしたのだけど。
「おっはよー、姉さん!」
「ある、くぇいど……?」
 底抜けに明るい声はすれど、姿は見えず。
 胡乱に呟いて目を細めてみるけれど、妹の姿がどこにも見つからない。正確に言うと金の輝きに視界が奪われ、他の何も目に入らない。
 ただ、からかうようなアルクェイドの声が、何故か随分と近い気がした。
 いつの間に眠りに落ちてしまったのだろうか。さっきまで、皆と一緒に宴に興じていた筈なのに。睡魔に身を明け渡すほど酒盃は重ねていなかったつもりだけど。
 確かめようとして身を捩るけど、上手いこと体が動かなかった。シーツではない、何か重いものが体に圧し掛かってる。それが不快じゃないのは、包み込むように優しく、心安らぐような温かさだからだろう。
 だけど、なんだかくすぐったい。
「んふふー。早く目を覚まさないとこーだぞ?」
 その声と共に、私の胸に柔らかな刺激が走りぬけた。
 これは、アルクェイドの指、だろうか?
 胸の辺りを何かが弧を描いていく。乳房の周りをゆるゆると、数字の8を描くように回っていく。
「んはっ、あはははっ!」
 こそばゆさに思わず笑い声が漏れてしまった。触れるか触れないか程の柔和な感触が、心地好いのだけど。
「ほれほれー、ここはどうかなー?」
「ちょ、ちょっと……」
 指先が乳房を駆け上がってくる。その目的地は明らか。やめなさいと声を上げようとしたら、見越したかのようにするりと下がってきた。そのまま鎖骨の辺りを撫で回し、首筋を伝う。
 快楽の手前で焦らされる物足りなさ。それを目当てとしてるかのような指使い。
 もっと欲しい。思わずそう思ってしまった心を無理やり押さえつけた。
「な、何をしてるの、アルクェイド!」
 私の叫びを合図とするかのように、視界を埋める金色が形を結び始めた。
 晴れ渡る空のような笑顔で、アルクェイドが微笑み見下ろしてる。それは構わない。こんな顔で起こされるのならば、私にとっては最高の目覚めだもの。
 だけどどうにも流せぬくらい気にかかることが一つばかり。
 何で私は今、裸なのだろうか。
 視線を左右に這わせてみれば、いつの間にか私の体はベッドの上。確かリビングでアルクェイドの誕生日を祝っていた筈なのに。
 着ていたはずのドレスは、目に写る場所には見当たらなかった。一糸も纏わぬ状態の私を、馬乗りになったアルクェイドが、面白そうに見つめてくる。
 力を抑えるためとはいえ、今の私の体は成熟とは程遠い。そんな未完成な物を妹に晒しているのが、どこか気恥ずかしい。
 慎ましやかな乳房の先がアルクェイドの白いセーターに触れる度、緩やかな快楽の波に揺さぶられてしまう。
「はぁ、あふ……」
 普段ならば前奏にも至らぬ、その程度の刺激で体が反応してしまった。こらえきれぬ声が漏れるたびに、アルクェイドが目を細めてる。
「うふふー、姉さん、どこが気持ちいいのかなー?」
 それを見越したかのようにアルクェイドが身を寄せてくる。羽先で擽るかのように、たわわに張り出した自らの乳房を摺り寄せて、右へ左へとゆすってくる。
「こら、やめなさ……っ!」
 恥ずかしさとくすぐったさに半ば反射的に身を捩って、彼女の腕の中から抜け出そうともがいてみる。
 だけど、逃がさないと言わんばかりに身を重ねてきたアルクェイドが、耳に舌を這わせてきた。胸の方も開放してくれない。細い指で滑らかに、乳房をこね回されてしまう。小さな乳房に余るように、ひどく鋭く、その動きに体が反応してしまう。
「うふふー。姉さんの体、柔らかくて気持ちいいねー」
 囁きで心までも揺さぶられる。組み敷かれて睦言に身が火照るなど、どれだけ振りの感覚だろうか。それ自体はひどく新鮮で、歓迎したい感覚だったけれど。
「こーんなに小さくて、おっぱいだって小さくて可愛らしいのに」
 ……それは放っておいて欲しい。私の力はひどく不安定だから、この(少女)姿でなければ、共に平穏と暮らす事ができないのだもの。
 ……それはさておいても、状況がさっぱり分からない。
 なぜ、どうして私はアルクェイドに襲われているの?
「ちょ、ちょっとちょっと少し待ってアルクェイド!」
 下敷きになってる腕を何とか引き抜いて、妹の肩に手を掛け持ち上げた。
 分からない。状況が分からない理由が分からない。一体これは何の冗談なのかしら。
「んぁ、っと、何するのよ姉さん」
「それは私の台詞よッ!」
 気持ちよく責めてるところを邪魔されたせいだろうか。むー、と頬を膨らませて不満げにアルクェイドが見下ろしてくる。だけどこっちだって流されるままというわけにもいかない。馬乗りになられちゃってるから、迫力がない事この上ないけれど。
「何で私は今裸で、あなたがここにいて、私がとって食われそうなのか、できれば教えて欲しいのだけれど?」
「えー。何でって」
「話しなさい!」
 そりゃアルクェイドのことは大好きだし、別に女の子相手に拒否感などは無いけれど、寝て起きたら食べられる寸前でしたというのは色んな意味でどうかと思うもの。
 なのにアルクェイドはのほほんと口を開いて、
「姉さんが寝ちゃったからわたしがここまで運んで」
「……運んで?」
「ベッドに寝かせたら、姉さんが何かとっても可愛かったから」
「…………から?」
「せっかくだし、悪戯しちゃおうかなって」
「なんでよっ!」
 こ、この娘は何を言っているのッ!
 怒りと混乱と羞恥に突き動かされるまま撥ね退けようとしたけれど、この体勢でしかもベッドの上じゃどうにもならなかった。そもそも私とアルクェイドでは、単純な力比べじゃどうにも分が悪いわけで。
 どうにかならないものかと身を捩ってる私を、何かとても嫌な目でアルクェイドが見てる。具体的にいうと、猫が獲物を狙ってる視線。
「ふっふっふ、そんな事は言ってもねー。えいっ!」
「ひぃあ、あぁあっ!」
 このどうしようもなく高貴で美しいケダモノは、性質の悪いことに迅速で精緻極まりない。獲物をしとめるチャンスを見逃してはくれないみたいだった。
 胸の先に走る痛い程の快感に、はしたなくも喘いでしまう。
 ぷっくりと、隠しようもなく勃ち上がった乳首を、アルクェイドの指に摘み上げられてしまった。白く細い指で引っ張られ、そしてこね回されてしまう。
 そんなに乱暴に扱われたら、本当は痛い場所なのに。
 じっと見られてる。その視線で火照りあがってしまった体には、痛いほどの刺激ももはや快感を呼び起こすスイッチになってしまっていた。
「あふぁ、や、めて、アルクェイド……」
 はしたなくよがってしまう姿を、一方的に見られてしまう。それがどうしようもなく恥ずかしい。
 アルクェイドに玩ばれて、こんな姉らしくない姿を見られる羞恥。それに体が反応して、快楽だけがとめどなく沸き起こってしまう。
 ただ胸を弄られてるだけだというのに。私の女に熱が点り、潤み始めてしまってる。もしもそれに気付かれたら、どうなってしまうのだろう。
 軽蔑されるのだろうか。
 姉の癖にはしたない、とののしられるのだろうか。
 それとも、アルクェイドの紅い瞳にほのかに浮かぶ欲情の火に、油を注ぐ事が出来るのだろうか。
 ――いけない。私は何を考えているの。
 今しなければいけないのは、この悪戯を止めさせる事なのに。ここで止まれば悪戯で収まるのに。その先を望んでどうするのか。
 アルクェイドは妹なのに。
 例え人間で言う「血の繋がり」はなくても、紛れもない妹であり、こういう関係を望みうる相手ではないのに。
 でもそんな事を考えている時点で負けだった。
 彼女の瞳に射抜かれるまま、その先を望んでいる自分が、いる。
「んー、止めていいんだ? 姉さん」
 それを見越したかのように、口元で弧を描いてそう囁いてくる。口調はあくまで軽いのに、こちらの心が絡みとられそうに濡れて艶のある声だった。
「いつもいつもわたしのベッドの中に潜り込んできたり、一緒にお風呂に入ろうとしたり。本当はこういう事がしたかったんでしょ?」
「そ、それは……」
 違う。あくまであれはスキンシップであり、姉が妹に向ける親愛の発露でしかない。
 その筈なのに。
 認めてしまってはいけない。それは姉として許されない事だ。
 答えを途切れさせたまま、目はアルクェイドの顔を捉えて離せなくなってしまってる。
 こうして間近で見ても、アルクェイドは本当に美しかった。単純に美と言うことだけならば劣る所など無い自信があるけれど、彼女の美しさの方向は私と違う。
 月の王の写し身でありながら、誰よりも明るく太陽の似合う陽性の美。月を求めて月にしかなれない私とは違う。アルクェイドは自ら光り輝けるのだ。
 月は太陽に恋焦がれてしまう。自らが光を写し取る鏡でしか無いと突きつけられても、求めずにはいられない。
 引き寄せられるまま、彼女の頬に手を伸ばしてしまった。しっとりと、触れるだけで指が吸い寄せられるようにきめの細かい白い肌。人には持ち得ない、作り上げられた者のみが手に出来る魔性の美貌は、意を得たりと言わんばかりに微笑を深める。そのまま私の手に、己が手を重ねてきた。
「んふー、やっぱり!」
 違う、などとはもはや言えない。指先に彼女を感じるだけで、体の奥の火が勢いを増してしまっている。こんな柔らかな、性を感じさせる指使いを誰から教わったのか。
 この子にそれを教えた相手の名に思い至り、私は弾かれたように手を払いのけてしまった。
「あれ、どしたの、姉さん?」
「ダメ、よ。止めなさい……あなたには志貴君がいるでしょう……」
 言わなければいけない事なのに、荒れ狂う波の前では掠れたように呟くのが精一杯だった。
 遠野志貴。それがアルクェイドの恋人の名前。
 彼女を殺して、人形からアルクェイドに変えてくれた恩人であり、そして妹に愛と言う甘美な毒を教えてしまった、憎むべき人間でもあった。
 彼を愛する事がなければ、妹は失う悲しみを知らずに済む筈だった。その身に積み重なる吸血衝動も、緩やかなものに収まる筈だったのに。
 だけど、彼がいなければ、アルクェイドは得る喜びすら知る事が無かった。人形のまま生涯を終えなければいけなかったのだ。
 それを自分が教える事ができなかった悔しさが、醜い嫉妬となって心の内に積み重なっている。でも、それを妹に教えてくれた彼に、両手で抱えきれないくらいの感謝と好意を持っている。
 代えがたい感謝と、同じくらいの嫉妬。相反する感情が両脇に積み重なっているけれど。遠野志貴という青年になら妹を任せていいと、姉として思っている。
 だからこそ、彼の意を得ずにアルクェイドと肌を重ねる事など許されない筈だ。例え気付かれる事なく隠し通したとしても、罪悪感が澱のように私の中に積み重なっていく事だろう。
 志貴君の名前で、アルクェイドが躊躇ってくれればいいのだ。少しでも後ろめたさを感じてくれれば、それで戯れは終了。互いに照れ笑いを浮かべて、私は身繕いをしてそのまま眠り込んでしまえる。
 なのに。その筈だったのに。
 視界を妹の顔が埋め尽くしてしまう。唇に灯るほのかな灯り。濡れた唇の感触が、私の唇を蕩かしてしまう。それはまるで夢のような、私の理性を緩やかに崩してしまう温かさだった。
「いいの。今は姉さんの事知りたいから」
 口付けから顔を上げて、アルクェイドが笑う。私のたがを溶かしてしまう、緩やかな奥火のような微笑。
「志貴だって言ってたもの。お前はもっとアルトルージュさんと分かり合えって」
 ……それは、話したり一緒に出かけてスキンシップを図る事であって。間違ってもベッドの上で肌を重ねることではないでしょうに。
 それが誤解だという事は彼女自身も分かっているのは明らかだった。なのにその言葉を免罪符に、私の体を求めてきている。なら何を躊躇う必要があるのだろう。
 ブレーキは壊れかけている。もう止まる事ができない。
 それを見越したかのように、アルクェイドは再び身を沈めてきた。
「だから、教えて。姉さんが私の事を知っているくらいに……」
 彼女の右手が私の頬に触れ、そっと撫で下ろしてくる。左手はほつれた前髪を掻き上げてきて、むき出しになったおでこにそっと唇が押し当てられた。
 アルクェイドが触れる度、その場所が燃えるように熱くなる。彼女を欲しいと、奥底のはしたない私が叫んでいる。
 それを口にしてしまえば、もはや引き返すことは出来なくなってしまう。しかしここで止まるには、アルクェイドの笑顔はあまりに魅力的に過ぎた。
 身が焼かれると分かっていても、光に引かれた蟲は、炎に飛び込まずにはいられない。
 彼女の首に手を回して、そっと引き寄せた。触れ合うほど近くに輝く顔に向けて首を伸ばして、その頬に軽く口付けを落とした。
 頬の熱さが、唇に伝わってくる。火傷してしまいそうなくらい、熱が篭ってる。
 ああ、あなたも興奮しているのね。私を組み敷いて、彼女の奥底も燃えているのね。
「……悪い子ね。こんな事までして私の事を知りたいの?」
「うん、知りたい。だから教えて……」
 答えを半ばに、再びアルクェイドが口付けてきた。
 さっきのキスとは違う、隅々まで掘り起こすような深く遠慮の無い物。舌が私の唇を割って、中へ中へと忍び込んでくる。
 吐息と共に、アルクェイドの唾液が私の中にと伝ってくる。口の端を伝って、頬を汚すのが感じ取れた。
 勿体無い。そんな思いのままに彼女の舌を迎え入れた。熱い淫らな生き物が、私の中に潜り込んでくる。内から犯そうとするかのように、舌に絡み付いてくる。まるで丹精込めて膨らませた生クリームのように甘くて柔らかくて、そのまま触れ合ってるだけで溶けて消えてしまいそう。だけど確かな形を保ったまま、奥へ奥へと進んでくる。
 いやらしい。どこでこんな技巧を覚えたのか。いと高き真祖の姫の筈なのに。淫蕩な私のように、組み敷いた哀れな獲物を食らい尽くそうとしてるなんて。
 本当に、彼女は変わったのだ。
 愛を知って愛を伝える術を身につけて。ブリュンスタッドにあるまじき堕落が、姉としてどうしようもなく嬉しい。それを身を以って感じられる罰に、心が狂いそうな程騒ぎ立ててしまう。
 部屋に響く、くぐもった水音が、耳からも私を犯していく。
「んぁ、はぁ……んむぅ」
 漏れる声は私のものだろうか、アルクェイドのものだろうか。
 頭に手を回されて、ぐっと引き寄せられる。馬乗りになっていた筈の彼女の体が、いつの間にかぴたりと重ねられていた。鼻をくすぐる香りはほのかに甘く、爽やかだった。この家の石鹸の匂いだけじゃなくて、アルクェイド自身の体臭なんだろう。
 素肌に触れるセーターの感触がこそばゆく、緩やかに私の熱を高めてく。だけどそれはあくまで微かな物だから、物足りなさに思わず身を摺り寄せてしまった。
「んぁぅ、もっと……」
 そんな言葉を漏らしてしまい、一瞬後に赤面してしまう。
「姉さんたら、エッチなんだぁ」
 重ね合わせていた唇が離れ、舌がするりと抜けていく。
 アルクェイドの言葉に、反論できる訳もない。おねだりしてしまうなんてどれくらいぶりの事だったろうか。
 恥ずかしさを誤魔化すように、微笑んでみる。
「ええ、あなたはそのいやらしい私の妹なのよ」
「あは、じゃあわたしもエッチなんだね……」
 言葉を形で表すように、アルクェイドは私の手をとって自分の口元へと寄せていく。
 溶けそうなほど熱く濡れた感触が、指先に伝わってきた。ちゅばちゅばと、先ほどの口付けにも似た水音が部屋に響き渡っていく。  アルクェイドが、私の指を咥えていた。
 目を閉じて、いとおしげに人差し指と中指を握りしめて口に含んでくる。休める事無く舌を這わせてくる。中ほどまで吸い込んだかと思ったら引き出して爪先を甘噛まれた。月明かりにてらてらとひかる、指に残された唾液が殊更目に焼きついてしまう。
 まるで愛しい男の陰茎に吸い付くかのように、丹念に舌を這わせていく。目を閉じて荒い息を吐きながら私の指をしゃぶり続けてる。
「姉さん、顔、真っ赤だよ……?」
「だ、だって……」
 仕方がないと思う。予想もしていなかった行為に、心臓の鼓動が無駄に高まってしまうのだから。
 アルクェイドが私の指を咥えて、奉仕してくれる。こんなものを見せられて、感じて、興奮しないなんて無理。
 快楽に突き動かされるまま身をよじったその時に。
 くちゅりと。
 私自身から水音が響きわたった。
 それは決して大きな音ではなかった筈なのだけれど、私に聞こえたのだからアルクェイドに聞こえなかった筈がない。自分がどうなってしまっているのか、見ることすらなく突きつけられた気分だった。
 キスをして、指先をしゃぶられて。ただそれだけでどれだけ潤んでしまったのか。お尻の下のシーツはもうすごい事になってしまっているのだろう。
「ねえ……姉さん」
 指先に舌を這わせながら、またあの悪戯めいた笑顔を浮かべてくる。
「顔だけじゃなくて、体中真っ赤になっちゃってるよ? 肌が白いから、よく分かるねー」
「あなた……だって、顔が真っ赤よ」
 それは嘘じゃない。アルクェイドの頬は真っ赤に染まって、瞳も欲情で零れそうなほどに潤んでる。私のように興奮しながら、彼女が見つめてきてるのだ。
「うん、だって……姉さんとっても可愛いんだもの」
 掴んだままの私の手を、そっと下ろしてくる。
「ひゃぅ!」
 乳房に広がる電流のような刺激。ぷくりと痛いほど勃ち上がってしまった乳首を、押し転がされたのだ。私の指で。
 まるで絵筆を走らせるように、私の手を右へ、左へ。そのたびに湧き上がる快楽が、否応もなく波紋を広げて、体の中心でぶつかるような、そんな甘い錯覚。
 自分の手の筈なのに、ふわふわとしていて現実感が無い。
 まるでアルクェイドに触られてるような。先ほど舐め上げられた時に、そのまま彼女の物にされてしまったかのようだった。
「ふふふー、ほら、姉さんの乳首。こんなになっちゃってるよ。まるでさくらんぼみたいに真っ赤で、ぷるぷる震えてる。美味しそうだよね」
「あぅん、それは……」
「自分で触ってるのにねー。触るたびにますます固くなってるみたい。姉さんたら、本当にいやらしいんだ」
「ち、がう……の」
 柔らかで無邪気な責めに、思わず目を伏せ口からは否定がもれるけど。こんなもの、何も肯定と変わらない。
 だって、気持ちいいのだもの。
 アルクェイドが見てるというだけで。私の手越しにアルクェイドが触れてるというだけで。火照りはとまらない。漏れる潤いも止まる気配がない。
 あてがわれた自分の指で、乳首をつまみ上げた。もう一つの手で、乳房を揉みしだいた。
 違う。これはアルクェイドの指。アルクェイドの手。
 感覚が混ざり合ってしまったかのよう。どっちがどっちなのか区別がつかない。
 区別なんか、いらない。
「すごい、もうぐしょぐしょになっちゃってるね」
 私にのしかかっていた甘い重みが消えうせた。ため息交じりの声に目を開いてみれば、いつの間にか横に寄り添っていたアルクェイドが、熱い目で私の体を見つめてる。
 露にされてる私の裸。彼女の視線の先は、はしたなくも蜜をたらし続けてる私自身。
 ベッドの上に体を投げ出して、両足とも軽く開いてしまってる。こんなはしたない格好でいれば、隅々まで見えてしまってる事だろう。
「すごい、よ。後から、後から湧き出てる……」
「いや……そんな事言わないで……」
 口とは裏腹に、私の体が徐々に開いてしまう。もっとよく見えるように。もっとよく見てもらいたいから。アルクェイドの目にこの身を投げ出していく。
「ねえ、食べて欲しい? 姉さんの果実、私が食べてしまってもいい……?」
「ええ、お願い。味わって。あなたに味わって欲しい……」
「それじゃあ、さ。食べれるようにしてくれないと。ちゃんと料理してくれないと、食べてあげないよ?」
 身を起こしたアルクェイドが、蕩けそうな笑顔でそんな意地の悪い事を言う。私の右手をそっと引いて、そのまま私の胸の上に重ねてきた。そして左手はお臍の辺りへ。
 それが意味することは明らかだった。
 なんて、なんて淫らではしたない行動をさせようとするのだろう、アルクェイドは。
 身震いする程の気持ち良さに包まれて、身を捩って彼女に向かってゆっくりと足を開いていった。
 蝶が羽を広げるように。
 薔薇の蕾が花開くように。
 これ以上無いほどに両の太股を開いて、アルクェイドの前に全てを晒して見せた。
 向きを変えた時に、シーツの濡れた感触がおしりに伝わってくる。
 内股の中ほどまで滴った雫のせいで、ひやりと冷たい感触がする。
 なのに体の中心は蝋燭のように燃え盛ってる。蜜蝋が垂れるように、とめどなく女陰から雫があふれ出してしまう。
 だけど、これではまだ未完成。アルクェイドに食べてもらうためには、しっかりと切り分けて飾り付けしてあげないといけない。
 私は彼女の姉なのに。妹の言葉に唯々諾々と従い、こんな恥知らずな姿を嬉々として晒してしまう。  その興奮に達してしまいそうだった。
「姉さん、きれい……」
 熱く掠れたアルクェイドの声が、さらに私をどろどろにしていく。
 声に導かれるまま、左手を、そろりそろりと下げていく。指先に伝わる薄い陰毛の感触。濡れそぼって肌に張り付いた毛先を掻き分けて、止まらず先に進めていく。
 包皮を押し上げ、固く膨らんでる肉芽には触れないように。これはあの子に食べてもらわないといけない、大事な果実なのだから。
 潤みきった陰唇を指先でなで上げていく。人差し指と中指で、両の花びらを綻ばせるように。形を確かめるように縁を撫で上げていく。それだけで、とろりと粘り気のある恥ずかしい水が指にまとわりついてくる。
「右手も使って上げないと、おっぱいが寂しそうだよ? 姉さん……」
 食い入るように私の痴態を見つめてる妹が囁いてくる。姉さん、と呼びかける声が私の理性も羞恥も麻痺させてしまう。今の彼女の声は、まるで私を操る人形遣いの糸のよう。そっと右手の指を動かして、自分の乳房を揉みしだいた。
 はじめはゆっくりと。境界線を描くようにふくらみの裾野を回していく。汗などかかない筈の私の体なのに、ほてった肌がしっとりと指先に吸い付くかのよう。
 もう少し、もう少しじらして。快楽に突き動かされるまま進んでしまえば、私はどうなってしまうか分からない。なのに指は頭の命令に従わず、勃ちあがった桃色の乳首をつまみ上げようとする。それを必死で思いとどまらせて、緩やかなふくらみを弄ぶに留めてく。
 もちろん左手も休むつもりはない。幾度となく陰唇のまわりに指を滑らせて、私自身の形を、愛しい妹に見せ付けていく。
 見て頂戴、アルクェイド。
 あなたの姉は。誇り高きブリュンスタッドの名を受け継ぐ私は、こんなにいやらしい形をしているの。
 指が溶けてしまいそうなほど熱い蜜を、干からびてしまいそうなくらい垂れ流して。ちゅくりちゅくりと音を立てて、体の隅々まで、妹の目に晒している。
 その視線に焦らされて、だけど、もう我慢できない。
 伝わる雫に導かれるまま、両の指を中に突き入れた。同時に右手が乳首に触れ、千切れんばかりに摘み上げる。
 とたん、突き抜ける電流。
 容赦なく頭の天辺まで、私の体を痺れさせた。
「あぁ、あぁぁああぁっ!」
 何、なのだろう、これは。
 腰が抜けてしまいそう。
 あまりの刺激に、意思に反して私の体が震えだす。漏れる悲鳴が尾を引いて、唾液が口の端から流れ落ちてしまう。
 視界が白くぼやけて、よく見えない。
「はぁ、あぁ……っ」
 絶え絶えの息を掻き集めて、うねる悦楽の波が静まるのを待ち続ける。
 実際に肌を重ねたわけでは無いのに。アルクェイドの前で、自らの指で慰めた。ただそれだけなのに。
 (朱い月)に組み敷かれ、この身を貫かれた時も。
 戯れに侍女や近習を組み敷き、一夜の快楽を求めた時も。
 男も、女も。いたいけな子供や手管に長けた者たちも。幾十万の夜を数える間に、覚え切れぬ程の者たちが私の体を通り過ぎて言ったけれど。こんな快楽は感じた事がなかった。
 快感に打ちのめされて狭まった視界が広がっていき、世界に色が戻っていく。
 だけど部屋の中には未だすすり泣く様な声だけが響いている。
 くちゃくちゃと、粘り気のある水をかき回す音だけが響いてる。
 私の声でも、私の指の音でもない。
「ぁあ……っ! ……さんっ!」
 私の声でなければ、声の主は一人だけ。
 立て膝で開いた足の間から見える光景に、息を呑んだ。
 私の内股に息が掛かるほど近く、四つんばいになったアルクェイドが、荒い息をついている。片腕で体を支えて、もう片方の手をスカートの中に差し入れている。
 秘所を蕩かす私の指の動きを、食い入るように見つめてる。自らも指を動かす度、お尻が揺れ、くぐもった水音が部屋に響いている。
「姉さん……アルトルージュ、姉さん……っ!」
「アルクェイド……あなた……」
 私の浅ましい指使いに突き動かされるように、アルクェイドも自慰に溺れてる。私の奥を見つめて、私の名前を呼びながら、火照る体を突き動かしている。
「もう待てないよぉ! ちょうだい……姉さんを食べさせてっ!」
 そんな自分の叫びに突き動かされたかのように、私に向かって崩れ落ちてきた。
 濡れた、温かい者が私の内股を舐め上げてくる。そこを濡らす雫をぺろぺろと舐め上げながら、アルクェイドの舌が、泉の源目指して這い上がってくる。
「んはぁ、姉さんの、美味しいよ。甘くて、とても……」
「ぃや……だめよ……」
 数限りなく言われた言葉なのに、アルクェイドの口から聞かされると、何故こうも恥ずかしいのだろう。自分だって今にも達しそうなのに、恥ずかしがってる私の姿を楽しんでいるのか、この白い猫はミルクを舐めるのをやめてくれない。右の太股の次は、左。源泉の側まで来ると、ついと気を変えた様に別の所に移ってしまう。
 荒々しい吐息が股をくすぐり、舌の動きが激しさを増してくる。
 ようやく止まったかと思ったら、想像もつかないことをされてしまった。
 濡れそぼった秘所を通り過ぎ、毛繕いするかのように私の秘毛をなめ回された。内から外へ、既に濡れて恥丘に張り付いたそれを撫で付けるように。まるで本当に白猫が、私にじゃれ付いているよう。
 そんな事、今までされた事がないのにっ!
「あはぁ、姉さんたら髪の毛と一緒だね。こっちの毛も黒いんだ。薄いけど、毛自体が固いのかな、ちょっと気持ちいいね」
「ば、馬鹿っ!」
 変な事を言うから思わず頭を叩いてやろうとしたのに。
「んぁ……んむ……」
「…………っ!」
 思わず声を失うほど、快楽が破裂したように広がっていった。
 陰唇を滑り落ち、アルクェイドの舌が私の奥を抉った。分かるのはそれだけ。
 濡れた彼女の唇が、濡れた私の秘裂に重ねあわされて。熱い舌が、奥底まで抉り上げてくる。
「ああッ……アルクェイドッ! もっと……ああああっ!」
「んちゅっ、はぁ……姉さん、気持ちいい?」
「おねが……やめな、いで……いい……」
 一度達してしまった体が、際限なく高みに上ろうとしてる。先ほどよりまだ上に、もっと上に。アルクェイドの舌が私を掘り進める度に、雫は際限なくあふれ出し、私の中身がどろどろに蕩けていってしまう。
 気持ちいい。
 ただその言葉だけが。ただ、気持ちいいという言葉だけで頭の中が埋め尽くされてしまっている。
 体がソコしか無くなってしまったような。
 アルクェイドの唇と舌しか感じられない。何も見えない。目の奥でぱちぱちと火花が散ってしまってるだけ。
 私の左手は痛いくらいに秘唇を広げて見せて、体を支えきれなくなったアルクェイドが股間に顔を埋めてくる。腰が抜けてしまっても、スカートの中に忍び込ませた彼女の指は止まっていないみたい。
 ぴちゃぴちゃと響くのは彼女の舌使いで、ねとりとくぐもった響きは彼女の指使い。空いたもう一つの手で私の乳房に手を這わせてきて、淡い私のふくらみが激しく揉み潰されてしまう。私の右手もそれに釣られて、もう一つの乳首を摘み上げた。
 痛みが快楽になって、快楽が悦楽を加速してく。激しく、激しく止まる気などまるでなしで。
「真っ赤になってる。姉さんのあそこ、真っ赤になってぱっくり開かれて。食べて食べてもえっちな蜜が溢れてくるよ……んちゅ、ぁあ……」
「なめて、舐めて啜ってお願ぃ、アルクェイドぉ……」
「んぁ、っふぅ……んちゅ、姉さん、この辺がいい、の……?」
 私の懇願に、妹が舌で答えてくれる。抉られた事も無いくらい奥底に舌が伸びてきて、味わった事も無い感覚を引きずり出されてしまう。
「あは、いっちゃ、おう……ねえ、さん、いっしょに……」
 止めを差して上げる。そう言わんばかりに。
 引き出されたアルクェイドの舌が、尿道口をなめ上げてきて。
 そして、ぷくりと膨らむ陰核に、浅く歯を立てられてしまった。
「はぁ、あぁぁぁぁっ!」
 ぷつり、と。
 意識の糸が切れる音がはっきりと聞こえるような、そんな甘美の衝撃が全身を突き抜けていく。視界がハレーションを起こして、アルクェイドの姿も良く見えない。
「い、くぅ……だめぇ……アルクェイド……」
 自分の言葉が引き金になったかのように。
 ぽんと空中に投げ出され、そのまま落ちていくような浮遊感に包まれて、私の意識が闇に沈んでいった。


<続く>





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