意識を失っていたのはどのくらいなんだろう。
 指の先にも足の先にも徐々に力が篭ってきて、ぼやけた視界が焦点を取り戻してく。下腹に掛かる重みに目を向ければ、とろんと潤んだ瞳でアルクェイドが頭を預けて荒い息をついていた。お腹に掛かる息がひどく熱くて、彼女もまたイッてしまったんだなって伝わってくる。
「ねえ……さん、すごく、気持ち良さそうだったよ……」
 ぼんやりとした目線で私の顔を見つめて、消え入りそうな声でそんな事を呟く。そんな彼女の顔こそが、どうしようもなく可愛らしかった。
 私の中によからぬ企みが形を成して、この子の顔がそれを加速する。
 やっぱり、姉としてやられたままじゃ割に合わないわよね。
 しっかり、気持ちよくしてあげないと。
 はしたなく開きっぱなしだった両足を、投げ出されていたアルクェイドの体に絡める。
「……え?」
 胡乱な呟きを漏らす妹が、我に返る前に。
「えいっ!」
 横向きにアルクェイドごと体を半回転。絡めた足を始点にして私はそのまま跳ね起きた。
「え、え、え……?」
「今度は私の番よね?」
 先ほどとは逆の体勢。仰向けに組み敷いた彼女のお腹の辺りに、私が馬乗りになる形。セーターの毛羽立った毛先の感触がむき出しのあそこに触れてくるけれど、あれだけ濃密な快感を味わった後だと、その甘噛ゆい刺激がむしろ心地いい。
「ね、姉さん……?」
「やっぱり、私だけ気持ちよくされるのって良くないと思うのよ」
「ええと、そんなの気にしなくてもいい……はぁうっ!」
 仰向けになっているというのに、重力にいささかも屈する事無くセーターを押し上げている二つのまるみに、愛情を込めて指を這わせてみせた。途端にびくりと体を震わせるアルクェイドの姿がとても愛らしい。
 あれほど私を楽しそうに攻めていたのに、くるりと体勢を入れ替えたら途端に気弱な子猫になってしまったよう。
 うん、本当に、この子は可愛い。
「だから、ゆっくり味あわせてあげる。千年を超える年月を過ごしてきた、このアルトルージュ・ブリュンスタッドのテクニックを……」
「えー、そんなことしなくてもぉ……んむ」
 まだ何か言いかける妹に圧し掛かって、その唇を塞いでしまう。まだ舌は入れずに、重ねられた唇の間をそろりとなめ回していく。触れ合うそこが火がついたように熱い。
 ちょっとした思い付きが頭に浮かんだ。彼女を慈しむために手を抜くのは失礼だものね。
 内に向けていた力を、少しずつ解き放っていく。重い拘束具を脱ぎ捨てるように。一枚一枚、蛹が羽化するように。
 音も無く光に包まれた私の体が、本来の姿を取り戻していく。
 たおやかに伸びた手足、形良く膨らんだ乳房。すらりと引き締まった腰に、柔らかく丸みを帯びたおしりのライン。普段の姿と変わらないのは、腰を超えて伸びたこの髪の毛くらいだろう。
 アルクェイドの姉として恥ずかしくない、元の私の姿を目を丸くして見つめてくる。
「ふふ。あんまり体格に差があると、気持ちよくしてあげるのも大変だし、ね」
「もう、姉さんたらそんな事に力を使わなくても……んぁっ……」
「いいから、今度は私に任せなさいな……」
 呆れたように呟くアルクェイドを黙らせるべく、馬乗りになった体をずり下げていく。
 服越しなのに、妹の体が燃えそうな位に火照ってる。不安と確かな期待が入り混じった視線に、こちらの体もすぐに熱が戻ってきた。
 腰を動かす度に、私の奥底から滴り落ちた雫が、彼女のスカートを汚していく。ぽたりぽたりと後に残る雫が、私の欲情を如実に表している。、本当に、何ていやらしいんだろう。
 だけど私の目は逃す事無く捉えていた。アルクェイドのスカートに残る、私のものとは違う湧き出した染みを。彼女の自慰で湧き出た愛液が、ショーツを濡らすだけでは留まらず、スカートにまでしみこんでいたのだろう。
「ふふ、アルクェイド、これはなぁに?」
「いやっ! だめだよ、姉さん見ないでっ!」
 その場所を突付いてやると、途端に顔を真っ赤にして手で覆い隠そうとしてくる。だけどそんな事はさせてあげない。伸びてきた手を掴んで、頭の上に押さえつけてしまう。
 そのまま私の体で押さえ込むように、アルクェイドに圧し掛かった。
 互いの乳房が重なり合って押しつぶされた。先ほど揉みしだいた時も思ったけれど、ブラジャーもつけていないのだろう。服越しに伝わる柔らかさがえもいわれぬ心地だった。
「あんなになるまで指を動かして。アルクェイドッたら、はしたないんだから……」
「姉さん、だって……あんなに指を深く……」
「ええ、あなたの視線や声でどうしようもなく感じてしまったのだもの。だけどあなたはそれを見てるだけだったのに。私は何も言ってないのに指を滑らすアルクェイドは、真祖のお姫様だなんて思えないくらいにいやらしいわよね」
「やぁ、そんな事ない、よぉ……」
 視界には互いの顔しか移らないほどに寄せ合って、アルクェイドに囁く。とろんとした目で、だけど恥ずかしそうにいやいやと首を振る彼女の姿に、奥底の嗜虐がくすぐられる。
 手の中に飛び込んできた、白と金の毛並みの猫を、どうやって可愛がってあげればいいだろうか。
 巡る考えを形にする間、私の手が無意識に彼女の髪に伸びていた。
 途端、頭を引かれるような感触に目をやれば、アルクェイドも手を伸ばして、私の髪を梳いていた。
「姉さんの髪、本当に綺麗だよね……艶々としてて滑らかで、なんか吸い込まれちゃいそう……」
「そんな事無いわよ。あなたの髪こそ、月の光を集めたみたい……」
 やむをえないとはいえ、艶やかに伸びたこの金色の髪を奪ってしまった。罪悪感がちくりと胸を刺してきて、許しを請う様に何度も何度も、髪の毛を梳き下ろす。
 彼女の髪にそっと口付けた。そのまま顔をずらして、端から覗いている耳に舌を伸ばす。
「ひゃっ!」
 可愛い悲鳴で首をすくめる。その様に私の心も刺激されて。耳たぶをそっと甘噛んでみせた。途端、背を仰け反らせて、こちらが思った以上の反応を見せてくる。
「あら、あなた耳が弱いのね……」
「ちがっ、そんな事ないよ……ぁぁぁっ!」
 恥ずかしさを隠そうとして口をついてでた嘘も、息を吹きかければすぐに悩ましいあえぎに変わってしまう。挨拶程度でこれでは、この先に進んだらどうなってしまうのだろうか。妹の感じやすい体が微笑ましくもあり、そして少々怖くもある。
 だけどもう、止まれない。
 眦に口付けを落とし、浮かんだ涙を受け止める。揺れる熱情を紅い瞳に浮かべて、私を見つめてくるアルクェイドに、安心なさいとその頭を撫で下ろす。
 浮かび上がるこの感情はなんだろう。彼女の体を思うままにしたい気持ちと、彼女を優しく包み込みたい慈愛が入り混じってしまってもう良く分からない。
 斑模様の思いのまま、アルクェイドの頬に手を這わせた、ずり下がる掌に合わせて、私の舌も彼女の頬を撫で下ろしていく。
 手に、舌に伝わる彼女の体が、灼けそうなほどに熱い。互いの思いが際限なしに、体の熱を高めてしまってるよう。
「ねえ、さんっ!」
「あっ……」
 感極まったのだろうか、背に手を回され、ぎゅっと引き寄せられた。私もベッドと彼女の背の間に腕を通して、白い体を抱きしめる。
 とく、とく、とく、とく。
 押しつぶされる乳房の奥で、彼女の鼓動が胸に伝わってくる。天井知らずにリズムを刻むその音が、この子の興奮を露にしてる。
 だからきっと向こうにも、私の興奮が伝わってる。
 そのまま掌を滑らせて、アルクェイドの背中を撫で下ろす。セーターごしなのに溶け込みそうなほど柔らかくて、そのまま私も混ざり合ってしまいたくなる。服越しでこれなのだから、直に触ったらどれほどの感触なのか。勿論今までだって触れた事はあるけれど、今日のアルクェイドはきっと今までとは違うと思う。
 私の手の動きを追うように、アルクェイドの手に背中を撫で回された。背骨に沿うように、滑らかな指先が腰先まで降りてくる。そこで止まらず、更に下まで。
「は、あっ……!」
 油断していたから、刺激が格別だった。お尻に手を回されて双丘を緩やかに揉みしだかれてしまった。
「こ、こら……アルクェイドッたら」
「あったかくて、柔らかいね……わたしの指も溶けちゃいそう」
「……あなたったら、本当にいたずら娘ね」
 思ったよりも余裕があるみたい。なら私ももっと激しくしてもいいと言う事よね。
 お尻に手を回されたから、甘い拘束は弛んでる。片肘をついて体を支えて、腰を浮かせて彼女との体に隙間を作る。
 そのまま、自由になったもう一つの手で、彼女のセーターをめくり上げた。
「あっ……」
「……綺麗ね」
 目を丸くするアルクェイドに向かって、思わず呟いた。服の戒めを解かれてまろび出る二つの乳房は、思わず溜息が漏れるくらいに大きくて、瑞々しさに満ちていた。大きさも、形の美しさも、今の私ならなんら劣る所は無いけれど、でもこうして目の当たりにするとやはり綺麗で、そして美味しそうだった。
「やぁ……姉さん、あんまり見ないで……」
「あなたも私の物をずっと見ているのだもの、おあいこよ」
 既に赤らんでいた顔を更に赤くして、消え入りそうな声で呟いてくる。だけど乳房もその先も隠そうとはしないで、手はわたしのお尻のあたりに回したまま。
 だから彼女が何を望んでいるか――それを叶えてあげないといけない。
 濡れた唇に吸い寄せられるように、何度目かもうわからない口付けを。薄く開いた隙間に舌を通して、歯表を軽く突いてみせる。すぐに舌を求められると思ったのだろう、びくりと身を震わせて、驚きをあらわにしてるのが伝わってきた。歯の次は唇の裏。彼女の予想を裏切る所を攻める度、私の下で身を震わせて、そして張り詰めた緊張がほぐれていく。
 彼女の手が私のおしりから滑り落ちて、ベッドに投げ出される。感極まったとばかりにシーツを掴んで背を反り返らせている様が、私の心をなおさら掻きたててくる。
「もっと、キスして欲しい?」
「うん、姉さん、もっと……」
 口付けの合間に頬を撫で、そっと問いかけてみる。切れ切れの言葉で熱っぽく返される答えに満足してそのまましばらく舌先を動かしている内、湧き出た唾液が舌を伝わって、彼女の口の中へと流れ落ちてしまう。
 こくり。
 そんな音が耳に届いた。目を細めたアルクェイドが喉を鳴らして、私の唾液を飲み込んでる。
 姉さんったらはしたない。
 視線がそう語ってる気がして、私の体が燃え上がった。
 もっと恥ずかしい物を、ついさっき啜り上げられた筈なのに。そんな音を立てて私の下卑た雫を嬉しそうに飲まれると、こんなにも恥ずかしくて、そして嬉しい。
「もっと、して……姉さんをちょうだい。沢山、ちょうだい……」
 餌をねだる子猫のように、私を求めるアルクェイドに請われるまま、舌を差し入れて今度は迷う事無く彼女に絡めていった。
 直ぐにくちゅくちゅと、淫らな水音がベッドの上に響いてく。それに引かれて頬に這わせていた手をずり下げていって、そっと乳房を撫で上げた。
 手に余るほど大きいそれは、砂糖菓子(マシュマロ)のようにふっくらと、私の手を押し返してくる。その感触が楽しくて、二度三度と指を沈み込ませて、そして弾かれてみる。
 激しいキスを交わしたまま、ピアノを爪弾くようにアルクェイドの体を奏でていく。私の指に合わせて彼女は体を震わせて、潤んだ瞳から銀の雫が零れ落ちていった。
「私にも、して頂戴」
 囁いた淫らな希望は直ぐに叶えられた。ゆるゆると伸ばされたアルクェイドの手が、私の胸に触れて、そっと押し上げてくる。
「あは、姉さんのおっぱい、大きくなったね……わたしより大きいのかな」
「どうだろう? 同じぐらいだと思うけれど。さわり心地も負けてないわよ?」
「うん、ふかふかとして……気持ち、いいよ」
 そんな戯言を言い合いながらも、互いの手はもう止まらない。
 互いの体の狭い隙間で、お互いに乳房を弄りあう。その上では、息もするのももどかしいと言わんばかりに舌を絡めている。
 姉も妹もなく、女同士だという禁忌すら遠くに飛び去ってる。
 私も、そしてアルクェイドも目の前に映る体を貪る事しか考えられなくなってしまってる。
 キスだけじゃたりない。これだけじゃ足りない。
 アルクェイドの全てを晒してしまいたい。
 この夢のような時間を、許される限り続けていきたい。
「もっと、あなたの事を見せて、アルクェイド……」
 切望の形をした命令に、唇を重ねたままアルクェイドが頷いてくれる。その答えに満足して、私は腰を動かして、彼女に圧し掛かっていた体を横へよけた。
 そのまま攻められると思っていたのに。そんな顔で不思議そうに見つめるアルクェイドに目で微笑んで、乳房をもてあそんでいた手をそっと外す。
 絡ませていた舌を引き抜き、身を起こすと、唾液が糸となり私たちを繋いでいた。中ほどで玉雫になって、アルクェイドの乳房に落ちていく。
 くすりと口元を弛ませたまま、私は指先に力を込めて、爪を伸ばす。私たちの匂いの篭った、淫蕩な空気を裂く乾いた音が響き渡る。どんな刃物よりも鋭いその先を、スカートのウェストの位置に引っ掛けた。勿論、肌を傷つけるなどと言う迂闊な真似などしない。それがちゃんと伝わっているのだろう、アルクェイドの瞳も期待に潤んでいた。
 つー、と踵の辺りまでまで爪を走らせる。絹裂ける乾いた音に一分後の未来を想像して、はしたなくも小さく喉を鳴らしてしまった。
 逆側も同じように薄い筋を。セーターにも爪を当てたけど、すぐに思い直した。こちらは邪魔にはなっていないし、何よりずり上げた裾先から乳房がまろび出てる眺めは、捨て去ってしまうのが惜しいくらい、いやらしいものね。
「全部見てあげるね。あなたの体を、もっともっと可愛がってあげる」
 爪を戻して、赤く染まって固くなっているアルクェイドの乳首に口付けた。途端に身を張り詰めさせて、すぐにくたりとなってしまう。その様に頬を緩めながら、唇を下へ下へと這わせていった。
 私も目を閉じたまま、乳房に顔を埋めてその感触を楽しんで。そのまま脇腹から腰へと流れていく。そして。
 唇に当たる厚い生地の感触に、目的地を確認。そのままスカートの端を噛み締めて、体をずり下げていった。
 はらり、と。
 まるで一枚の薄布を取り去るかのように、私の爪で入れた切れ込みに従って彼女の服が脱ぎ去られていく。
 スカートも、ストッキングも、その下のショーツも。はらりはらりと滑り落ちて、彼女の全てを露にしていく。
「……綺麗ね、本当に綺麗」
 思わず口をついて出た、そんな陳腐な言葉は正に私の本音だった。
 すらりと伸びた足は長く、その肌は白くどこまでも透き通るよう。その付け根に翳る恥毛は彼女の髪と同じ蜂蜜色で、私のそれと同じように、濡れて肌に張り付いていた。
 何で濡れているのかなど、今更言うまでも無い。太股までてらてらと光り輝く、淫らな水跡に惹かれるまま、私は彼女の足首を掴んで――
「ふぁ、あっ?」
 引き上げてころりと転がしてしまう。目を白黒させるアルクェイドに構わずに、でんぐり返しの中ほどで止めるような不自然な体勢で固めてしまう。腰を中空に突き上げて、肩と首で体を支えるような苦しげな格好に、アルクェイドの目の端に涙が浮かんでる。彼女の背に体を寄り添わせて支えてあげるけど、自由にはしてあげない。なだらかな裏股に腕をかけて、柔らかいお尻の肉を割り開いていく。
 金の痴毛に縁取られ、蜜に濡れほころんでいる秘裂も、その下の小さな菊座のすぼまりも、隠す事無く私の目に晒されてる。足の間から見えるアルクェイドが怯えた目で見つめている。
「姉さん、こんな、こんな体勢、恥ずかしい……」
 消え入りそうな声で鳴き声を上げる妹。
 その視線にぞくりと、奥底が湧き立ってしまう。
 もっと鳴かせてあげたいと思ってしまう。
「本当に恥ずかしいの? 嬉しいの間違いじゃない? だって……」
 ぱっくりと口を開けている秘唇に口付けて、周りをゆっくりと舐めあげていく。後から後からあふれる愛液に、私の舌が溺れてしまいそうになる。
 くちゅりくちゅりと、私が顔を動かす度に、はしたない音が響き、妹の顔の顔がふにゃりと蕩けていく。
「ああっ……ダメッ!」
「こんなになってるわよ?」
 唇を動かす度に、身を捩る様が愛しい。悪戯心が芽生えて、舌を上の方へ滑らせていく。
 舌先に触れる、髪とは少し違う短い癖毛。濡れて解れてはいるけれど、舌先につんつんと固い刺激が伝わってくる。その感触も気持ちいい。
 撫で付けるように内から外へ、アルクェイドの雫を味わって、跳ね回る彼女の毛を、はしたなくも毛繕いしてあげる。
「や、だめ、そんなの、だめぇ、ああっ……」
「アルクェイドったら思ったより毛深いのね。ふふ、やり甲斐あるわ……」
 恥ずかしがる彼女の声が、更に私を突き動かしていく。ぴちゃぴちゃと、わざと音を出してみたり、時には唇で挟んで引っ張ってみたり。その度に身を捩るアルクェイドにぞくぞくしてしまう。
 痴毛をぐっしょりと濡らしていた、妹の愛液を舐め取って、代りに私の唾液で浸してしまう。くたりと肌に張り付いた毛の下で、くっきりと浮かび上がる妹の女の形。
 だけどせっかく拭いてあげたのに、後から後から花の蜜はとめどなく流れしたっていく。
 うん、上の方は綺麗にしてあげたから、今度は下も舐めとってあげないとね。
 顔を上げて、湧き出る雫を追いかけるように指を滑らせてく。会陰を通って、そして小さな窄まりへと。
 私の狙いが分かったのだろう、目を見開いてじたばたと身をよじる妹。
「わ、だ、だめっ! そこ違う、そこはぁ……」
 もちろん、聞いてあげるつもりはない。
 滴った愛液を刷り込むように、人差し指をあてがってぐりぐりと回してく。無理にしたら痛い思いさせちゃうから、あくまで柔らかく、優しく。
 指先に伝わる熱に身震いしてしまう。その内にアルクェイドも暴れるのをやめて、私の指の動きにあわせて深く息をついている。手で隠して私に顔を見られないようにしてるけど、指の間から見える瞳は、確かに快感に潤んでる。
「はぁ、ああ……ひゃう、だぁめぇ……」
「あらあら、ちょっと触られただけでもう感じちゃうんだ? 志貴君にいやらしくされちゃったのね」
「やぁぁぁ、そこ、違うのにぃ……」
「いやらしい汁がこんな所まで伝わってるわよ。私の指、もう溶けちゃいそう」
 火傷してしまうような錯覚。
 妹の菊座は、私の指を簡単に飲み込んでしまうくらい緩んでる。伝ってきた愛液と、染み出た腺液で、まるで秘唇のように濡れて開いてしまってる。
 てらてらと、蜜を流して誘ってる。引き寄せられるまま、妹の陰肛に口付けた。
「ひゃ、あぁっ! あああぁあっ! だ、だめぇ姉さんそこだめぇ」
「何が駄目なのかしら? こんなに潤ませて、慰めてっていってるのに」
「そこ、きれいじゃないよぉ……あぁ、舌いれちゃだめぇっ!」
 いやいやと頭を振るけれど、おしりは快楽に忠実で私の顔に擦り付けられてくる。
 女陰と違って物を入れる場所じゃないから、唾液にまみれた舌であっても中々先には進んでいかないけれど。少しづつ、おしりの緊張が緩むたび、求められるまま舌先を尖らせアルクェイドの奥底を舌で掘り進んでいく。
 その度に、びくびくと体が震え、熱い吐息が彼女の口から漏れていく。
 感じてる。
 私におしりの穴を舐められて、抉られて。アルクェイドが達しそうになってる。
 この子だけじゃない。お尻をついて、ぺたりと座り込んでいる、私の秘所ももう洪水のようだった。
 妹の、人目に決して触れさせることのない不浄を舌で穿り返す。
 この子の全てを抱きとめて、思うが侭に慈しんでる。そう思うだけで、体の栓が崩れて消えてしまったかのようだった。
 私が舐めて、攻めて組み敷いてる筈なのに、さっきの様に攻められてしまっているような。もうどっちがどっちだかわからない。
「ねえさん……ねえさんっ!」
 そんな私に向かって、掠れた声でアルクェイドが叫ぶ。
「なぁに、アルクェイド……」
「いやだよぉ。わたしだけ気持ちいいのなんていやぁ!」
 こんな時に。
 もう頭も体ものぼせてしまってる時に、そんな事を切なげにねだってくるなんて反則。
 切なげに私を見上げる妹の目が、私を欲しいって囁いてる。うずく私の秘部が、この子を欲しいってせっついてくる。
「ねえさん、姉さん……ねぇ……一緒にぃ」
「ええ、分かったわアルクェイド。一緒に気持ちよくなりましょう」
 抱きかかえていた彼女の体を横たえて、そのまま腿を持ち上げる。彼女の足がレールになって、私の股間を滑らせていくような格好。てらてらと光る私の愛液の筋が、そのまま彼女の秘唇へと伸びていって。
「ひぁうっ、ね、姉さんの、感じるぅ!」
「あ、るくぇいどぉ、ああ、あなたのぉ!」
 声が途切れて、意識も途切れて、もう自分が何を言ってるのかも分からない。
 互い違いに松葉を組み合わせたような、お互いの秘唇をすり合わせるはしたない格好。
 ぐちゅぐちゅと、いやらしい水音が響いて、妹のあそこの形がよくわかってしまう。陰唇がめくれあがって、中の肉をすり合わせてる。そんな様子がはっきり伝わってくる。
 私が腰を擦り付けて、受けた彼女も足りないとばかりに腰を揺らしてくる。
「あ、あぁぁぁっ! 駄目、そこ、だめかんじちゃうぅ」
 叫んでいるのが私なのか、彼女なのか分からない。ただ圧倒的な快楽に腰から溶かされてしまってるよう。
 私が私でなくなって、アルクェイドを求める一匹の雌になってしまってるような。
 アルクェイド、あるくぇいどあるくぇいど。
 私の妹、大事な妹、大好きな妹。
 このいやらしい肉の感触が妹の秘肉で、それを感じてるいやらしい肉が私のはしたない唇で。
 姉だという思いは遠くへ飛び去って、ただ心の奥底の思いだけを叫んでしまった。
「アルクェイド、愛してるのアルクェイドォ!」
 そして。
 熱に浮かされ、悲鳴のような叫びで答えてくれた妹の声も耳に届いた。
「ええ、わたしもぉ! わたしも愛してる、姉さんをアルトルージュを誰よりもぉ!」
 愛してる。
 何よりも嬉しい、その言葉が最後の堤防を崩して、心が空高く跳ね上がっていく。視界も頭の中も真っ白に染め上げられて、私の意識はハジケ飛ぶ。
 誰よりも愛してる。
 その言葉だけが頭の奥に響いて。
 全てが闇に沈んでいく刹那、私の頬を涙が伝っていた。







 目を覚ました先に広がっているのは、見覚えのある遠野家のリビングだった。
 私の体は少女の姿へと戻っており、身を包むドレスにも乱れはない。
 向かいのソファではグラスを抱えたままの秋葉ちゃんが背もたれに揺りかかって寝息を立てている。床に横たわって寄り添うように眠っているのは双子のメイドさん。
 そして私の隣では、志貴君に優しく抱きとめられて、アルクェイドが気持ち良さそうに目を閉じていた。彼も最愛の恋人を胸に抱いて、安らかな寝顔を浮かべている。
 テーブルの上にも、床にも、大量の酒瓶とグラスが並んでいる。私の手にも空になったグラスが握られていた。落とさないで済んだのは幸いだったかもしれない。
 窓に映る月の傾きから、もう日付が変わったんだと理解する。
 昨日はアルクェイドの誕生日。忌むべきあの教会の聖誕日を誕生日にするなんて、何事にも無頓着なこの子らしい。本当の誕生日を知ってはいるけど、言わない方がいいだろうな。愛すべき家族に祝ってもらえる、彼女自身が決めた大事な日だもの。
「出ていらっしゃいな」
 私の呼びかけに答えるように、ソファの影から見事な毛並みの黒猫が顔を出した。首に巻かれた黒いリボンが、歩みを進めるたびにふりふりと揺れて可愛らしい。
 甘く優しいあの悪戯の主が、不思議そうに小首をかしげて見つめてくる。
「そう、あなたの贈り物だったのね……」
 はるか昔、アルクェイドが祖の一人を滅ぼした時に力を借りた魔術師。万華鏡の魔道翁の知己だったという男の使い魔が、主の亡き後アルクェイドの物になったというのは聞いていた。
 普通だったら、どれだけ強力な夢魔の業であっても、与えられた夢になど落ちたりはしないけれど。この暖かい安らぎの中でこの子なりの思いやりを自然に受け入れてしまっていたのだろう。
 見れば他の皆の顔にも、どこか嬉しそうな表情が浮かんでいる。
 心に望む夢を見せられて、今頃は幸せな時間を送っているのだろう。
 望む夢。
 確かにあれは私の望みの一つの形ではあったけれど。
 アルクェイドと共に、安らぎと悦楽に耽る。他には何もいらず、他の誰も要らない二人だけの閉じた愛。夢魔であるこの黒猫の知る愛の形。
「おいでなさいな」
 手招くと、一、二度小首をかしげた黒猫が手の傍まで寄ってくる。ゆっくりと抱き上げて、彼女を胸に抱いた。
「よく似てる匂いでしょう? 私はあの子のお姉さんだから、心配しなくても大丈夫よ」
 そのまま喉元を撫でてあげると、目を細めてかわいい鳴き声をあげてくれる。
「聞いて頂戴、黒猫さん。私はアルクェイドを愛してるけれど。この愛は、あなたの知ってる愛とは違うのよ」
 彼女の目を見て、そっと微笑む。
 分からない、とばかりに首を振る黒猫の頭をそっと撫でて、私は寄り添って寝息を立てている志貴くんとアルクェイドを見つめる。
 ちくり、と胸が痛い。
 愛に優劣はない筈だけど、姉であり女である私の愛は、あの場所へと行くことはできない。
 アルクェイドが唯一その全霊の愛を向けるのは、あの優しくて怖い目を持った人の子でなければならないのだ。
 私が一番になってはいけない。姉の愛はそこに割り込む事は許されない。
 二人の行く末を、彼の家族の行く末を優しく見守る事こそが、私がアルクェイドへ向けられる愛情なのだから。
「行きましょう。ここは眠り姫たちの揺り篭よ、起きちゃった者は出て行かないと」
 感傷を断ち切るように、私は呟いた。
 ここにこのまま居ると、夢の名残に心惹かれてしまう。 
 黒猫を抱いたままゆっくりと立ち上がると、ドレスの下の下着に、ひやりとした感触を感じてしまった。自分のはしたなさに頬が赤らんでしまう。
「まったく……」
 咎めるように呟いて、また頭を撫でてやると、やはり分からないと言わんばかりに黒猫が小首をかしげた。
「邪魔をしちゃいけないわ。私とあなたは外で月でも眺めていましょう? いい月夜ですもの」
 部屋の中は暖かいから、このままでも志貴君たちが風邪を引くことはないだろう。
 そのまま出口へと向かいかけたけど、後ろ髪引かれるようにアルクェイドの傍で足を止めてしまった。
 目を閉じて、安らかな寝息を立てているその顔にはどこか満ち足りた笑顔が浮かんでいる。今頃、夢の中でも志貴君との逢瀬を楽しんでいるのだろう。
 ほんの少しだけの嫉妬と、限りない愛情を込めて。
「おやすみなさい、アルクェイド。いい夢を」
 その頬に、軽い口付けを落とした。



END





 真冬の夜の夢。
 悩み多きアルトルージュは、アルクェイドを色んな意味で愛していても、やはりお姉さんなのです。
 妹の幸せを第一に。その姿を見るのが姉としての幸せ。お姉さんに幸あらんことを。

   個人的な思い入れ入りまくりのアルトルージュですが、お許し頂ければ幸いです。

 

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