困惑する烈から身を離すと、豪は兄の体を覆っていた着物を引き剥がす。
「なっ、何を…っ」
「烈兄貴は俺のもんだ。だから、今俺のものにするっ」
「馬鹿、止めろっ! そんなことしたら…っ」
「うるせえ!」
体中に舌と指を這わせ、その白い裸体を陵辱しながら、何度も角度を変えては、深く侵入し烈の口内を貪り尽くす。
「ん…、んん…っ」
苦しそうに抗議すると一旦唇を開放するが、頬や顎に零れた唾液を舐め取ると、また烈の舌を吸い上げる。
性行為に慣れきった烈の体は、痺れるような『精気』の波に、全身が鋭敏になり絶頂へと向かってゆく。
(そ、んな…。淫魔である僕が…唇付けくらいで…こんな…っ)
もどかし気に腰をくねらす烈に、豪は満足気に唇を放す。そのまま首筋と鎖骨を伝い、朱色の刻印を刻みながら、淡く色付く胸の突起に舌を絡める。
「や…あああっ」
濡れた舌で嬲られ、歯を立てられ、吸い上げられる
(も…う、だめ…だ…)
生まれて初めて最高の相性を持った『精気』に犯された体は、その心地良さから快楽に貪欲になる。
真っ白になる頭のどこかで、思考回路が停止したのを感じていた。後は、ただこの快楽に身を委ねるだけ。
――――――そして、烈の中の淫魔としての本能が目覚める。
「ご、う…」
快楽に震える両脚を自ら割り開き、両腕を豪の首に廻し、しがみ付く。
「あ、ん…。ごぉ…もっと…して…ぇ」
「烈兄貴?」
「ご…ぉ」
本能に目覚めた烈は、真紅に輝く瞳を淫靡に潤ませ、豪の愛撫を待ち侘びていた。
「はぁん…っ、あ、あぁ…あん…ご、お…もっとぉ…」
「…気持ちいい? 烈兄貴…っ」
白い肢の奥に咲く薔薇色の蕾に舌を這わし、たっぷりと濡らすと、内部へと侵入を開始する。
「はああん…っ」
体の奥から体内へと染み渡ってゆく甘い『精気』に、烈はいっそう乱れる。
「あ…だめ、もうだめぇ…っ! ごう、お願い、来てぇっ!」
「綺麗だぜ、烈兄貴」
すっと烈から一度離れた豪は、その白く細い両足を、胸に付くほど高く掲げた。
「あっ、やだっ! 見ないで、豪…っ」
「淫乱だよな、烈兄貴。ヒクついてるぜ?」
烈に答えさせる間を与えずに、豪は己の欲望を、烈の秘部に突き立てた。
「ああああっ!」
只貪欲に沸き起こる快感のままに柔らかな内部を掻き回す。大きく出し入れする度に粘る水音が、グチュグチュと結合部から零れた。
「ご…ぉ、豪…っ!」
「烈兄貴…っ」
体の一番深い場所で、豪の熱情が迸る。
「あ…ああ…っ」
体中、指の先まで満ちる甘い『精気』の波に、全身を大きく震わせると、そのまま烈の意識は深い闇へと落ちて行った。