フィルシスは目覚めた。
背に、柔らかな感触を感じる。
起き上がって見渡すと、そこは暗黒神官の神殿ではなかった。
ベッドの上だった。
「ここは……」
しかし窓の外に広がる空は、薄暗いあの暗黒世界の空だ。
「…?!」
ふと部屋にあった鏡が目に入る。
そこに映った自分の姿に気づいた。
ふらつく体で、鏡の前まで恐る恐る歩いた。
「…こんな……!」
ただ、絶望と悲しみで絶句した。
気絶する前のことを思い出した。
シャーレンの魔術…
獣と合成させられた自分は以前とは姿が変わっていた。
こんなにも恐ろしい魔術を使うなんて…
金に近い柔らかな茶だった髪の色は、白銀になっていた。
耳と、足首から下は人間のものではなく、白い狼のそれに変わっていた。
尻からも白い狼の尾が生えていた。
透き通るようだった蒼の瞳は、血のような赤、獣の目になっていた。
五感の感覚も変わりきっている。
以前より遥かに鋭くなった聴覚や嗅覚、遥か遠くまで見通せる視覚…
野生の獣のように…
「お目覚めですか?」
部屋の入り口にシャーレンが立っていた。
「ここは暗黒の領域側の私の屋敷ですよ」
「私に何をした…!やはり…お前と…戦わなければならないようだ…」
震える声で叫んだ。
あんなに慕っていたシャーレンと戦わなければならない悲しみと、
そんなシャーレンに裏切られた怒りで、零れ落ちそうになる涙を堪えて。
やらねばならなかった…心が哀しんでいても。
あちらの世界のたくさんの大切な人たちのために。
今や暗黒神官の遺志を継ごうとしているシャーレンを倒さなければならなかった。
暗黒神官と同じように……。
「…!」
しかし、シャーレンが手を掲げると、フィルシスは床に座り込んでしまった。
「だから、言ったでしょう、あの幻獣は私のしもべだった。
あなたもこれからは私のものです。ペットは飼い主には逆らえませんよ」
「何を……!」
屈辱的な言葉に、フィルシスは怒ったが、シャーレンは意にも返さない。
「可愛いですね、犬みたいで」
フィルシスの側にしゃがんで、嬉しそうに尻尾をなでる。
「やっ…め……!」
足の裏の肉球まで触れられると、まるで本当に動物のように扱われている気がして、屈辱的だった。
「う……!」
だが人間の体の時にはなかった感覚に、それが少し気持ちよく感じてしまう。
そんなフィルシスの様子を見透かして、シャーレンは意地悪く微笑んだ。
「これから私に逆らうと、どうなるか、あなたの心と体に教え込まなければなりませんね」
狼の耳を優しくなでながら囁く。
「なに…」
シャーレンが水晶玉を持って来て、呪文を唱え、映し出された光景を見せた。
それはレンドラントの風景だった。
美しい夕日や、聖騎士団や城の人々、国民、そしてフィルシスの恋人のローナの姿…。
しかしそれらはどこか物悲しげだった。
彼らは葬儀を行っていたのだ。
自分やシャーレンを始めとする今回の戦争で死んだとされている人々の…
「向こうでは私たちは世界を救った英雄として称えられているのです。
彼らは平和が来たと信じ込んでいます。確かに、暗黒神官は死んだ、次元の裂け目もふさがれた。
ですが、その意志を継ごうとする者がいるのにね」
はっとしてシャーレンを見た。
もう彼が何を言わんとしているか気づいた。
やはりシャーレンは…
「でも、あなたが私の言うことを聞くのなら、私はあちらの世界に手を出すことはしません」
うつむいて黙り込んだフィルシスの頭をゆっくりなでながら言う。
「さあ、どうします?あなたの返答次第では、世界に手は出さなくても、個人には手を出すかもしれませんよ?」
「まさか…!」
ローナ…
自分も暗黒神官も裏切っていたシャーレン…
約束を守るとは限らなかった…
言うことを聞く…
一体何をさせる気なのだろう…
悪事に手を染めることだけはしたくはない…
しかし、自分には選択の余地はない。
「わかった……」
消え入るようなフィルシスの声を聞いて、シャーレンの端正な顔に不敵な笑みが浮かぶ。
「では、その言葉を、確かめさせてもらいましょうか」
そう言うと、シャーレンはフィルシスの手を取った。
そのまま引っ張られて、仕方なくフィルシスはついて行った。
「ここは…」
浴場だった。
「さあ脱ぎなさい」
「な…何で……!」
突然そんなことを言われて、フィルシスは大きな瞳を見開いた。
「私の言うことを聞くんじゃなかったんですか?」
冷たい瞳で、じっと見据えられる。
仕方なく、フィルシスは騎士団の制服を脱ぎ始めた。
引き締まった筋肉がついているが、色が白く全体的に華奢な体が顕わになる。
「ふーん…」
「……ッ!」
シャーレンに凝視されて、フィルシスは気恥ずかしくなった。
「まずは邪魔なものから無くしましょうね」
背後に回ったシャーレンの膝の上に座らせられる。
フィルシスの局部に、整った長い指が当てられた。
「ひ……っ!?」
いきなり触れられ、フィルシスは身を強張らせる。
「や…っやめ……っそんなとこ……!」
何か冷たい泡のようなものが、股の間を覆っていく。
白いクリームが塗られていた。
「動いちゃだめですよ」
剃刀をそこに当てられる。
冷たい刃の肌触りに、フィルシスは身を強張らせた。
「や……っ嫌だ…!!」
ぞり…、とゆっくりと毛を剃られていく音がする。
覆うものがなくなって、直接空気が股間をなでる感触に戸惑った。
「ぅあ……っ」
何も隠すものが無くなったそこを、フィルシスは直視できなかった。
「子供みたいになりましたね。
あれは特殊なクリームで、もう生えてこなくなるんですよ」
「そんな…?!嫌だ…嫌だ……っ!」
混乱と羞恥でフィルシスは身をよじった。
それでもシャーレンは構わずに、次の器具を手に取った。
小さな注射器。
空いた手でフィルシスの中心を握る。
「な…!?どこ…さわって…やめ…!」
「力を抜きなさい」
「……ゃ…あ…ッ!」
鈴口に注射器を当たられる。
先端の細い管が奥まで入れられると、ねっとりとした液体が尿道を満たしていった。
「…ひ……ッぃ……!」
気持ち悪い感触にフィルシスは身をよじった。
「今のは潤滑剤ですよ、これをそのまま入れたら通りにくいですからね」
くすっと笑って、次にシャーレンが手に取ったのは貞操帯の一種だった。
最初はその鈴口に細い棒が入りこんでいく。
先程の注射器よりは太い。
「…ッ!ひ……ぃや……ッ!!」
くちゅくちゅと音を立てて、無理矢理尿道を押し広げられる感触に、フィルシスは叫んだ。
初めてそんなものを通されて、痛くて涙が出てきた。
「ぃや……痛ぁ…い……!やめて…!」
「ふ…これで勝手におしっこできなくなるね」
最後は根元に黒いベルトが嵌められる。
拘束具を付け終えると、シャーレンは自分以外の者がはずせないように、魔法をかけた。
これからは排泄さえも自分の自由にできる。
「く……っぅ…やだ…!」
恐怖で、フィルシスは思わず声が上ずった。
「誰が主人か分かるようにしてあげましょうね」
シャーレンの白く細い指が、下肢の次はそっとうなじから首筋を弄っていく。
今度は鎖のついた黒革の首輪を手に取った。
優しい微笑みを見せながら、フィルシスの細めの首にはめる。
首輪の方も同じように、自分しかはずせないよう呪文をかける。
奴隷の印を取り付けると、ほっそりとした体を今度は仰向けに寝かせた。
「嫌……嫌だ…っ!」
犬に取り付けるように扱われて、フィルシスは誇りが砕けそうになった。
信頼していた人にこんなことをされるなら、あの時に名誉を保ったまま、死んでしまいたかった…。
それでも、愛する人を守るために、それはできない…。
心の中で二つの気持ちが揺れ動く。苦しいほどに。
「嫌だ…こんな…こんな…!」
「お似合いですよ、フィルシス様」
形良い唇を歪ませて、シャーレンが意地悪く微笑む。
今まで穏やかな笑顔しか見たことなくて、そんな笑顔を知らなかった。
「ん……!」
そのまま耳をなでられると、再びフィルシスは、少し気持ちよさそうな表情をした。
「耳触られるの、好きですか?」
「や…やめろ…ッ触るな……」
「ふふ…本当に素直じゃないですね。今まであんなに私の助言を聞いてくれたのに」
シャーレンは、抵抗しながらも気持ちのよさに力が抜けるフィルシスを、楽しそうに見た。
しばらく犬のような耳をなでた後、今度は足の間に手を滑らせて、肌の白い太ももをなぞった。
「ひぁ……!」
フィルシスの内股がびくりと震える。
愛撫の手から身をよじってのがれようとする。
それでもシャーレンは、暴れて嫌がるフィルシスの足を押さえつけた。
次は、大きな注射器のような器具を手に取った。
「何を…!やめろ…!」
肛門がよく見えるように大きく開かせ、その器具を挿入した。
「ゃあ…ッ!!つめたぃ………ッ!」
尻の奥に浣腸液を注入していく。
自分の見ている前で幼児のように排泄させたら、どんな風に顔を歪めるだろう、どんな風に泣くだろう。
氷の愛しさが湧き上がる。
「もう…嫌…だよ……」
フィルシスは啜り泣いて呻いた。
確かに子供の頃から一緒だったけど、シャーレンに局部まで見られるようなことはなかった。
見せたことのない場所を深い青の目でじっと凝視されて、整った指で弄くるように触れられて、恥ずかしい。
尻に無理矢理侵入してくる冷たい管の感触が気持ち悪い。
「お願い…嫌だ……!」
それでもシャーレンは手を緩めず、液体を全部入れ終えた。
「何も怖がることなんてないですよ、痛いことはしませんからね」
身をよじる体を抑え、漏れないように肛門に栓をする。
屈辱と悲しみでフィルシスは呻いた。
「こんな……!」
怒鳴る前にすぐにその鼻をつまみ、口に瓶を突っ込んで薬を飲ませた。
「んぐぅ……!」
しばらく待ってシャーレンは、苦しそうなフィルシスの腹を抑えた。
苦しさに喘ぐその姿が愛しくてたまらなかった。
大切に思ってるし愛してもいる、でもずっとこんな姿も見たいと思っていた。
「ひぁっ…んっ………!」
苦しさにフィルシスは首を振って、声にならないくぐもった悲鳴をあげた。
便意と尿意の両方を催していた。しかし肛門も尿道口もせき止められている。
「出したいですか?フィルシス様」
シャーレンが冷たい声でささやいた。
今飲ませたのは利尿剤。
「あなたはもう私なしでは生きられない。その拘束具は私にしかはずせないのだから」
「……!」
フィルシスは、はっと目を見開いた。
シャーレンの冷酷な微笑みは、もはや完全に、思い出の中の優しく頼もしいシャーレンではなかった。
「…やだ…シャーレン……どうして……」
でも自分自身も変わってしまったのだ。
こんな化け物なんかにされて。
その時、まだ胸に抱いていた希望…恋人もいて仲間もいたあの時は、もう二度と戻ってこないと悟った。
気が付いたら、頬を涙が伝っていた。
「おや、泣いているのですか」
シャーレンは優しい笑顔に戻ると、そっとフィルシスの涙を拭ってやった。
だが、なでてやった頭が嫌がって、横を向く。
「ふ、まだそんな元気があるんですね」
楽しそうなシャーレンに、フィルシスは怯えた。
「ではまずおしっこからさせてあげましょうね」
「ァ……っ」
性器の拘束具をゆるめる。
鈴口を塞いでいた棒を出すと、代わりに細い管のついた導尿カテーテルを挿入していく。
「嫌…嫌だ…!」
ショックで動けずにいたフィルシスは、再び抵抗した。
しかし、主人に逆らえない幻獣の特性のせいなのか、上手く力が入らない。
何度も自分をなでて抱きしめてくれた、あのやさしい手が、自分の性器を弄ぶなんて。
「嫌だ…っシャーレン…!うっ……」
細い管が尿道に通されるのを感じ、羞恥と苦痛にうなる。
無理矢理押し広げるように入ってくる、その冷たい感触が気持ち悪かった。
「さあ出しなさい」
「嫌だ……!」
用を足す所など、誰にも見られたことはない。
耐えようとしたが、生理的なものだ、止められない。
それでも、膀胱まで通されたカテーテルに、尿道の最奥の前立腺を刺激されて、徐々に快感が湧いてくる。
「んっ…ぅくっ…んんっ…」
大きく股を開かされたまま、フィルシスは背を仰け反らせ、屈辱に痙攣しながら放尿した。
白い内股が、しばらく震える。
「可愛いね、これからは毎日見ていてあげますからね」
目の前で排尿するフィルシスの姿をじっと眺めて、シャーレンは満足そうに微笑んだ。
「や……っ」
カテーテルの先端には瓶が取り付けられていて、尿はそこに集まった。
色の濃い尿が大量に溜まっていく。
「ゃだ……見ないで……っ!」
余韻でフィルシスの体はしばらくびくびくと痙攣していた。
「…ぁ…あ…ッ……」
終わった後、シャーレンはカテーテルをはずし、再び鈴口をふさぐ拘束具をはめる。
「どうして…こんなこと…!」
初めてされる行為の、あまりの恥ずかしさと嫌悪で、フィルシスは嗚咽を洩らした。
「あなたを私のものにしたいと言っているでしょう」
意地悪く微笑んで、涙を流すフィルシスの肛門に挿入した張形をゆすった。
前立腺を嬲るように。
まだ、これからだ。もっと鳴かせてあげるから。
「や…っ…あぁっ…」
不意に襲った快感と苦痛に淫乱な喘ぎを洩らす。
フィルシスの後孔は過去にすでに、慣らされていた。
直属の上司の大司教によって。女を抱くことが許されない聖職者だから。
その時は、自分が抱かれないなら、他の見栄えの良い騎士や、シャーレンを呼ぶと脅されて仕方なく抱かれ、
他の誰かを犠牲にしたくないという思いばかりだったため、聖剣の力を失う事はなかった。
「イくのはまだですよ」
シャーレンはそう言いながら、指の先でフィルシスの性器をなであげた。
陰茎をくにっと押しては離し、ゆっくりとなぶって少しずつ追い詰める。
「あぁ…っ」
細い棒状の拘束具のはめられた先端の割れ目を、指で弄くり、指の腹で全体をなであげる。
白濁した蜜が、せき止められながらも少しずつ、先端に溜り始めた。
フィルシスは、洩れそうになる淫らな声を、歯を食いしばって必死にこらえた。
「うぐぅっ…!やめ…」
シャーレンが腹をさっきよりきつく抑えた。
「もう限界でしょう?」
くすっと、シャーレンが冷たい笑みを見せる。
「これを飲めばすぐに出させてあげます」
差し出したのはさっきフィルシスの尿を入れた瓶だ。
尿の他に媚薬も入れていた。
「いや…だ…できない…」
強く首を振りながらフィルシスは泣いていた。
シャーレンはもう一度ひくつく白い腹を抑え、熱を帯びてそそり立つ性器をきつく握った。
言うことを聞かない飼い犬を躾けるために。
「んやあっ!」
「いいのですか?あなたの恋人がどうなっても…?さっきも言ったでしょう?あなたは誓ったでしょう?」
「はあっ…わかった…飲む…から…」
観念したフィルシスがすすり泣いて、切れ切れに言った。
今までの気丈な彼が見せたことのない、仲間と共に笑っていた彼が見せたことのない、可愛らしい苦悶の表情。
「そう、いい子だ」
暗い声で褒めて、犬のような耳をなでた。
鼻を押さえ、瓶を口にあて一気に飲ませた。
「んんうっ…!」
初めて知る苦い味に、再び涙が流れ出した。
それでも鼻を押さえられて、口は瓶で塞がれているので、息を継ぐために飲まなければならなかった。
体も心も苦しすぎて、気が狂いそうになる。
自分の尿を飲みほすと、フィルシスは慣れない味にむせた。
「残さずに、ちゃんと飲めましたね。少し辛そうでしたけど」
今度は自分のも、慣れるまで何度でも飲ませてあげる…
シャーレンは嬉しそうに、フィルシスの肛門から張形を抜いてやった。
「うっ…!」
「もういいですよ、好きなだけ出しても」
そう言われる前に、その肛門はすでに収縮していた。
「嫌だ…トイレで…」
我知らず涙を流して頼んでも、ただ静かな微笑みでじっと見られるだけだった。
「あぁ…ッ!!」
喘ぎと悲鳴のように、大きく息を吐いて、無意識のうちに尻に力が入る。
汚い水音が鳴り、透明な液が出てきたかと思うと、すぐにそれは茶色の流動物にかわる。
肛門が開くと、その中の茶色い物体が噴出するのが見える。
「んぅ…やだ…見ないで……っ…はぁっ…!」
それでもシャーレンはフィルシスの懇願を無視して前に立ち、淫らな姿をじっと見下ろした。
びちゃびちゃと床を汚すものの音と臭いを感じると、フィルシスは嫌悪と恥ずかしさで消えてしまいたくなった。
「嫌だ…ッ…ぃやだぁ……!」
フィルシスは背を反らせた姿勢のまま、開かされた白い内股をびくびくと震わせた。
排便し続けるのを止められない。
ぶすぶすと、破裂音とともに、固形物が肛門を通っていく感触は、まだ終わらない。
「こんなに可愛いあなたでも、こんなにたくさん出すのですね」
楽しそうに笑う顔。
涙の向こうに霞んで見える。
本当に、あんなに優しかったシャーレンは、演技だったんだ…
仰向けに床の上に倒れたまま排便を終えると、フィルシスはただただ放心していた。
「ひぁ……ッ!?」
そこに再び、尻の中に液体が入ってくるのを感じて、フィルシスは悲鳴を上げた。
「今度は洗ってあげましょうね」
ただの洗浄液ではなかった。
先程の尿瓶に入れたと同じ媚薬を混ぜている…
「嫌…はぁ…あッ……!」
再び肛門が収縮し始める。
無意識のうちに尻を上げて、大きな水音をたてて肛門から液を噴出した。
「ん…もう…やだ……!」
固く閉じた瞳から涙が、食いしばった口から息が洩れる。
液が透明になるまで、何度も肛門に注入されては排出させられる。
ただシャーレンの青い瞳がずっと食い入る様に全てを見ていた。
「ふふ…これからずっと、あなたはこうして、私が許可した時だけ、排泄させてあげる」
「そ…ん…な!嫌だ……!」
フィルシスの心には次々と絶望が押し寄せたが、尻にもう一度張形を挿入されると後孔を満たす硬い感触に、股間のものがびくりと反応する。
シャーレンが首輪につないだ鎖をひく。
かすかに喘ぎを洩らす体を、今度は犬のように四つん這いにさせた。
「んぅ…っ」
膝に力が入らずに、腰が砕けそうになる。
先ほどからすでに勃起し、拘束具でせき止められた鈴口の隙間から、ぽたりと滴が床に落ちた。
「いい子だフィルシス様。今度は私のものを舐めなさい」
「もう…嫌だ…お願い……やめて………」
フィルシスは哀しそうな顔でためらった。
大切な思い出が砕けていくのがわかる。
「何度言わせるつもりですか。あなたの大切な人は、恋人以外にも、たくさんいましたよね…」
シャーレンはかがんでフィルシスの尻に入れた張形をゆらした。
「…ぁん……ッ」
一緒に性器を弄ると、体が震え喘ぎを洩らす。
あの瓶にも、洗浄液にも媚薬を入れていた。
すでに体の内側からも、追い詰められているはずだ。
「あなたが私に逆らう度に、一人づつ、殺していきましょうか…」
白い耳に口付けて、ゆっくりと囁きかける。
「そんなこと…ッ…!」
「最後にはみんないなくなっちゃいますよ?
私はその方が好都合ですけれどね。あなたは余計な心配をせずに済むでしょう?」
「わか…っ…なめる…から…」
冷たく言い放たれる言葉を聞いて、仕方なく飼い主のものを口に含んだ。
「んぅ…んっ…」
のどの奥まで突かれて、しゃぶりつくように必死に舐めた。
「そう…上手ですね。一体何度大司教に咥えさせられたのですか?」
シャーレンはフィルシスがなめている間、ずっとその頭をなでた。
今まで何度もそうしてきたように。
「んぐ……」
最後は口の中に出して飲ませた。
抜くと、細い唾液が糸をひく。
飲み込みきれなかった体液が口の端から流れる。
「はぁ…はぁ…」
荒い息を吐き、涎を垂らす淫らな顔が可愛らしい。
眺めながら、ぐったりと伏せたままの体の腹の下に手を入れる。
「ん…!」
尻を高く上げさせるように腹を押した。
そこから張形を抜く。
「さあ、いい子にできたご褒美をあげましょうね」
熱い体を後ろから強く抱きしめて、胸を弄くる。
蕩けた蕾の入り口を指で広げて、代わりに唾液に濡れた自分のものをその入り口にあてる。
フィルシスの体がぎくりと震えた。
「…っ…嫌だ…やめ…ッ!はずすだけで…いいからっ…!」
「今更何言ってるんですか。私が何年あなたを我慢したと思っているんです?」
後ろからフィルシスを抱きすくめる。
華奢な体が強張って震えていた。
それでも、後孔がひくひくと、蠢いている。
そのまま後ろに挿入し、一気に突いた。
「ん……ぁ…ああぁ……ッ!!」
「私がずっとあなたを育ててきたのに、私は、あなたのどこに触れたらどう鳴くか、まだ知らないのですよ」
自分が最初にこの体に触れたかったけど。
少し嫉妬して、八つ当たり気味に乳首を強くつまむ。そのまま押しつぶすように、指の間で揉んだ。
―他の男のことなんか忘れるぐらい、狂わせてやりたい
―他の人のことなんか考えられないぐらい、傷を刻んでやりたい
「くふ…ぁっ…あ…ッ…!…嫌だ…ッ!」
固く尖った胸の突起をつまみ、ぬらつく性器の先端を弄くった。
今は子供のように、肌がむき出しになったその場所。
白い耳がぴくりとたった。
俯いて、嫌々と首を振る。あふれた涙が床に落ちた。
それでも逃がさないように、締め付けてくる淫らな後孔が愛しい。
「嫌だと言っている割に、嬉しそうですね」
耳元で囁いて、息を吹きかける。
何度も横に振る首を眺めながらシャーレンは、感じていることを見せ付けるように、そそり立つ中心を指でなぞった。
その中心は拘束具に阻まれて、未だ射精できずにいる。
「あ…っ」
甘く漏れるフィルシスの声。
恐怖からの震えが、快感の震えに変わっていた。
「良い事を教えてあげましょうか」
華奢な体を抱き締めながら、フィルシスに教え込む。
「幻獣と融合したあなたの体はもう、これ以上老いる事はないんですよ」
「……ッ!」
びくんと身を震わせて、フィルシスは再び絶望に襲われた。
「だから、あなたも私も若い体のままで、ずっとこうして遊べますよ」
そう教えながら、興奮に先走りを溢れさせている股間をなでる。
乳首の先端を軽く揉んで、上から指の腹で押す。
「あ…ぅ……ッ」
びくんと仰け反る体。
さらに執拗に、ぷくりと膨らんだ胸の先端を爪で弾くと、後孔の中がきゅっと締まった。
「ん…やだ…っそこ…あぁ…ッ!」
締め付けてくる肉壁の、奥の一点を突くと、フィルシスの腰がびくんと跳ねた。
「ここが良い?」
たどり着いた弱い部分を抉るように、ぐりぐりとかき回した。
「……やだ…ぁ…や…ん…あぁっ!」
背徳感と欲望がせめぎあって、身を焼く様に襲ってくる。
「気持ちいい?こんなに淫乱に仕込まれて」
「違……ッ!」
フィルシスは必至に否定した。
大司教に無理矢理夜の相手をさせられた時は、ただ苦しくて仕方なかったのに。
こんな声が出ることはなかった。
「仕込み直して差しあげましょうね…他の男なんか忘れるぐらいに…私でしか満足できないように」
「やぁ…ううっ…んぅ…」
だらしなく開いた口から垂れた涎が、肌の上にぽたりと落ちる。
フィルシスの体が一際大きく跳ねる。
射精はできないが、きっと達しはしただろう。
上を向いたまま、声のない悲鳴を上げている所をシャーレンはもう一度突いた。
「ぁん…!も…シャーレン…や…っ」
ずっと我慢させられていて、指で弄くられる外側の快感と、媚薬になぶられる内側からの快感に、もう限界だった。
腕の中でびくびくと仰け反る体、快感に焦点を失っていく瞳、子供のように泣きじゃくる。
可愛らしくて、全てが愛しかった。
「イきたいですか?」
喘ぐことしかできずにフィルシスが頷く。
くすっと笑うとシャーレンは、フィルシスの股間を苦しめている拘束具をゆるめた。
長くせき止められていた体液が、大量にその先端からほとばしる。
「ひあ…っ…あ…あああー……っ!」
涙が止まらなかった。
シャーレンは…あんなにいつも優しくしてくれたのに…
あの時からいつかこんなことをしようと、考えていたのだろうか。
一番長くそばにいたのに…本当の親のように思っていたのに…
どうして…
達して力の抜けたフィルシスを支えると、涙を流しながら意識を失ってゆく彼の耳元にささやく。
「まだこれで終わりではないですよ、あと一人、ね」
シャーレンは浴場を洗うと、気絶したフィルシスを抱きあげてそこを後にした。
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