「シャー…レン…っ?」
目が覚めた。布団の感触でベッドの上だとわかった。
目隠しはまだされたままだった。
ただ、今は人間のではない嗅覚で、きっと側にいるのはシャーレンだとわかった。
だが返事はない。
ずっとよじらせていた体のあちこちが痛かった。
もう何かよくわからない。
「あぁ…ッ」
ただ後孔が狂ったように痒い。ずっとひくついたままなのが、自分でもわかる。
シャーレンが戻ってきて、さらに強く収縮し出したのがわかる。
こらえきれず喘ぎがこぼれる。
「ん…ぁ…!」
今は何時頃なのかわからないが、薬を塗られた時から、縛られていた間ずっと自分を苛んでいた媚薬。
今もまだ、変わらず疼きをもたらしている。
たまらなくかき回したかった、しかし腕は後ろで縛られている。
「やぁ…っ…」
不意に、体に触れられる。
喘ぎが洩れる。
内股や乳首に軽く触れる手が、熱のはけていない体には辛かった。
視界を塞がれていることも、大きな不安をもたらした。
「…何か言って…」
いつものような嘲りでもいいから、何か言って欲しかった。
声が聞きたかった。
顔が見たい…。
目で見てそばにいることを確かめなければ、こんなにも不安が消えない。
「…これ取って…」
「何故?」
弱々しく呟いて、辛そうに身悶えするフィルシスに、シャーレンはやっと口を開いた。
意地悪く焦らす。
自分も、無意味に目隠しをされるのが好きだという人はあまりいないと思う。
「何も見えないのは嫌だ……」
哀しそうな声にすぐに抱きしめたくなった。
でもそれはまだしない。
「大丈夫ですよ、何も怖いことは起こりませんから」
「やだ…」
消え入りそうな声で、フィルシスは小さく呟いた。
「シャーレンが見たい…」
そんなフィルシスの答えに、愛しくなってシャーレンは白い耳をなでた。
ぴくりと動く。
どこに触られるか見えなくて、構えることができずに、余計に敏感に反応する。
「はぁ…ッ!」
そのままフィルシスの頬を押さえて、涎を流す口元に口付けた。
その瞬間、身悶える体がさらにびくびくと波打った。
舌を入れると、従順に絡め返してきた。
「んぅ…」
しばらく口内を犯し、口を離して、首輪越しに喉の部分が上下するのを確認する。
二人分の唾液を飲み込ませる。
でもまだ目隠しは外さなかった。
「一人で寂しかった?」
耳をなでて、フィルシスの乳首を摘む。
指に力を入れ、爪をたてた。
「ひぁ…っ!」
痛みを与えたのは一瞬だけにした。
尖った乳首の先を柔らかく弄くると太ももを擦りよせ始めた。
「ン…あ…っ」
塗りこんだ薬の効果はまだ切れていない。
「イきたいんですか?」
そう聞きながら、シャーレンはフィルシスの尻の下に手を滑り込ませ、ひくつく後孔の周辺を刺激した。
中には入れないようにして、ただ周りだけをなでたり押さえたりする。
びくりと体がはねる。
「あ…っ!やぁ…ッ!」
身を緩慢によじりながらフィルシスは喘いだ。
内側に溜まっている熱が苦しい。内部がただ痒い。
尻の外側も内側も、薬のせいでぴりぴりする。体中に汗がにじむ。
「ふ…あぁ……っ」
掻きたくてたまらなかった。だが縛られている腕を思い出す。辛くて、身悶える。
「シャーレン…ほしい……」
辛すぎて、どうしようもなくて、いつものように促されることなく、頼んでしまった。
「どうしようかな」
フィルシスの弱々しい呻きを聞いてシャーレンは静かに微笑んだ。
従順に紡ぎ出されたフィルシスの願いに、悦びがわきあがる。
それでも、まだ入れてやらずに、意地悪く尻の窪みの周辺を指で押して、刺激を与えながらなぞる。
物欲しそうなそこが、さらに強く収縮しだす。
フィルシスの呼吸が荒くなった。
「や…ぁ…ああ…ッ!」
もどかしさにフィルシスは呻いた。
いつもあんなに自分に言わせたがるのに…
自分から言ったのに、指は孔に入ろうとしない。
「あ…ッ!」
それどころか、また乳首に移り、さらに焦らされた。
「や…だ…!あぁ…ン…!」
すでに固く尖った先端を、摘まれて、引っ張られたり、爪で弾かれたりする。
根元を掴んで、くにくにと押さえられる。
刺激を与えられる度に、後孔と性器がひくついた。
体が、足から尾までくねった。
「んや…あぁ…ひあぁん…ッ!」
シャーレンの指が今度は胸から離れて、足首をつかむ。
ふわふわした足の指の間をつつき、付け根まで、ゆっくりなぞっていく。
「んんぅー…ッ!」
シャーレンは震えるフィルシスの内股を弄くり始めた。
ゆるゆるとなであげると、ひくひくと痙攣した。
やがて、体液でべとべとになっている中心の先端に辿りつく。
「はぁ…っ」
そっとなであげられたり、強く抑えられたり、不規則な刺激を与えられる。
汗のにじむ胸や腹が、大きく上下に動いた。
「やだ…も…いれて…イかせて…!」
仰け反らせた頭の、口の端から涎がこぼれる。足と尾がばたついた。
「そんなに欲しいですか?駄々をこねる子供みたいにして」
「んぅ…ッ!」
先端からあふれ出る先走りをすくって、シャ―レンはフィルシスの唇に当てた。
フィルシスは仕方なくなめた。
なめ終えると、抱えられて床に下ろされた。
腕の拘束が解かれる。
「んぁ…」
無意識のうちに、尻に指を入れようとすると、腕を強くつかまれた。
「いつも勝手にしたら駄目だと言ってるでしょう。いかせてあげませんよ?」
「ンう…く…ふ……っ」
薬を塗られた時から、激しく襲い続ける疼きと熱に、フィルシスはすすり泣いた。
背中をなぞる指に、尾がびくりとはねた。
「四つ這いになりなさい」
体を起こし、すぐに言われた通りにする。
いつ、イかせてもらえるのかわからないけれど、仕方がない。
太ももを、せき止めきれなくて中心からあふれ出た蜜が伝う。
それにすら、敏感になった体が反応して、内股が震えた。
「ほら、なめて」
ベルトをはずす音と下着を脱ぐ音が聞こえた。
「ん…」
唇に当てられたものを舐める。
先端から少しづつ舐めて、すでに欲情しきっている体で、夢中で裏の筋をしゃぶっていく。
時折、口の中を犯すように喉の奥まで突かれて、根元や袋まで丁寧になめる。
「ンぁ…」
苦しく口を満たすそれが、疼いて仕方ない後孔に挿入されると思うと、暗い悦びが体に浮かぶ。
後孔や、性器の震えが止まらなかった。
その悦びをたまらなく哀しく思う心に、狂いそうになる。
「んく…っ!」
口の中に出されたものを、きちんと飲み込む。
頭をなでられて、やっと目隠しをはずされた。
「シャーレン…」
四つん這いのまま、見上げた。
何度も涙を流した瞳は腫れていた。
目元をせき止めていたものが外されて、今もまた涙が頬を伝った。
少しだけの微笑みを見せて、しばらく耳をなでられる。
だがシャーレンはそうしただけで、ベッドに上がり、壁にもたれて座った。
「私の膝の上に来なさい、私の方を向いて自分で差し込んで」
意地悪な微笑みに変わって、黒いローブの裾をまくって下半身を見せられる。
「え…?」
「見たいんでしょう?私を。
私が抱いてしても、あまり見えないでしょう?後ろから突いても、見れないでしょう?」
意地の悪い言い分だった。自分で差し込む、というのが恥ずかしかった。
「したくないなら別にいいんですよ」
ためらっているとシャーレンが起き上がろうとした。
フィルシスは仕方なく、ベッドに上がって、シャーレンの膝の上に乗る。
その足を跨いで、ベッドの上に膝立ちになった。
「早く自分で挿れなさい」
今までにない体勢に戸惑う。
上から見下ろされる時より、すぐ間近で見られる。
今もすでに自分の性器はそそり立って震え、蜜を垂れ流している。
顔が赤くなった。
「それとも、もういらなくなったんですか?」
冷たく微笑まれて、ためらいながらもフィルシスは肛門を自分で拡げた。
「あ…っ」
焦らされ続けていたフィルシスの体はそれだけで、びくりと震えた。
指だけでこうなるなら、もっと太いものならと、淫らな考えが頭をよぎった。
だがもう、たえられない疼きに、淫らな体を拒絶する理性も飛びそうになる。
少し硬くなっているシャーレンの性器を手にとって後孔に挿入した。
塗りこまれた薬のおかげで、よく滑る。
「んぁ…」
痒くてたまらなかった所に、やっと刺激を与えられることに、我を忘れそうだった。
「あ…あっ…!」
自分の体重で沈んでいく。
自分の中で、挿入したものも熱を持って膨らむ感触がした。
それがさらに体を煽る。どうにかなってしまいそう。
「あなたが腰を深く降ろす度に、一々反応するのがよく見えますよ」
自分の股間をじっと見られている。
視線の刺激だけで、後孔がきゅっと縮まり、中のものを締め付けた。
「ん…やぁ…」
いつもより、シャーレンが自分の体のどこを見ているかはっきりわかる。
それでも見られていることに興奮して、熱くなる浅ましい体。
きゅっと目を閉じて、嫌嫌と首をふった。
「くぅん…」
後孔の中に、全て収めた。
「よくできましたね」
「い…や…」
しかしシャーレンは全く動かないでいた。
「んうぅ…」
朝からずっと焦らすだけ焦らしていた疼きに、自分の中で感じられる熱に、もうフィルシスの体は耐えられそうになかった。
気がつけば、シャーレンの腹部に手を置いて自分から腰を振っていた。
後ろの中の性器を内側に擦りつけるように。
くちゅくちゅと肉の摩擦音が聞こえた。
「ふ、あぁ…っ……ぁ……」
快感で、一瞬見開いた赤い目に涙がにじむ。
「そんなに自分一人で気持ちよさそうにして、いやらしい子だ」
シャーレンは夢中で腰を振る姿を、観賞した。
またそんなそそるような顔をする。
また口や、勃ちあがったものから体液が流れはじめる。獣の尾がはねた。
「やぁ…っ」
「可愛いですね、ここ。」
股間の中心の先端がぴくぴくと反応している。
「あ…ん…っ」
そこを指でシャーレンが軽くつつくと、フィルシスは身をよじって悶えた。
その度に後孔が卑しく締まる。
「もっと、動きやすくしてあげましょうね」
フィルシスの両足首をつかんで押さえ付けると、腰が動かしやすくなったようで、さらにくねらせた。
「あ…ぁ…っ!」
喉を仰け反らせ、全身を震わせる。白い尾がゆらゆらした。
「はぁ…っ…はぁ……く…ぅ……」
荒い息をつきながら、首を振った。銀の髪が乱れる。
額に汗のにじむ美しい顔を、体の快感と心の苦痛に歪ませて、喘ぎ続ける。
焦点を失った瞳が潤み涙があふれた。
白い頬が赤く染まる。涎が顎を伝う。
いつ見てもたまらない顔。
「ん…あぁ……ッゃ……」
辛そうに、眉をひそめた。
「いきたい?」
涎を垂らしてフィルシスは頷く。
「このままだと私にかかりますね」
手をつかんで、股間にあてさせる。
鈴口を塞ぐ拘束をはずして、手で中心を握らせた。
「あ…っ!」
「私にかからないようにするんですよ?」
「んう…っ」
薬の催淫作用も手伝って、フィルシスは股間に手を当ててためらいもせずに前をしごく。
腰の動きも止められない。
「何時の間に、こんな淫乱に育ったんですか?」
こんなに間近で、自分の体全体を見られている。
澄んでいるのに底が見えない海のような目で。
「ちが…っ」
フィルシスの頬を涙が伝った。
「は、ぁ……ッアぁ…っ!」
自分の手の中に射精した。
それでもその手をまだ、股間から離せなかった。
「まだイき足りないんですか?」
シャーレンがくすりと笑う。
きれいなのに冷たい微笑み。自分を狂わせるような暗い微笑み。
それでも優しく微笑まれた時と同じように、こんなにも離れられない。
「んや…ぁ…ッ!」
もう一度自分の手の中に射精した時、自分の中にも熱い迸りが出されたのを感じた。

「…シャーレン…」
フィルシスが気絶するまで達した後、シャーレンは風呂で洗って、寝間着を着せてベッドに寝かせていた。
隣に座って頭をなでていると、気がついたフィルシスがぽつりと呟いた。
「気づいたんですか?」
「ごめん……」
また罵倒されると思っていたが、弱々しくそう言われて、一瞬本当に何故謝るのかわからなかった。
「何がですか?」
「…怒ったんじゃなかったの…?」
フィルシスが困惑して見上げる。
「……あなたは本当に…」
どうしてこんなに可愛いのだろう
自分にしか聞き取れないぐらいの声で続きを呟く。
可愛らしさに胸が締め付けられた。ため息が出た。
「…全部嘘ですよ、嘘。」
「え…?」
優しく微笑むと戸惑いを見せた。
「私があなたに怒ることなんか一つもないですよ?ただ、用事があったから外に出ただけです」
「じゃあどうして…そう言ってくれなかったんだ…縛って放ったらかしにして…」
フィルシスは上半身を起こし、語気を強めて言った。
「私がいる方がいいってわかったでしょう?」
「……ずるい…こんなの…」
からかわれた悔しさと怒りと、そして安堵感にまた赤い瞳から涙があふれた。
さっきまで我慢した分シャーレンは、目に涙をにじませたフィルシスを強く抱き寄せて、一緒に布団に入った。
「シャーレンのばか…!ばか…」
弱々しくすすり泣く声。
「泣き虫ですね。聖騎士団長の職務の方が、もっと辛かったでしょう」
あやすように、しゅんと伏せた耳に触れた。
「…全部…知ってるくせに…」
シャーレンが一緒にいたから、どんな辛いことも乗り越えられたのに。
まだ幼い頃、初めて会った時、その手にすがったこと…
風邪をひいた時、熱に浮かされて名前を呼んだこと…
厳しい訓練の中、誰にもばれないようにこっそり甘えたこと…
他の人の前では厳しく見せていても、シャーレンの前だけでは弱さを見せたこと…
全部知ってるくせに…
「そうでしたね」
明日また出かけるのかと思うと、フィルシスを抱く腕に力が入る。
「苦しいよ…」
その割にはフィルシスはシャーレンにしがみついてぴったりくっついている。
「今日は全然こうしてないんだからいいでしょう」
「シャーレンが勝手に出ていったんだ…」
「だって私のこと嫌いなんでしょう?」
ぽつりと呟くフィルシスの様子に、また意地悪をしたくなる。
「……」
また放っておかれるかもしれないと思ったのか、フィルシスは今度は何も言わなかった。
「どうして黙るのかな?図星だから?」
なでるのを止めて、手を離した。
少しびくりとして顔をあげた。哀しそうな顔。
「…違う…」
「嫌いじゃなくてもっと嫌い、ってことですか?」
抱き締めるのもやめてみた。
体を少し離すと、慌ててフィルシスがぽつりと答える。
「…違うよ…好きだよ…」
恥ずかしそうに俯いてそう言うフィルシスに、深い深いため息が出た。
最初は、たとえ嫌われても、憎しみで自分のことだけしか考えられなくなるから、それでいいと思っていた。
でもまた、好きと言われるのがこんなに嬉しいと、思わなかった。
もう一度抱いて、しゅんとした耳をなでた。
片方の手で、背から手を回して、ふわりとする尾に触れると、尻尾でも甘えるように手の平に寄せてくる。
腕の中でそっと呟く声がした。
「だから勝手にどこかに行かないで……」


テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル