「もう夜ですし、今日はこの街の宿に泊まりましょうね」
街灯が灯りだした広い道を通っていく。
検問がある程の大きな街だけあって通りは広い。先程の町よりも、活気がありざわめいていた。
赤い月が輝き出した空を背景に、街の奥の丘の上に大きな屋敷が見えた。
明らかに一つだけ身分の高そうな敷地だった。
「あれはライズ家ですよ」
何だろうと思って、視線がそこにいっていると、そう言われた。
「ライズって……あいつの家?」
驚いて、顔をあげて聞き返した。
あの神殿で、初めて暗黒騎士団長と戦った時に名乗られた名を思い出した。
「そうです、ラークは本当は貴族の生まれです。あなたと同じくね。
ライズは一番最初に暗黒神に忠誠を誓った人です。その先祖ですから、かなり格式のある家柄です。」
「そうは見えないな…」
言葉遣いも仕草も無骨だ。
「そう、知っての通り、ラークはあんなんだったから、家の古い慣わしや規律を守ることはなかった。
だから勘当されて、半ば強引に暗黒騎士団に入れられたんです」
「あいつらしいな…でもその方が似合ってるよ…」
この前の食事の様子を思い出すと、貴族の服装で儀礼的なテーブルマナー通りに食事する彼は想像出来なかった。
「褒めてるんですか?」
「違うよ」
面白そうに聞かれて、慌ててぼそっと返事する。。
屋敷から視線を外し、街の風景を眺めた。
こんな風にしていると、昔を思い出す。
聖騎士見習達は、見識を深めることも兼ねて、異国へ使いに行かされた。
大通りの人ごみの中ではぐれないように、幼かった自分の手を繋いでくれた。
今はもう遠い世界の家々が、目の前の風景に重なる。
モノクロの景色から想像していたこの世界の街並みよりも、遥かに活気づいていた。

行き交う人の中には、街の人と思える格好の人以外にも、自分と同じ、
旅人のような格好の人や、他と少し違う民族衣装のような服を着た一団も多くいる。
色々な行商人が多かった。
シャーレンがその内の一人から、何かの瓶を買った。
「それは何?」
酒瓶のようだったが、シャーレンは家にジュースやワインがあってもいつも茶しか飲まないのに。
「ジュースですよ、また後であげましょうね。それより、宿に行く前に夕食にしましょう」
店も数多くあった。
まだフードは被ったまま、レストランに入った。
家族同士や恋人同士、一人者など、色々な客がいた。
初めてこの世界の人間の営みを見た。
自分の故郷と変わりはない。
ほとんどの客は、それぞれのおしゃべりに夢中で、横を通り過ぎるこちらを気にもしない。
それでも客の何人かは、シャーレンの方をそっと見ていた。
おそらく彼らも魔術師か何かで、気づいたのだろう。
空いている席についた。
テーブルを隔てて、向かい合って椅子に座る。
「何でも好きなもの食べてくださいね」
メニューを見せられる。
「…どんな料理かわからないよ」
いつもはシャーレンがレンドラント国の料理を作ってくれたが、この世界のレストランにそれがあるはずがない。
「ああ、そうですね。この辺が魚料理ですよ」
ページをめくって指さされた。
しかし名前だけではどんなものかわからない。
薦められたものを頼む。
あの時初めて、外国を訪れた時も、こうして教えてくれた。自分が気に入りそうなメニューを。
「口にあいますか」
「うん…」
「それは良かった。デザートは食べたいですか?」
「アイス…」
口の中で溶けていく、やわらかな固まり。朧気な思い出も一緒に。
シャーレンはそんなこと、もうどうでもいい、記憶にすらも残っていないのかもしれないけど。
演技をしていた時のことだから、もしかしたら辛い思い出になってしまっていたりするだろうか。
もしもそうなら、とても悲しい…
自分にとっては、こんなにも大切なことなのに。


夜でもまだまだざわめく通りを抜けて、宿を探した。
二人用の部屋に泊まった。
「今日も…するの…?」
備え付けの浴室で、シャワーを浴びせられて、恐る恐る聞いた。
「や…」
白い肌に、局部の辺りにまだ少し残っている蛇の鱗の跡をなぞられた。
「まあ、今日はいいでしょう。昼間あんなに出してしまったしね?」
「……」
浴室から出ると、すぐにベッドに寝転んだ。
緊張が解けると一気に眠気が襲ってきた。
目を閉じて寝ようとした時、布団をめくられてシャーレンが潜りこんできた。
「ベッド、もう一つあるじゃないか…」
「知ってますよ」
それでも、抱かれたままでそちらに行く気配はない。
「狭い…」
だが、呟きながらもフィルシスは、甘えるようにすり寄った。
「別にいいじゃないですか」
狭いと言いながらも抱きつき返したことには突っ込まないで、シャーレンが耳をさわる。
強すぎず、くすぐったくもならない絶妙の弄り方に、フィルシスは子犬のように身を委ねていた。
「シャーレン……」
一緒にいられる温もりに、身を寄せてきゅっと服を握り返す。
いつものようになでられて、気付いたら眠っていた。

「今日から行く場所は、魔物がよく出現するので気をつけてくださいね」
朝起きて、街を出る前にそう言われる。
また昨日と同じように、馬の鞍の前に座らされて、後ろから片手で抱かれた。
道のりもあの大きな街から離れてしばらくすると、険しくなり始めた。
昨日のような草原や林の続く道ではなくて、荒地が多かった。
それにその日、最初に着いた町は今までと違った。
「あの匂い、するよ…」
そう言うと、シャーレンの横顔が一瞬険しくなった。
「そうですか…」
この町も、昨日最初に通った町と同じようにそれ程大きくはなかったが、
昨日のその町とは違い、どこか影を落しているように思えた。
「ここは狂信者の多い町ですから、中には入らずに外側から通り過ぎましょう。」
「狂信者…」
「そうです、行き過ぎた人はどこの世界でも危ないでしょう?」
町には入らずに、周りを囲う、茂みの中を通っていった。
時折、何か大きな獣の足跡があり、警戒しなければならなかった。
途中、遠くに見える町の中に昔は立派な屋敷だと思われる廃墟が見えた。
「あれは何…?」
「ああ、あいつの…イグデュールの昔の家ですよ。
この町は昔、彼の一族が統治していたんです。」
「どうして今は違うの…?」
今はあんな気味の悪い森に囲まれた屋敷で暮らしているはずだ。
「彼の両親も、狂信者だったそうですよ。
幻術を使って、他の狂信者達を催眠状態にしてよく儀式を行ったようです。
イグデュールは子供の頃、暗黒神の生贄のために殺されかけたそうです。
でも錯乱した彼は、逆に両親を殺してしまった。彼はそのまま混乱した町から逃げだして、暗黒神官の元につくことにした。
あんな森に囲まれた家に住んでいるのは追手の狂信者が恐ろしかったからです。」
「そうか…」
フィルシスは少し俯いて、ぽつりと呟いた。
そう言えば以前、確かに殺されかけたけど、その話になった時だけは、悲しそうな瞳を見せたことを思い出した。
「あいつが幻術に走ったのは元々、幻にでもいいから愛されたがったからです。
親に殺されかけたたことで、殺されること、愛されなかったことがトラウマになっていたのだから」
「シャーレンは、そこまでわかってるのに、どうしてそんなに仲が悪いの…?」
鋭く、刺々しいシャーレンの言葉を聞いてフィルシスは、以前とても仲悪そうにしてたのを思い出した。
確かにあちらの世界に対する意見はかなり食い違っているようだけれど、それだけではない風だ。
「…あいつは幼い頃にそんな体験をしたから、極端なんですよ。人は殺そうとするか、愛するかどちらかしかない。
そう思うのは勝手ですけどね、でも実際はもっと…」
だがそこで、珍しくシャーレンが口をつぐんだ。
「もっと、何…?」
「色々あるでしょう」
そう言って、また後ろから抱かれた。
言いたくなさそうだとはわかったが、本当のことを教えてくれないと思うと、何故か少し寂しかった。

そのまま茂みや荒地を抜けて行って、夜になる頃、また次の町に着いた。
その魔物が出現しやすい環境のせいなのか、あまり人通りは多くない。
それでももう夜なので、その町に泊まることになった。
宿につくと、見知らぬ街での緊張と疲れがきて、ベッドに座った。
だがそうしていると、シャーレンが前に立った。
「お風呂に入りましょう」
「やだ…一人で入る…」
背を向けて、フィルシスはベッドの上で丸くなった。
いつもは散々犯されて抱かれて、いかされた後、朦朧とした意識の中、されるがままに洗われている。
だが、先に風呂に入れられる時は、シャワーを後孔や尿道に入れられたりした。
「だめですよ」
尻尾をつかまれて、びくりとした。
「やだ…」
「今日は何もしませんから」
「……」
あまり信じる気にならなくて、黙りこくる。
「では用意してきますね」
シャーレンは浴室を眺めた。
宿の部屋に備え付けの風呂の湯槽は、自分の屋敷の風呂よりも遥かに小さい。
一人しか入れなさそうだ。
だが、その狭さが良い時もある。
浴槽に湯を満杯に溜めた後、昨日買った瓶の中のジュースを全て注いだ。
それは本当はジュースではない。
媚薬だった。
これでこの湯につかれば薬が皮膚から吸収される。
「お湯が入りましたよ」
まだベッドでごろごろしているフィルシスの耳をなでた。
「湯槽が狭いから一人で入っていいですよ」
「うん…」
浴室に行くと、何か変な臭いがする気がしたが、風呂がいつもと違うせいだと思ってあまり気にしなかった。
「シャーレン…入らないのに、何でここにいるんだ…」
「いたらいけませんか?」
別に悪くはないかもしれないが、意味もなく服を脱ぐところまで見られるのは少し変な感じだ。
「…本当に何もしない?」
「そんなに疑うんだったら、今日は特別にこれもはずしてあげましょう」
性器の拘束具をはずされた。
いつもつけられたまま、湯槽の中で焦らされることも多かった。
「……」
「ではごゆっくり」
そう言ってシャーレンは浴室を出たが、戸をほんの少し開いて、中の様子をのぞき見した。
何も知らないフィルシスは、そのまま湯につかった。
「……」
しかし、しばらくつかっていると、身体に異変を感じた。
「な…に…」
体の奥の疼きが呼び覚まされたように熱い。
股間が硬くなって、もちあがっている。
「やあ…ッ」
すぐに奥の熱が、快感となって体中を駆け巡った。
我知らず、股間と後孔に手を持っていく。
だめだ、と思ったが、そう思った時には遅く、すでに手は陰茎に触れてしまっていた。
指の先が少し亀頭に触れるだけで、尻たぶに指が浅く埋まるだけで、背が反射的に反る程の快感が走った。
「くぅ…あ…っ!や…だ…」
背筋を走る快感に、いつも自分の体をいじくりまわすあの指を思い出した。
今まで幾度となく体に施されたあの愛撫を思い出すと、さらに体が熱くなって、夢中で自分の手を動かした。
指を垂れる蜜に絡めてすぐに達する。
「あぁ…ッ!」
そのまま湯の中に、吐精した。
射精の反動で、湯に顔までつかってしまい、その湯を飲んでしまった。
何故か甘い湯の味に、薬を混ぜられたと気付いたが、すでに体に吸収されきっては遅かった。
「や…ッ」
一回では足りない。すぐに再び欲情する。
しかし声を出せばきっとシャーレンに聞こえる。
必死に声を抑えた。

「んん…ッ」
だが、全て無駄な努力だった。
「楽しそうですね。一人で入りたかったのは、そういうことをしたかったからですか?」
その声に、体がざわついた。
「ちが…ん…っ!」
否定の言葉を口にしながらも、体は正直に2度目の射精をした。
いった後、一瞬支えていた力が抜けて、湯の中に崩れてまた湯を飲んでしまう。
「あ…」
透明だった湯は、すでに白く濁っている。
「こんなに汚して」
羞恥と興奮に恥ずかしそうに、逃れるように目をきゅっと閉じていても、その手は股間から離せずにいた。
薬が効いているようだ。
「お湯に…何か…はあ…ッあ…!」
「そんな大きな声出したら隣の部屋まで聞こえますよ?声、抑えられないんですか?」
意地悪くシャーレンが微笑む。
「あ…ッ!」
抗議の言葉が続かない。涙がにじんでも、手が止められなくて何も考えられない。
口の中に溜まった唾液が、端から垂れた。
後孔はもう指では満足できない。
「シャーレン…」
視線が、まだ黒衣を着たままの下半身にいってしまう。
「そんなに見つめて、ほしいんですか?」
「あ…ちがう…」
慌てて目をそらせたが、苦しそうに、空気を求めるように喘いでいる口が、欲しがっているのは男の性器。
「もっと正直に、自分がしたいことを、してほしいことを言いなさい」
もう射精するだけでは足りない体を、面白そうに眺めた。
「や…だ…もう…ゆるして…」
それでもまだ言おうとしない。
「そんなに言いたくないなら言わせません」
出発した日に使った張形を取ってきた。
服を脱ぎ、湯槽の縁に近づく。
喉の奥まで押し込んで咥えさせた。
「んんっ…!」
浴槽の中のフィルシスを引き上げた。
触れられるだけで、びくんと、敏感に反応する。
床に仰向けに寝かせて、頭の上で両腕を強く押さえ、媚薬の混ざった湯のついた体や床をシャワーで流す。
「ん…っ!」
わざと乳首や後孔の性感帯にシャワーで湯をかけた。
華奢な体が身悶える。
薬が染み込んで敏感になった肌にはそれさえ刺激になった。
「んんぅー!」
「自分でする時、何か考えてますか?」
流し終えて、震える体の耳をなでる。
「んう…」
その声に、自然と思い浮かぶ。どのように快感が与えられているかを。
「私があなたのここを」
色付いて尖っている乳首の上に指を置く。
ひくひくと収縮を繰り返す後孔には浅く指をいれる。
「こうする時のこと、思い出しながらしているんですか?」
意地悪く笑って、乳首を円を描くように押し倒して弄び、後孔に入れた人差し指をさらに差し込んで、中で曲げた。
「……ッ!」
呻くような喘ぎさえ出せずに身体を仰け反らせる。
白い肌が、興奮で紅色に染まっていた。
両腕が自由になっても、あまりの快感で思考が飛んでいるのか、動かさない。
「図星のようですね」
指をさらに締め付けてくる後孔を感じて、小さく笑った。
片手でもう一度両腕を押さえ、後孔から指を引き抜いて入り口をなでる。
「もうここは指だけじゃ、足りないんでしょう?もっと太いのが欲しいでしょう?」
涙を流す目を固く閉じて何度も頷く。
「言葉で言ってもらわないと、わからないですね」
「ん…!ンんぅーッ!」
わざとらしくそう言って、張形を咬まされて喋れないでいるフィルシスの耳をなでた。
そのまましばらく両腕を押さえたまま、過敏になっている肌の表面をなぞっていると、身悶えて身体をよじらせた。
「んう…っ!」
狼の足が床をひっかいた。その足首をつかんで、裏の肉球をそっとなでた。
気持ち良いのか、足に入れていた力が抜けた。
「床、傷つけたらだめですよ?傷がついたら、どうしてこうなったか、宿の主人に説明しなければいけませんよ?
聖騎士様が、男に排泄の孔を弄くられて淫らによがって引っかいたってね」
「ン…ん…!」
必死に震える体を押さえ始めた。それでもその身体を弄くるのはやめない。
「言う気になりましたか?」
「はあ…ッ…!」
一通り肌をなぞった後、そう言って張形をはずした。涎がこぼれ唾液が糸を引く。
もう我慢できずに、ようやく言い始めた。
「シャーレンの…」
だがそこから先は、口を動かすのが見えただけだ。
「声が小さいですよ。さっきの鳴き声は何だったんですか?」
「大きな声…出したら…隣の部屋…聞こえるって…さっき…」
今更思い出したようにそう言う、羞恥に頬を染めた顔を見て、意地悪に微笑んだ。
この部屋に入る前に宿の帳簿を見たが、本当は隣の部屋に客はいなかった。
それを教える気はないけれど。
「欲しいんですか?欲しくないんですか?私が聞いてるのはそれだけです」
「……ほしい…」
「ではちゃんと言いなさい」
目を閉じて、覚悟したように言い始めた。
「シャーレンの…なめさせて…飲ませて…」
喉をひくつかせてねだる。体が悦ぶことを。
「それから?」
きれいな尻をそっとなぞる。ひくりと震えた。
「いれて…奥までついて…」
熱っぽい息を吐いて、ねだる。
体中の疼きに、もう耐えられない。考えられない。
尻をなぞるその指を、そのまますぐにでも中に入れて、かき回して欲しいとさえ思う。
「いいですよ。そんなに欲しい?」
仰向けの身体に跨ると、ためらいも見せずにしゃぶりついた。
「ん…ッ!んん…」
とろけた表情で舌を動かす。それにあわせて後孔がひくひくと蠢きだす。
口に出されたものを味わうように飲み込んだ。
それだけで、もう一度吐精した。白い体液が腹に飛び散る。
「あん…っ」
飛び散る液の感触にさえ、ぴくっと震える淫らな体になっていた。
「仕方ない子ですね。ここは戒めておかなければ、我慢できないんですか」
迸りを出したばかりの先端をなでた。
そこはまだ萎えておらず、びくびくと脈動していた。
「や…だ…ちがう…あ…っ…!」
体を正面から抱き締めた。
白い肌が触れ合う。
「シャーレン…っ」
素直に背中に腕をまわして抱き返してくる。
先ほどからもじもじと揺らしていた尻の後孔を突いた。
「ああぁ…ッ!」
身悶えて嬌声をあげる。胸の先端に指をあてた。
乳首は、根元を摘んで押し上げられた先端を軽く突くと一番感じるのか、そうすると後孔がきゅっとしまる。
「さっきはあんなに拡がっていたのに、挿れるとちゃんと締まるんですね、いやらしい」
「ああ…っ!ちが…ん…あ…」
腰を振っているくせに言う、否定の言葉も快感に消されていく。
「あ…ッそ…こ…いい…」
薬のせいですでに限界だったフィルシスは、一度正直に言い出すと、理性は埋もれてしまったようだ。
普段は絶対言わないことも、自分から叫びだす。
呟くような、気持ちいいという声が聞こえた。
体をぴったり寄せて、乳首や股間を擦り寄せてくる。
後孔の締め付けも、通常よりかなりきつい。誘っているように。
「もっと…して…あ…ん…っ!」
心の中で、口にだしてはいけないと、罪悪感が浮かんできても、すぐに快感に消えていく。
「淫乱」
耳元で息を吹き掛けるように囁くと、体が仰け反った。
「あ…あぁ…ッ!」
屈辱的な言葉にも反応するのか、またすぐに射精する。
「まだ、し足りないんですか?」
擦り付けてくる腰が、とまる気配はない。
「ぁ…う…ぬかないで…ッ」
こちらの腰を少し引くと、夢中で叫んだ。開いた口から涎がこぼれる。
「あ…ん…もっと…!」
逃げていく快感を、夢中で引き止める。
体が熱い。体の奥がその熱に疼いている。浅く入れられるだけではとても足りなかった。
「もっと、何?」
ぴくつく白い耳に、熱い吐息をふきかける。
「奥まで…ついて…!」
「どうしようもない人だ」
いつもは見られない姿に満足して、抱き寄せて貫いた。
そのまま奥まで深く貫いて、かきまわす。
「は…ッあ…あ…っ!」
掠れて音にならない喘ぎと、内襞を擦れ合う水音が、淫靡に響く。
「中をもっと満たしてあげましょうね」
締め付けてくる後孔と、激しく振って擦り付けてくる腰に、自分も限界が来た。
「ああ…!」
しめつけてくる後孔の中で放つと、腕の中で仰け反って震える。
「あ…はぁ…ッ!」
そのままもう一度かきまわすと、中に放った精液が、ぐちゅぐちゅと濡れた音を響かせる。
萎えない性器から吐き出される白濁液が透明になるまで貫いた頃に、ようやく薬もきれた。
「何もしないって言ったのに…」
新しい湯で洗われて風呂を出た後、ベッドの隅でうずくまってすすり泣いた。
理性が飛んでも、記憶は飛ばなかった。
恥ずかしくて、シャーレンを直視できない。
「あなたがねだったからでしょう」
布団の中に抱き寄せられて、耳をなでられる。
今日もベッドはもう一つあるのに、同じベッドの中。
「薬を混ぜたくせに…」
羞恥のあまり、顔をあげられないまま、フィルシスはぼそっと呟いた。
「あんなに素直におねだりするあなたも可愛いですよ?また使ってあげようか」
「やだ…」
疲れきってもう何も言い返す気力が出なかった。
いつもそうだ、夜伽を拒んでもそっけなくするのに、無理矢理犯されて、勝手に抱きつかれる。
拗ねても素知らぬ顔だ。
それなのにそんな靄の泡はすぐに消えていく。
理由は、優しくなでられたら敵わない、抱きしめられたら嬉しくて、すぐに甘えるように身を委ねてしまう。
寄り添って目を閉じた。
あんなに自分を泣かせる相手なのに、こんな風になでられたら、すぐに涙が止まる。

次の朝は窓の外の明るさで目が覚めた。
朝でも、もうすっかり朝日は昇りきっているのに、シャーレンはまだ寝ていた。
いつも必ず自分より早く起きているのに、何故だろう。
そっと起き上がって、ベッドの上に座り込んで隣を見た。
きれいな髪の色、白い肌、形良い唇、長い睫毛。
こんなにまじまじとシャーレンの寝顔を眺めたのは初めてだ。
「……」
無表情だと、いつもよりもさらに大人びて見えた。
自分ももっと大人びた顔だったら良かったと思った。
そうしたら、からかわれなかったかもしれない。
「……」
そう言えばシャーレンは本当は何歳なのだろうか。
家族のことも全く知らない。
どんな過去を過ごしてきたのかも、具体的には知らない。
何も知らない…。
自分のことは何もかも知られているのに。
そんなことばかり浮かんできて、人形のように無表情な寝顔を見ていると、寂しくなってくる。
不意に抱きついてみた。
すぐ離れようと思ったが、さすがに起きた。
「…何してるんですか…」
フィルシスは慌てて体を離した。
「別に…」
抱きつきたかっただけとはとても言えなかった。
「こんな朝から、したいんですか…?」
離れたが、すぐにシャーレンに抱き寄せられる。
「違う…」
「じゃあ、もう少し寝ましょうよ…」
「いいけど…?」
それっきり、またしばらく自分を抱いて寝始めた。
一昨日の出発したがらなかった朝と同じように。



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