ギフト
(6)
胸と胸の間にチョコレートを絞り、指で下へと伸ばす。伸びなくなると、
また足す。小さな窪みまで来て、そこにも塗りつけた。舌を窪みに入れ、
ぐりっと回して舐めとって、舌を離さないまま腹へと這い上る。塗りつけた
痕を逆に辿って上へと舐め進んでいく。
白い腹を舐めまわすとくすぐったそうに身を捩る。そっと抑えつけて、
なお舐めた。彼の胸に舌が戻り、それを越えて鎖骨へ。
軽く歯を立てる。くっ、と反らせた喉に吸いついて紅い痕を残した。
「はあ…」
瞳を潤ませてぼうっとする彼が堪らなく愛しい。その心のままに唇を
貪ると、甘い舌で応えてくれた。
膝を割り、目的の箇所でチューブを絞ると、既に熱くなっていたそこに
落ちたチョコレートがとろりと溶ける。滑らかな甘いそれを一気に舐め上げた。
「ああ…っ!」
ヒカルの身体が大きく跳ねる。ゆっくり舌を這わせると熱く震えた。
「あうっ」
先端を尖らせた舌で刺激すると顔の両側にある太ももが引き攣った。
「うっ…くっ。ああ、あ…」
甘い喘ぎは身体の悦びを素直に伝える。こぼれる雫も。
「気持ち良い?」
「……」
くちゅ。軽く先端を覆うと口の中で形を変える。
「気持ち良いよね?ボクも、とっても良かったから…」
ねっとりとした愛撫に頭の芯が痺れて、ヒカルは返事も出来なかった。
(7)
「ん、ああ、とう…やぁ」
ヒカルの腰がアキラの責めに合わせて蠢く。もう身体が自分の意思では
動かせない。されるがまま、快感に翻弄された。ぐっしょり濡れたそれは、
もう弾ける寸前だ。
「塔矢、口、離し、て…」
「嫌だ」
頬張ったままの答えはくぐもったがヒカルの耳にはちゃんと届いた。
「ダメ、出る…うあっ」
容赦なくそこを吸い上げる。歯を当て、舌で擦り、深く深く取込んで責めたてる。
湿った音は大きくなるばかりだ。
「ふ…あっ、―――っ!」
身体を強張らせて必死に堪えていた彼が、遂に屈した。
口一杯に広がった熱さを飲み干す。
本当に変な味。だけど、愛しい彼の味。
はあはあと、手の甲で目を覆って荒く息をついている彼の身体を抱きしめる。
紅く染まった頬に軽い口付け。少し身体を離して、ヒカルを眺めた。
ヒカルの白い身体は茶色のチョコレートと透明な唾液にまみれていた。
そして全身から立ちのぼってくる甘い匂い。快感の余韻に小さく震える下半身。
その姿にごくりと息を呑む。自身が、再び頭をもたげて彼を求めていた。
(8)
ヒカルを裏返しにすると、腰を高く上げ膝で立たせた。指にチョコレートを取る。
「!」
白い双丘の間に慎ましく存在する小さな蕾に塗りつけた。何度も何度も。
緊張で硬くなったそこをほぐすようにゆっくりと揉み、再びチョコレート
を乗せた指で中に入った。
「はあ…っ」
ヒカルの中は熱く、指をきゅっと締めつけてくる。
アキラは、丹念に指で塗り込んだ。
奥へと進んだ指が、ある一点を擦ると身体が跳ねる。アキラは彼の身体の
どこにどのような部分があるのか知り尽くしていた。
弱い部分を的確に責めていって、彼の身体に炎をともしていく。
桃色の肌がしっとりと汗に濡れていた。
「ん…」
アキラは指を引き抜くと、ひくつくそこに直接チューブを挿入した。
「塔…矢!バカ、よせ…」
さすがに抵抗するヒカルの腰を押さえて、搾り出す。
「やあ…」
ヒカルの中をチョコレートがぬるりと侵食していく。
本来の機能とは逆の動きで責められる。加えて、入り口を支配する
チューブの硬い質感。滑らかな肌に鳥肌が立った。
(9)
「塔矢、もうやだってば!抜けよぉ」
アキラももう我慢できなくなっていたので、潮時とばかりに引き抜く。
ぐちゅと淫猥な音が漏れた。
十分に慣らしたそこに自身を突き入れる。
「あ、ああ…」
ヒカルはシーツをきつく握り締めてその衝撃に耐えた。灼熱の棒に
犯される苦しみは、何度しても消えない。早く快感で覆って欲しい。
アキラはゆっくり彼の中を掻き回す。滑る感触にヒカルが感じたのを
確認すると遠慮を捨てて欲望のまま突き上げた。
「塔…矢ぁ、ん、くうっ」
ずちゅっ、ぐち。ヒカルの中で、溶けたチョコレートとアキラの体液が
交じり合う。アキラが動く度に結合した箇所から溢れ出してたらたらと
白い内腿を伝い落ちた。
内側の粘膜がアキラに吸いつくように纏わりつく。とろとろになったそこは
焼かれてしまうんじゃないかと思う程に熱い。ぎゅっと食い締めて更に奥へと
誘うように収縮する動きに引き込まれて彼の一番深い所に到達した。
(10)
「進藤…すごくいいよ。」
アキラは恍惚となっていた。顔は見えなかったが、内部の状態から
ヒカルもまたそうであることを確信する。
ヒカルの前を探って、予想通りの状態だった部分を掌でしごく。
「塔矢っ」
もう一方の手を胸に回しとがった乳首を捕えた。きつく摘むといやいやと首を
振って切なげな喘ぎを漏らす。
「とう…や…くぅっ…う」
弱い3点を同時に責められて、ヒカルの身体がわななく。沸き起こる快感は
血液より速く身体中を駆け巡り、耳にかかる息さえ熱を煽った。
視界がぼやける。ヒカルは自分が腰を振っていることにも気付けないでいた。
「もう達きたい?いいよ、一緒に…。」
アキラは一度先端が出るか出ないかの所まで引き、思い切り突き上げた。
悲鳴に近い嬌声を上げてヒカルが果てる。
その強い締め付けに引き摺られるようにアキラも達していた。