リレー小説 狼の宴
(11)
「和谷、どうしたんだよ元気ないな」
ヒカルがひょいっと和谷をのぞいた。口元にマヨネーズがついている。何だかエロいな…と和谷は思った。
「何でもねえよ。それよりあーあ、マヨネーズついてるぜ。」
「あっほんとだ。これうまいぜ!なんか生ハムでコーンときゅうりのマヨネーズあえたやつ巻いてるの」
好き嫌いのないヒカルははしゃぎながら様々な料理にどんどん口をつけていく。
その直後に「進藤と間接キスしたいハアハア」と
我先に皆がその料理に群がり箸をつつきあうのに全く気が付かないヒカルだった。
みんな和気あいあいとほどよく盛り上がってきた。
そろそろ一発芸でもやるか!との声が上がる。
(12)
「おっいいねえ」
「おいっまずは新人だな!本田達何かやれー!」
こういうのは指名される側になる前にさっさと指名するのがかしこい。
誰かが今年の新人を指名したので本田と伊角と門脇がまず槍玉にあがってしまった。
「よし、ここは脱ぐっきゃねえな!」
「ええっ!?」
門脇は宴会慣れしている。恥を捨て場を盛り上げるノウハウ知っている。
そんな門脇に言われては年の功からも断ることは出来なくて、二人は意を決した。
(13)
(……ナニアレ……?)
ヒカルは目の前の光景を信じられないような目つきで凝視した。
三人のいわゆるフルチンに周囲はげらげら笑い盛り上りをみせたが、
揺れている分身に目線がどうしてもいってしまう。それもその筈でヒカルの分身と彼らのそれとは、
形色共にあまりに違っていたからだった。
(お父さんみてェ…なんで?結婚したらでかくなるって聞いたのに。みんな結婚してねえじゃんか!)
ヒカルにも男のプライドはある。ショックだった。
(14)
ちらっと隣を見やる。和谷は楽しそうに笑っている。ああ、こいつはきっとあれぐらいあるんだ…。
溜め息をついて、ヒカルは反対側を向いた。
(あ、こいつつまんなさそう。もしかしてオレ同様ショック受けてんのかも)
そうだ、自分より背は高いアキラだが腕は細いし色白だ、もしかしてこいつも…!ヒカルは同志がいたようで嬉しく思い、軽く肩を叩いた。
「よっお前も頑張れよ!」
「は?」
「とぼけなくてもいーよ。門脇さんでっけえよな…いいよなあ」
な?と同意を求めると、アキラは門脇の分身を見たあと「そうか?」と呟いた。そして「あれならボクの方が」とも。
(15)
「…ははは、見栄張るなって。」
ヒカルは笑ってみた。ただし声だけで。目は細くなるどころかむしろ瞳孔が開きそうであった。
「?見栄って?」
アキラの態度に卑屈さのかけらもないのを感じて、ヒカルの頬はいよいよ引き攣った。
塔矢さんまじですか塔矢さん。
門脇の男根(この言い方がいかにもぴったりなのだ)をもう一度見る。
門脇は丁度「日本むかしばなし」のエンディングを歌いながら踊り狂っていた。
「お尻を出した子一等賞〜♪」
後ろを向き、がばあっと豪快に前屈し、大きく開いた足の間から逆さまにコンニチハをする門脇。
「すげ〜!!ケツ毛が素敵〜!」
和谷はもうバカウケだ。冴木は何故かトリビア出演者のごとく机を連打している。酒は人を狂わせる…
ヒカルはうげっと思いながらもそのゴリッパなブツを確かめた。でかい、でかいよ。やっぱりでかい。
あ れ よ り で か い で す と ?!
「あのさ、これが門脇さんだとするじゃん?」
ヒカルは自分のグラスを掲げて見せた。
「じゃあ、オマエのってどれくらい…?」
ま、まさかジョッキとかいわねーよな?ヒカルは汗を一筋たらし答えを待った。
「う〜ん、そうだなあ…」
アキラは口元に手を当てて適当な比較物をテーブルの上から探すと、
「まあ、あれが近いだろうか。」
ある物を指差した。 冴木の前にある、黒々とそびえ立つ<アサヒスーパードライ>を。
「………………・」
ビール瓶…ですか、そうですか。
塔矢さんちのアキラさん、オマエは本当に人間ですか?それとも種馬ですか?
ヒカルは引き攣った顔のままとりあえず おみそれしましたと呟いておいた。
コイツに挿れられる子は大変だなあ。
他人事のように考えた。