吸魔2

(56)
芹澤にそう言われて、よく見るとアキラのその身体全体に、首すじから二の腕、
胸から腹部、ももから脛まで無数に紅い傷痕が十数カ所に渡ってちりばめられているのが
わかった。
「塔……、矢…」
アキラの惨状に驚いてヒカルはギリリと歯を噛み締め、力の入らない手でシーツを掴んだ。
だが身を起こす途中で力尽きて伏した。意識だけは自分のものであったが
やはり全身が重い鎧で固められたように自由に動かす事が出来ないのだ。
舌が完全に麻痺したように痺れていて言葉も上手く発せられない。
「彼の身体にここまで傷を付けるの心苦しかったが、どんなに吸っても彼はすぐに
意識を取り戻してしまうのでね。ようやく静かになったところだ」
ちろりと紅い舌で自分の薄い唇を舐めると、芹澤は満足そうにアキラを見下ろし、
その黒々とした美しい前髪をさらりと指先で梳いた。
そして細い顎を掴み、乱暴に揺すって長い睫に覆われた目蓋がピクリとも動かないのを
確認すると、自分の髪を直しバスローブを整えアキラのベッドから離れた。
「さてと…」
望んだ獲物が全て手に入ってすっかり満足感に満たされた狩人が、今度はその獲物を
一つひとつゆっくりと吟味しようとするようにゆっくりと、ギシリとベッドを軋ませて
芹澤がヒカルに近寄って来た。
「君にもまだやり残した事があるんでね…進藤くん」
「…っ!!」
ベッドの上でヒカルは恐怖に身構えるが、抗う術もなく芹澤の手に捕らえられ仰向けにされて
押さえ付けられる。
両足を割られて芹澤の体に入り込まれ、無防備な身の全てを芹澤の視下に晒された。

(57)
「まず君を完全に手に入れてから塔矢くんにはここに来てもらうつもりだったが…
まあいい。向こうからやって来てくれたのだから手間が省けた」
そう言いながら芹澤はバスローブの前を開いた。
痩せ形ではあるが全身に無駄無く張り付いた筋肉質の骨格が現われ、その下方には
雄々しくそそり立った雄の象徴があった。
ヒカルにはそれが凶々しく今にも自分を串刺しに処刑しようとする魔物の槍に思えた。
芹澤は抑え込んだヒカルの下肢に手を差し入れ、腿の付け根の柔らかな双丘の谷間を探り、
その奥深くにあった秘門に指先を潜らせた。
「…っ…!」
芹澤の長くしなやかな人さし指と中指が揃えられ、ゆっくりと温かな粘膜の隙間を
かき分け押し入る。唇を噛み、息を飲んでヒカルは自分の内部を異物が通過する感触に
耐える。
やがて指の付け根までが全て埋まると、今度はそれがゆっくりと引き抜かれる。
数回その動きを繰り返すと、芹澤は中で指先を折り曲げ、一層強い刺激を粘膜に与える。
「…君はこうされるのが好きだろう?」
「…や…あ…っ」
時折強く刺激を感じる場所を指先が通過する度に、ヒカルは下肢を震わせ息を漏らした。
あらかじめ芹澤の指にはなにか潤滑剤のようなものが塗ってあったのか、その動きは
スムーズでなんとも言えない感触をヒカルにもたらした。
内部が急速に熱を持ち侵入物を更に奥へ引き込もうとうねるのが自分でもわかる。
「自分でも何度もこうしていたはずだろう。私の目の前でもやって見せくれた」
「…う…そ…だっ…」
「君は吸収が早い…いろいろ教えがいがあったよ。碁の事も…こちらもね。」

(58)
更に指を増やして芹澤が内部で大きく捻った。ヒカルの反応が大きかった箇所を
ひとしきり強く擦る。
「ウソじゃないよ…その証拠にここがもうこんなになっているじゃないか…」
「ああっ、や、ア…、…っん!」
痛みと甘い電流が混じったものがその箇所で弾け、ヒカルが泣き声に近い声を漏らす。
その頬にはうっすら紅みが差し、背中や腿の内側もじっとりと汗ばんでいた。
ヒカルの体温ですっかり温められた指先を引き抜くと、芹澤は代りにその下肢の奥まった
箇所に腰を押し当てた。その中心部の先端を高熱を帯びた秘門の隙間に接する。
「ひあ…」
今までよりもはるかに大きな異物の感触にヒカルは恐怖に怯え身を強張らせた。
もうあと少しでも芹澤が体を引き寄せればそれが突き刺さって来る、ギリギリの
ところで2人の体は接し合っていた。
「もう一度聞くよ、進藤くん。…私のものになってくれるかい?」
ヒカルはただ必死に夢中で首を横に振った。
「いやだっ…!!」
「ふうむ」、と芹澤は大袈裟に溜め息をついてみせた。
「君がそういう態度なら、彼はずっとあのままの状態でいることになるよ…」
その言葉に、ヒカルは隣のベッドに横たわっているアキラの方を見た。
仰向けになったままアキラの横顔はまるで陶器で出来た人形のように冷たく固まった
ままで、意識を取り戻す気配はなかった。
元々アキラは男のわりには色白ではあったが、目蓋も、頬も、胴体や手足も今まで見た事が
ない程に生気のない白さだった。
一瞬、もしかしたらこのままアキラは眠ったまま死んでしまうのかもしれないと
ヒカルは思った。

(59)
「彼の事が気になるかい?」
絶望の水底に沈み掛かった者の表情を面白がるようなその芹澤の言葉に、ヒカルは
精一杯の反発と怒りの目で睨み返した。
「…オレ達を…どうするつもり?…弄びたいだけ弄んで…干涸びるまで血を吸う気か…?」
ヒカルの言葉に芹澤は可笑しそうに目を細めた。
「とんでもない、君達は私の大事なパートナーだよ…用事が済んだら、無事に帰す。何も
心配したり怖がる必要はないんだ」
「…ホント…に?」
「ああそうだ。…もちろん、進藤くんが素直に言う事を聞いてくれたらの話だが…」
ヒカルが唇を噛む。
「…そんなにオレが欲しけりゃ、力づくでヤればいいだろっ…!」
「そういう訳にはいかないんだ。相手の許可をちゃんと得なければ、完全に相手を
支配できない…相手から本当の“力”を吸い取る事が出来ないんだ、“我々”は…ね」
芹澤の話の最後まではヒカルの耳に届いてはいなかった。
ただ自分達の理解を超えるとんでもない状況にアキラを巻き込んでしまった事を、
アキラにまで酷い目に合わせてしまった事を悔やんでいた。

――ボクに出来る事なら、何でもする
――助けが必要なら手を貸す
記憶の端にそう言ってくれたアキラの真剣な眼差しが浮かんでいた。
そのアキラが今はベッドの上で、痛々しい傷痕を刻まれた体を横たえている。
怒りと後悔からアキラを見つめていたヒカルの両目から涙が滲みだしていた。

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「…完全に、私だけのものになってくれるかい?」
再度芹澤に問われる。
「…塔矢にはもう、手を出さないと約束してくれる…?」
顔を背けたままヒカルがそう言うと、芹澤はヒカルの涙を指先で丁寧に拭い取り
それを嘗めながら嬉しそうに答えた。
「約束しよう。今彼は深く眠っているだけだ。彼を眠らせる為に少しばかり血を多めに
吸ったが、命に別状はない。彼には今後一切何もしない。今日の事も綺麗に彼の記憶から
消して解放する。傷痕もすぐに消えるだろう…」
芹澤の言葉に安堵するようにヒカルは小さく息をつくと、芹澤に顔を向けた。
「…わかった…」
「いいのかい?」
「…いいよ、…あんたのものになる…、これで満足だろ」
「君は本当に物わかりの良い、いい子だ…」
芹澤は再度にっこり微笑むと、ヒカルの両膝を深く抱え込み、ヒカルの体を
二つに折り畳むようにして体を被せ、重心を2人の体が接している深い部分にかけた。
「…んっ…」
ぴりりと下腹部の奥の狭い箇所に鋭い痛みが走った。
次にそれが鈍い痛みとなってヒカルの体の奥所に向かって侵攻していった。
「く…っん…う…っ」
溜め息を吐くにと息を飲むのとを何度も繰り返していたヒカルの喉から、やがて
身を裂かれるような痛みに耐え切れなくなった悲鳴が漏れ始めた。
「っは…くっうっあ…!」
じわじわとと巨大な異物に柔らかな粘膜が限界まで引き延ばされていく。それは
今までヒカルが体験した事のない、他に例えようのない衝撃だった。

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