幻惑されて〜Dazed & Confused
(39)
ロゼ色の乳首をつまみあげる。そして耳に舌先をこじ入れると、上半身が波打った。
「あ…はぁん…!」
空いた右手をゆっくりと尻に這わせながら左の乳首を撫であげると、誘うように尻が揺れた。
「尻を振って…感じてるのか?」
「ん…うんん…でも…」
「でも?」
顎を持ちあげてキスしてやると、ヒカルは荒く息をつきながら口をパクパクさせていた。
「でも、なんだ?どうして欲しいんだ?」
「うクッ…ん…前も…いじって…」
「ほう。ここか?」
俺はわざと意地悪く、薄い黒の布をツーッとなぞった。それはすでにベットリと濡れていて、布についた液体がきつく立ちあがったモノの先端をくっきりと浮き立たせていた。
「あ…あああああああんッ!し、してぇ…!」
「もう少し我慢しなくちゃな。」
ヒカルの背後で、クククッと含み笑いが漏れ、切れ長の鋭い目が合った。彼は少しだけ体をずらしてこちら側にわずかなスペースを作った。
「君も挿れてやれよ。」
俺はジェルのチューブを拾い上げると、片手でフリップトップを開けて起用に手のひらに冷たい液体を絞り出し、そして、ヒカルのきゅっと締まった尻の片方を掴んだ。
「な…なに…?」
俺はすでに長い指を二本咥えこんだそこに手を滑り込ませた。先客のいるそこに中指を押しこむ。
「や…やあ…!」
彼の指が俺の指を摺るようにくねくねと動いた。
「指が三本入っちゃったな。」
「い、いやァ…!」
俺はしばらくそのまま、先客の動きに合わせるように指を出し入れし、ようやく締め付けが少しゆるんできたところで、人差し指と中指を合わせて挿入した。
「くぅん…やぁッ!!!!」
「すげーな。指四本咥えこんでるぞ。」
俺と彼は左右に襞を広げるようにして秘孔を摺った。ヒカルの脚がガクガクと震え、両手が強くシーツを掴んだ。
大量のジェルがグチュグチュと音を立てながら、内腿を伝って流れ落ちていた。
「や…はぁッ…いやぁ…壊れちゃうよぉ…」
「こんなに入っちゃってるんだったら、コレはいらんだろ?え?」
彼が薄笑いを浮かべながら俺と反対側の耳を甘く齧り、バスローブ越しに勃起したモノを腿に押し当てた。再び、耳に舌をこじいれると悲鳴があがった。
「あ…あああああんッ!だ、だめぇ…!耳、感じるのぉ…!あんっ…欲しい…」
クククっと意地の悪い笑いが漏れた。
「もっと太いモノが欲しいか?」
「ん…うん…欲しい…欲しいよぉ…挿れてえ…」
鋭く光る目がヒカルの肩越しにこちらを見て、ニヤッと笑った。
俺は耳元で囁いた。
「じゃあ、栗本さんに入れていただけるよう、ベッドの上で四つん這いになるんだな。」
「ん…。」
ヒカルはベッドに片膝をかけると、ためらうように両手をついた。
蹂躙されて薄紅色に染まり、うすく口を開いたアナルが明るい光のもとに晒された。
「へえ。オレが先番でヤッちゃっていいんかねぇ?岸本くん。」
俺は頷くとベッドの上に膝をついた。
「あ…ああんッ…!ま、待ってよ…ゴムは…?」
「へえ。淫乱のくせに気にしてるのか。」
「あ…あん…だって…」
そう言いかけたヒカルが甘い悲鳴をあげて背中を反らした。
(40)
腰を掴まれ、バスローブをかなぐり捨てた彼を呑みこもうとしていた。その一物はさほど太さこそさほどではないもののかなり長く、上にきれいに反っていた。
「イイ声で啼けよ。」
滑らかな肌が揺れ始めた。奥までじっくりと挿し、そして抜けおちるかと思うほど引くうちに切ない喘ぎ声が漏れる。
「あっ…あン…いい…」
鋭かった目がうすく閉じられ、彼は速く短い息を吐いていた。
「うおッ…絞まる…ッ!ゆっくりするのがイイのか?」
「う…ん…いいのォ…してぇ…」
俺はヒカルの前にまわると、物欲しげな上目遣いをした目の前でバスローブを解いた。
「こっちにも欲しいんだろう?」
頭を軽く押さえただけで、ヒカルが俺にむしゃぶりついてきた。
「んーーーッ!んんっ…んっ…」
「…どうだ?両方の口を犯されてる気分は?」
「んっ、うん…ん…んん…」
ヒカルが俺を吸い上げる音と、後ろでゆっくりと出し入れされる淫靡な音がシンクロしている。
――なかなかいい眺めだった。
ヒカルの身体を突くスピードが徐々にあがっていく。
「フうっ…!こんなに締めつけられちゃもたんな…一発、抜いていいか?」
「んっんっ…んんーッ!」
ヒカルはそれを押しとどめるかのように、身体をよじった。
「ほら、お口がお留守だぞ、ヒカル。」
俺はヒカルの細い髪を掴み上げて、腰を揺すった。
「んんんーッ!」
尻と彼の太腿が激しく当たる音が響いた。
「うぉ…!イク…!イクぞ…!」
彼は深く一物をヒカルの中に埋め込んだまま、長く息を吐いて――そして、動かなくなった。
どうやら、中に精液をぶちまけたらしい。
俺は一瞬、その無作法に微かな怒りを感じたが、見栄を張って寛容なフリをしてしまったがゆえの結果だ。
ヒカルの唇から十分に高められたモノを引き抜く。
ヒカルはまだ達してないはずだ。彼が息をつきながら、バスルームに立ったのを見計らって、荒らしまくられたまま満たされていないソコに俺は一気に押し入った。
「あぁん…!」
ヤツが吐き出した生温かい液体がこぼれ落ちた。胸のうちで激しい炎が渦巻いている。
「岸本さ…ん…ん・・すごい…太いっ…!あんんっ…」
「太いのが好きなんだな?」
「んんっ…いい…いいのぉ…!」
ヒカルのそこは散々蹂躙されていたくせに、まだ十分締めつけてきた。
「こんなにヤリまくってたら、開いてしまうぞ?」
「あ…ん…やだぁ…!」
淫乱な妖精はまだ俺の手の中にいる。俺はその温かさを確かめるように背中に覆いかぶさり、肩にキスしていく。
「あっあっあっ…いかせて…!」
背中がしなり、小刻みに身体が震えだした。
もう一度、奥まで押し入ると、ヒカルは声を上げて――果てた。
(41)
だが、おさまっていない俺は容赦なくその体を持ち上げると、仰向けに倒して新たに侵入した。
「やっ…!イッたばっかり…なのに…っ!」
淫靡な形をした下着が精液で濡れてゆるんだモノにぴったり貼りついていた。それがひどくそそり、俺は膝立ちになってヒカルの脚を肩にかけ、直角に折った身体に挿入した。
「――それもイイ眺めだな。」
背後から声がして振り向くと、シャワーをつかってスッキリしたらしい彼が立っていた。俺がぎっと彼を睨みつけると、彼はベッドの上に座りながら、濡れた下着の上を指でなぞった。
「ククッ…こんなに濡らして…ココを弄ってほしいんだろう?」
「は…んっ…!」
挿入するうちにまた形を浮き立たせているそれを煽るようになぞると、ヒカルはイヤイヤをするように激しく頭を振ってシーツを掴んだ。
彼の手が下着をずらすと、色づいたモノの先端が飛び出した。細長い彼の指が先端をいじりまわし、襞が呼吸をするように強く弱く俺を締めた。
「あん…ん…焦らさないでよぉ…ッ…!」
泣き叫ぶような悲鳴が漏れた。下着からはみ出したペニスの先がヒクヒクと揺れ、異常に卑猥なその姿を愛でながら俺はヒカルの熱い後孔に大量の精液を放った。一旦、一物を引き抜くと開いた蕾からダラダラと夥しい量の液体が流れ落ちた。
まだ興奮も冷めやらぬまま、ヒカルの右側に寝転がって濡れた唇を息苦しくなるほど吸う。反対側には彼が上半身を起こして寝そべり、ヒカルの身体を弄りまわしていた。
「もっと可愛がってやるからな、ヒカル。」
俺は囁きながら耳に舌先をすりつけた。そうしながら、片方の乳首の周りを指でなぞり、よく熟れた睾丸をてのひらの中で転がす。反対側ではゆっくりと首筋から耳に舌が這い、耳朶が口に含まれていた。
「はぁん…ダメえ…はぁぁああんッ!」
身体のそこかしこを二人がかりで攻められて、ヒカルは声をあげながら悶え狂っていた。シースルーの下着がするりと脚を伝って脱がされ、ジューシーな色に染まったモノがプルン、と勢いよく飛び出した。
「カワイイねぇ。使いこんでないって感じのモノだよな。高校生みたい。」
「実際はそうでもないんですけどね。」
「フフ、あぶないねェ。そうやってウブっぽい身体と顔であっちこっちのヤツをたらしこむんだろ?岸本く
んもそれにやられたクチか?ほかの男を知らないなんて言ったってあやしいもんだ。」
胸がズキンと痛んだ。ぎこちなく俺の愛撫に応えていたヒカル、潤んだ目をして会いたかったと言うヒカル、絶頂を迎える前に『好き』と呟くヒカル――あれは俺の幻想だったのか。
「その恋人とやらが別れたのは正解だな。――そういや、このコ、オレと岸本くんのザーメンが入ったまん
まなんだろ?そろそろ出してやんないとまずいんじゃないのか。」
彼はヒカルをひょいと抱き上げると、バスルームに運んで行った。意外と力はあるらしい。ドアを開けっぱなしのバスルームから、水の流れる音がした。
俺はまだ達してもいないのにヒカルを横取りされた気になって、ベッドに転がった。
「は…ん…あァん…」
喘ぎ声の間からヒカルの甘い声が聞こえた。
暴走しそうな心を落ち着かせようと、煙草を手に取り、煙を吐き出しながら天井を仰ぐ。こめかみが脈打つのがわかり、軽いめまいがする。
ヒカルはおそらく、この後、俺だけではなく――ヒカルを淫らに染めるこの男に抱かれるようになるだろう――そう直感した。
俺は塔矢を抱くことしか知らなかった身体に、犯される快楽を教えた。そして、今は新たな快楽の鎖につながれる身を知った。
(42)
俺と彼でどれほど違うとは思えない。むしろ、俺のほうがヒカルを知りつくしているはずだ。だが――今、この淫靡な天使が求めているのは情でもなく安らぎでもなく――オモチャのように弄ばれ、快楽の海に押し流される刹那なのだ。
俺はくるりと起きあがると、開けっぱなしのバスルームへと向かった。
バスルームの壁に大きな鏡があり、その前にガラス張りの広々としたシャワー室があった。
典型的な高級ホテルの洗面所だ。
ヒカルはガラスの壁に手をつき、身体をくの字に曲げて尻を突き出していた。ゆるく出したシャワーがピタピタと足元のタイルに落ちている中、背後に立った彼の手がアナルにぶちこまれた精液を掻き出しているのがわかった。
「もっと尻を突きだしな。」
背中から抱かれて片手の指がアナルに出し入れされ、半透明の液体が落ちた。
露わになった下半身に湯をパシャパシャとかけてやりながら、なおも指が挿入される。
鏡越しにハァハァと息を吐きながら伏し目になったヒカルの表情が見えた。
「あ…はぁん…」
指がアナルに深く入れられ、円を描くようにねじ込まれていた。
「掻きだされて感じてるのか?――ホント、好きだよな、オマエ。」
彼はちらと俺を見てニヤッと笑った。シャワーヘッドを掴むと、一気に水圧をあげて、身体に残った精液を掻きだしているところに当てる。
「あ…!あぁぁぁぁッ…!や、やめてぇ!」
蒸気で霞むシャワー室のガラスをヒカルの両手がズルズルと擦り落ちた。
俺はバスルームの壁によりかかって、じっとりとそれを鑑賞していた。
「う…んん…」
突如、ガラスの扉が大きく開き、正面を向いたヒカルの身体が見えた。
両脚を大きく開き、手は両脇のガラスにべったりと押しつけられていた。まるで、絵のフレームにはまったかのように両手両脚を広げたそのきれいな裸体を眺めながら、俺はなぜかレオナルド・ダ・ヴィンチの円の中におさまっている人体図を思い出していた。
後ろはいまだ指で執拗に犯され、時々、腰がガクガク震えていた。
「あ…。」
――俺は開け放たれたドアの前で膝をついた。すべすべの下腹を撫で上げる。
「前も後ろも同時に犯されたいんだろう?」
既に先走りをにじませているソコを口に含んだ。
「あ…ああああああン!」
俺が舌全体を使って裏を舐め上げると、すすり泣くような声が漏れ、ガラス板を引っ掻く音が聞こえた。
「はぁん…ああン…気持ちイイ…」
ゆっくりと丁寧に吸いあげてやる。
不意に両手が伸びてきれいな曲線を描く腰を捕まえ、ヒカルの下半身が後ろに引かれた。
「そら、後ろにもやるぞ。」
グシュッと鈍い音がして口の中で硬くなったモノが跳ねた。
「う…ああーーッ…!!」
バスルームに甲高い悲鳴が響き渡った。ヒカルの身体が彼と俺の間で揺れ動いていた。
「どうだ?たまんねえだろう?」
「あはぁ…イイッ…イイよぉー!こんなの初めて…あんんッ…」
揺すられるたびに口の中にヒカルの雫が溢れた。俺はいやらしく音を立ててそれを啜り、舌先を一番敏感な雁首に当てていたぶるように震わせた。後ろでは鋭く突き上げ、太腿と尻が弾きあう音が響いていた。
「はああああン…!そこ感じるうッ…!イイ…溶けちゃう…出ちゃううッ…!」
「なんだ、もう終わりか?せっかくこれからだってーのに…」
フフッと含み笑いが漏れ、ヒカルの身体が小刻みに揺すぶられて震えた。
「あ…アアアッ!」
口の中で生ぬるい液体がはじけ、俺はそれを一滴残らず飲み下した。
Chapter Confused 3 End