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初っぱなは謎の会話群……

メロとニア(とマット) その3

「ニア、用意できたかっ?」
 開いていたドアに頭を突っ込みつつ言ったが、それ以上、言葉が続かないメロだった。
 なんとなく嫌な予感はしていたのだ。つい1時間前の、Lからの通信で、メロとニアが日本にいるらしいLのフォローに行くことになったが、その時、ニアは明らかに嫌がっていたのだ。
 そして眼前の光景は、お気に入りのおもちゃやぬいぐるみを前に、部屋の中央で固まっている丸い小さな背中。傍らに小さなリュックサックがあるだけだった。
「………ぜんぶ持っていきたい、だけど入らない。だから行かない、ってか?」
「…………行きたくないなんて言ってません」
「さっきのアレを要約したらそうなる」
「…………18裁まで、ここにいられると思ってたんです……」
「は?」
 ぽつりとつぶやくと、丸めていた背を少し伸ばして、小さく畳まれた布をリュックサックに入れた。そして同じような柔らかい布で出来たテディベアを続いて押し込むと、立ち上った。
「……まて、それだけか、ていうか靴は?!」
 ふくれっつらだったニアの顔が、舌打ちしたようになる。リュックを背負うと、部屋の隅に置いてあった箱の前に行く。緩慢にしゃがんで箱の蓋を取り上げると、真新しい靴が現れた。

「えっ、オレも日本に行くの、Lっ?! やたっ!!」
 メロとニアが退室してから、今度はマットが呼ばれてやってきた。そして告げられたことに素直な嬉しさを体全体に表現する様に、ロジャーは安心したように微笑んだ。
「へっへー、メロに合わせて勉強とか頑張って良かった。なんか面白そうだ」
 とりあえず、ニア、メロに次いだ成績を誇っている。そしてこの三人は、他の子どもたちより、年上の者も含めて、突き抜けた能力を持っていた。
『まずは私の保護下でアシスタントに徹してもらいますが』
「うん、わかってる。Lについてたらいろんなことが出来そうだもんね。で、まずはメロとニアの尾行だろ」
 一緒に行くのなら三人そろって呼ばれた筈で、後から一人だけということはやることはこれだろうと、見当つけて言ってみた。案の定、Lは(相変わらずモニター画面にはLの文字だけ浮かんだまま)肯定した。
『その通り。あの二人がきちんと日本に辿り着くように、何かあったらフォローしてください』
「メロはともかく、ニアってハウスからほんとに一歩も出たことないからなー。途中のバスやら地下鉄で興奮するんじゃないかな」
『博物館付近は近づかないよう、メロには言ってはありますがね』
「あーそりゃそうだ。絶対ニアは入ろうとするね。入ったが最後、イースターまで出てこないよ」
 大きく頷くと、モニターのアルファベットに向かって顔をあげた。
「それでさ、Lって半年前にハウスに来てた、白いシャツの人だよね?」
『そうです』
「なんだ、L。マットに会ったのか?」
 目を丸くしたロジャーがメガネ越しにマットとモニターを交互に見た。マットは何故か得意顔だった。
『見られたといった方が近いです。言い含める前にダッシュで逃げられましたが』
「どこで?」
『裏庭のボイラー側です』
「………ほほう。それは故障したボイラーかね、マット」
「ええと。そだっけ?? そいじゃオレ、用意があるからっっ」
 ドアに向かって反転しつつ、誤魔化し笑いで言うと、マットは足を思いきり踏みだした。
「これ、待ちなさい、マット!」
 ロジャーの言葉は、一瞬の間で部屋を飛びだしたマットを止められるわけもなかった。

ちょっとすっ飛ばしてます(^^;)


誰も死なない場合の設定 その4

「そこに書いてあることは事実で、キラはそのノートを使っているというなら、ノートは何冊あるんだ」
 拾ったノートに書かれていた内容の荒唐無稽さに、真面目に取りあう気にもなれなかった。そもそも、キラ事件を基にした文章だと思っていたのもある。
 だが、「ノートの持ち主」という異形の者の出現があっては無視できない。
「死神の数だけだな、常識で考えると」
「…お前が存在する世界と、この世界は同じところにあるのか、それとも違うのか。僕は違うという前提で話している」
「……お前、すげえせっかちだな。俺達が下界と呼ぶここにノートが何冊あるかなんて俺は知らねーよ」
 だからわくわくしてお前んとこ来たのに、とぶつぶつとぼやく。
「人間にこれを使わせることで起こる騒動を楽しみにしていた、ということか」
「うん、そう」
 こっくりと頷く自称死神の異形の者は、ありえない角度で首を回した。その視線の先に、先刻母から貰ったリンゴがあった。
「おっ、あれリンゴ? すげえ真っ赤!! 喰っていいか??」
「………ああ」
 月が呆れ返っているのにもものともせず、リュークと名乗った死神はリンゴをひっつかんで、即座にかぶりついた。勢い余って果汁が周囲に飛び散り、瑞々しいリンゴの香が広がる。
「うまーっっっ、うまい、すげえうまいっ!!! 下界すげえ!!」
 そして残りを二口足らずで食べつくし、目を輝かせた。
「もっとない?」
「………ここにはそれだけだよ。下にまだあると思うけど」
「下行こ、いますぐ行こうっもっと喰いたいっっ」
「馬鹿言うな、お前を見たら、母と妹が卒倒するっっ」
「大丈夫だ。お前しか見えてないから。俺はそのノートの持ち主にしか見えてないし。俺の姿をお前以外の奴が見るには、このノートを触らせる必要がある」
「…そうか、それは便利だな」
 これから厄介なことが待ち受けていそうな予感がして、月こそがぼやきたくなっていた。

「キラも同じノートを持っているのか?」
「そうだろなー。さっきリンド・L・テイラーというのが殺されたのは、顔と名前が出たからだ。あのタイミングはノートの力があいつに及んだんだろ」
「…本物のLは顔が出なかったから殺せなかったのか」
「そう。それに本名も出てなかったしな」
 この死神の言うことが真実だとして、それならこのノートをおそらく捜査本部を指揮するLに渡せば、事件解決にいっきに進む。
 しかし、懸念があった。
「……ノートの力を見るのに試そうとするな、さっきの様子をみると。しかも躊躇わないときた」
 Lと名乗る探偵の人間性にかなり疑問を抱いた月は、このノートを渡したあとの顛末に眩暈がする思いだった。
「それも下手をうつと僕がキラにされかねない」
 死神とノートの証明。
 死神の存在は、この眼前に存在する者を連れていけばいいが、どうやって話をそこまで持っていくかだ。ノートとなると、いくら死神が説明したところで、実際にその能力を見なければ納得しないだろう。かくいう自分でさえ、今も半信半疑だ。
「なーライトー、リンゴー」
「なんで僕の名前を知っている」
「だって俺は見えるもん。お前の名前と寿命。死神はみんなそうなんだけどな」


誰も死なない場合の設定 その3

「え…?!」
 突然、リンド・L・テイラーが胸をおさえて突っ伏した。痙攣を起こしているのか震えているように見えたが、テレビスタッフが駆けつけて、起こされたときには血の気は無かった。そのまま画面の隅に抱えられるようにして消えたが、どう見ても、もはや生きているようには思えなかった。
「殺された? どうやって……」
 リンド・L・テイラー、通称をL。各国のキラ捜査を指揮する立場にあった男が、目の前で殺された。
「自分の手を下さず…」
 即効性ではない毒を盛ったのなら、時間を稼げ、手段も多岐にわたる。しかし、この場面は挑発を受けて殺した、と見えてしまう。

 名前を書けば死ぬ。

 突然思いだした言葉が脳裏を駆け抜け、鞄から数日前に拾ったノートを乱暴に取りだした。表紙裏を見る。

「顔を思い浮かべ、その名前を書けば相手は死ぬ」

「これは…まさか…いや、一連の現象のこじつけだ」
 殺人の手段は月も何度となく考えたが、今まで殺されたのは報道された名前をもつ人間だけ、そしてすべての死因が心臓麻痺ということでは、想像もつかなかった。それこそ、ファンタジーやSFの世界を思い浮かべてしまう。
 テレビ画面が切り替わった。『L』という文字だけが浮かぶ。

『…キラ、お前は直接手を下さずに殺せるのか? 今、お前が殺した男は今日この時間に死刑が執行される筈だった犯罪者だ。何処の国の報道にも出ていない、警察が極秘に逮捕した』

「試したのか?!…むちゃくちゃだっ」
 月は呆然とテレビを見つめた。不意に、手にしていたノートを取り上げられた。
「?!」
 自分しか居ない部屋で、明確な気配を持ったものが背後にいる。そして自分がもっていた物を取り上げたのだ。反射的に振り向いた。
「……なんだ、まっしろじゃねーか……今いってたキラっての、お前じゃないのかよ…」
「!!!!」
 闇の塊が眼前にいた。いや黒いヒトに近い形をした化け物だった。アンバランスに長い手足、漆黒の羽毛のような衣服のようなものが長大な体躯を形造り、その顔は体に反して青白い。こけた頬を裂く切れ込みような口が耳の下まで届く。
 ぎょろりと月を見下ろし、脈絡もなく急に顔を近づけた。
「うわっっ」
 驚いた月は除けようとしてバランスを崩し、床に倒れ込んだ。
「お前、俺が落としたノートを拾ったのに、なんも使ってねーのかよ」
「…な、何の話だ、お前は何なんだ!」
「俺は死神リュークだ。なんだよ、せっかく説明も書いたのに。この世界で一番ポピュラーな英語でよー」
 恐ろしげな容姿とは不釣り合いなほど、無邪気な不満を表明していた。真っ白なページをぱらぱらとめくったり、ノートの背を摘んで振っている。
 月は深呼吸をしてから、ゆっくりと立ち上った


粧裕ちゃん奮戦記(仮)

「ええ、あん中つっきれってんですか?! 嫌ですよ、あんた警察ならアレをどうにしかしてくださいよ」
 とある病院の廊下で、ベージュの作業服をきた若い男とスーツをきた壮年の男が声を潜めて話をしていた。作業服の男は警察の依頼で、この廊下の一番奥の病室にパソコンを設置するためにやってきたのだが、その場所に近づけずにいた。原因は、若い女性の群れである。それぞれがそれぞれに対して敵意を隠さず辺りに殺気が充満していて、誰かが通りかかろうものなら一斉に詰問を始めるのだ。彼女たちの要求はたった一つ。

「仕事をさせる前にわたしに面会させなさい」。

 あくまでも「わたし」、全員が一人称で主張した。「わたしたちに」ではけっしてない。

 病室の主が相当の重傷者で大勢と一度に会話をすることはできないということで、一日一人だけならという条件がついていたのだ。現在、その条件を付けた主は痛み止めと睡眠剤のために眠っている。
「君の仕事は電源コードを通してパソコン設置するだけだろう。彼女たちも通してくれるさ」
「だけ、ってなんすか。電気工事も必要かもしれないってんで免許持ってるオレが寄越されてんですよ」
「いやその言い方が悪かった、済まない。ただ我々では近づけないんだ」
 スーツの男が弱りきったように話した。本来なら絶対安静にさせておくべきことは重々承知しているが、現在最重要事件の詳細を把握しているのが病室にいる捜査官で、意識が戻った責任感の強いその捜査官は、病院にネット環境を病室に持ち込むことを即座に許可させた。
 うつ伏せ状態ではあったが、意外に元気で会話にも問題がなく、滞っていた捜査が進展するものと思っていた。
 が、その後、見舞客が連日連夜押し掛け、仕事の話は一言もできなくなっていた。その時の彼女達の抗議が以下である。

「こんな重傷なのにどうして仕事なのよ」「どうしてお見舞いに人数制限するのよ」「警察だからってなんでもかんでも禁止にできると思ってんの?!」「お花くらいいいじゃない!」「わたしに会わせて!」「ちょっと待ってよ、一人しかダメなのよ」「だからあたしが会うわ!」「夜神さんのなんなんのよ、あんた!」「ちょっと押さないで!」「きゃあ、何するのよ、おまわりさん、この女、どっかにやって!!」「うるさいわよっ、病院なのよ?!」「あんたの声がでかいんじゃないっ」

 狭い廊下に若い女性十数人が入り乱れての騒ぎに、病院から警察へ厳重抗議が入った。

「……要するにモテ男とかそういうのですか。看護婦さんだって大変だ」
「……女性看護師の安全のため、この部屋には男性看護師数人が担当している」
「……ええと、それで今日のは何人いるんすかね」
 作業服の男は覚悟を決め、機材が入った荷物を抱えた。スーツの男は重々しい口調で答えた。
「十七名。そして先日の騒ぎのメンバーとほぼ同じだ」
「ちょっと〜〜〜〜、オレ、まだ死にたくないっすよ!この前の騒ぎはどうやって収めたんすか」
「幸い、妹さんが駆けつけてくれたんだ」

 その騒ぎが最高潮に達したとき、その群れに足早に向かう女性がいた。他の女性達と同年代で、スーツの男はまた増えたかと一瞬戦いた。女性達も新たに現れた敵を一斉ににらみつける。
 その女性は止まらず、その勢いのままで口を開いた。
「どいてください。夜神の家族の者です。兄にご用件のあるかたは少し待っていてください」
 きっぱりと、そしてわき目もふらずに突進してくるその迫力に気圧されたか女性達は進路をあけた。女性は病室の引き戸になっているドアを開くと数秒、中を注視していた。そして、
「もう!お兄ちゃん、起きてるんならお客さんたちどうにかしなさいよっっ!周りの病室の人たちに迷惑でしょう!!」
 ドアの脇から見える病室の主は一見するとうつ伏せで、まだ眠っているように見えたのが、妹にはしっかりと起きていることを看破され、頭を動かし視線をこちらに向けた。
「………公務執行妨害を適用できないか考えていたんだ……」
「お見舞いにきてくれた人たちにそんなこと言わないの!一人のひとって決めたんならクジでも引いてもらったらいいじゃない!」
「……お前もなにげにひどいな…」


とある会話。

「……英語とフランス語の資料しかないんですか」
「警察庁にだれかハッキングできないか」
「……そんなこと出来る技量があるなら俺は警官やめてるね。そっちのがぜったい儲かる」
「物騒なこというな、おい」

 とある通信のやり取りである。各々PCに外国語の報告書や動画を、辞書片手に訳しながら分析している。
 お互いの顔や名前は分らない。調べる対象の特性上、顔と名前は明かさないということが、この『分析会』の決まり事だった。何人で取り組んでいるかもはっきりと分らない。各自の空いている時間にアクセスするからだが、取りあえず、分析と自分の推察を入力して新たな分析資料を作成している段階だから、あまり問題にならない。
 だが、時折、こんなふうにぼやきの書き込みがあり、だれかが突っ込むということがある。

「……そろそろ花見だよなー」
「え? もう終わったろ??」
「こちら絶賛花見なう」
「ツイッターかよ(笑)」
「窓の際に枝が迫ってんだよ。酒もつまみもなしにシラフ花見」
「なんかなつかしいな、カッコつき文字」
「一応仕事中だから顔文字は自粛した」
「(^_^)とか(;_;)とか?」
「なんで泣くw」
「……みなさん、所在地が分るような会話は控えてください」
「はいはい」
「すんませーん」
「ちょっと重いかもしれないけど、画像こみでアップしました、M」

 その書き込みと同時に、それぞれのPCの画面半分に大量のテキスト群が流れていった。軽口を叩いていた者たちも、その資料に目を通し、新たに自分の見解を入力していく。
 『M』と呼ばれた者は、この『分析会』の呼びかけ人であり、便宜上、Mと名乗っている。『L』という、正体不明の探偵に次いで現れた探偵だからかと、他の者たちは思っている。イニシャルかもしれないが。

「先ほど警察庁の資料の話が出ましたが、そろそろその資料と、これまで作り上げた資料の突き合わせに入ろうと思います」

 その文言に、PCの前で全員が真顔になった。
 この数ヵ月に積み上げたデータは、死亡者数、発生地域を示す地図にも集約されている。全世界に広がった「キラの大粛正」を示していた。
 この分析会には、日本各地の捜査官が集っていた。
 皆、不可解な事件に憤りを感じながらも捜査権が無く、個人として調べていた。それをMと名乗る人物の呼びかけで、各自のデータを持ち寄ったのだ。そして、Mが持つ膨大な資料を丹念に調べていたのだった。
 他言無用、詮索無用。それらは、顔と名前で人を殺す力を持つキラに対抗するためには、必要な措置だった

リハビリです……。
本筋とは離れた文章は
大量にあったりします(^^;)

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