8


「んんっ、ぁんっ…あ……」
 さっきからユウヤは、僕の脚の間に顔を埋め、僕のを絶妙な舌使いで愛撫している。しかも、僕が達しそうになったら、素早くそれを察知して唇を離し、一切の刺激を止める。
「いじわる……もう、ばか……」
 僕は、そのたびに切なく身をくねらせてユウヤをなじった。
「いきたい?だったらそう言わな」
「もう……いじわるぅ」
 媚びているような、自分の甘い声が煩わしい。
「そんな可愛い声出してもあかんで」
 ユウヤはクスリと笑いながら舌を伸ばし、挑発するように僕のを根元から先端までゆっくりと嘗め上げた。
「ひゃっ……」
「言うてみ?いかせてって」
 甘やかな声でそう言いながら、僕のそれに指を絡める。
 ユウヤのセックスは、思ってもみなかったほど細やかで、前戯にもかなりの時間を割いてくれた。だから僕は、驚くほどリラックスしてユウヤに身体を預けていたんだけど……。
 フェラをし始めてからは、なんだかすごく意地悪になった。
「い……かせて。……ほら、言ったぞ!」
 僕がわざと怒った振りをしてそう言うと、ユウヤは相変わらずにやにやして「色気ない言い方やなぁ」と言いながら、僕のを再び銜え直した。
「あ…ふっ」
 巧みな舌使いで、すぐまた高められる。敏感な先端に上顎を擦り付けるように動きだし、僕はたまらず腰を浮かせた。
「やだ、やっ、やっ……」
 優しく内腿を撫でられ、僕はそれを合図とするかのように、ユウヤの口内に射精した。
「う、ごめ……」
 いく前に言った方がよかったな。申し訳なく思いながらユウヤの顔を見上げるのと、ユウヤが、僕の放ったものを飲み込むのはほぼ同時だった。
「ちょっ……とっ!」
 まさか飲み込むなんて……。
 驚愕に目を見開く僕を見つめ返し、ユウヤは見せつけるようにペロリと唇を嘗めてみせた。
「顔に似合わず濃いぃな」
「なっ!」
 恥ずかしさで声を詰まらせた僕を見て笑いながら、ユウヤが僕の片方の腿をぐいっと掴んで持ち上げる。不意を突かれて為すがままになってしまったけれど、そうされると、後ろが丸見えになってしまう。
「おい…!」
 僕は慌てて起き上がり、脚を掴まれたままの苦しい体勢で、その手を外させようと腕を伸ばした。
「黙って寝とれ」
 ユウヤが、笑って逆に僕の腕を掴んで押さえ込む。
「今度は俺も気持ちようさせてーな。心配せんでも、暗くて肝心なとこはあんまり見えへんよ」
 あんまりってことは、ちょっとは見えるってことじゃないか……。
―――でもまあ、いっか……
 よくよく考えてみれば、見えたからって恥ずかしがるのもガキみたいでおかしいんだよな。堂々としてりゃいいんだ。―――と、僕が己に言い聞かせたのも束の間、いきなりソコをねっとりと嘗められ、僕は驚きに竦み上がった。
「な、何してんの!汚いってばっ!」
 そんなこと、もちろん誰にもされたことはない。なんだか申し訳ないやら恥ずかしいやらで、僕はユウヤの下で身を捩った。
「汚くないよ。石鹸のいい匂いしてる」
「っ…!」
 その台詞に、僕は真っ赤になって、酸欠の金魚みたいに口をパクパクさせた。
「偉いなぁ。ちゃんと中まで洗ったんや?」
 笑いを含んだ、余裕ありまくりの声に、僕は「知らないっ!」と叫んで横を向いた。
 大丈夫かよ。二十六にもなってこの反応じゃ、呆れられちゃうんじゃないだろうか……。
 そんな僕の危惧をよそに、ユウヤは楽しげにソコの周囲にキスを繰り返している。もういっそ、ガンガンに攻めてくれた方が気が楽だ。
 元々性欲は弱い方だし、挿入じゃ感じないし。僕にとっては、どちらかというと、終わった後ベッドの中で眠るまで一緒にいる時間の方が重要なんだ。
「膝、もうちょっと立てて……うん、そう。ちょっと冷たいで」
「んっ」
 ジェルみたいなのが塗られたかと思うと、内部にツルリと一本指が入ってきた。
「うわ、せっま〜。よう慣らしとかななぁ」
「あ、あのさ……そんなこと、いちいち声出して言わないでくれる?」
 僕は、ユウヤから視線を外したまま口を尖らせた。
「アホ。コミュニケーションっちゅうのは大事やろーが」
 そんなこと、いちいち言われる方の身にもなってほしい。
「すっげー柔らかいな、アキラの中。俺の指に必死に吸い付いてきてる」
「ない!それはないから!」
 僕は、恥ずかしさのあまりユウヤの顔を睨み付けて叫んだ。
「そんな必死にならんでも……」
 苦笑され、僕はますます恥ずかしくなって目を逸らせた。これがダメなんだ。こういうガキっぽい反応しか返せないからつまんないだ僕は。
「もっと色っぽいこと言うてみい。ん?」
「あふっ……」
 いきなり、耳をくすぐるように息を吹きかけながらそう言われ、腰が砕けた。この超美声は反則だ。
「ほんま可愛いなぁ。裸のまま、床の間に飾っときたいわ」
「か、可愛い可愛い言うな!年上に向かって」
「あ、そっか。ごめん、つい忘れてた」
 ユウヤはにっこり微笑むと、僕の胸の飾りをペロリと嘗め、チュクチュクと吸いだした。もうそこはいいんだってば!……と一瞬思ったけれど……でも……
―――な、なんだかちょっと気持ちいいかも?
 勃ち上がったソレを押し潰すように、舌先でグリグリと刺激されると、甘い電流が走ったような快感があった。
「んんっ!」
 思わず変な声が出て、ハッとして口を押さえる。
「お、気持ちようなってきたんや?」
 嬉しそうな、弾んだ声で言われ、僕はなんと返答していいやらわからず、ごにょごにょと口の中で「そうじゃないけど……」と呟きながら視線を逸らせた。
「嘘つき」
 にやっと笑いながらそう言って、僕の中に埋めたままだった指を再び動かす。最初会った時は、甘くて優しい雰囲気の美形って思ったけれど、そんな顔していると、野性的でセクシーで、ドキッとする。
「ここ、わかる?」
「え?あー、まあ……」
 いわゆる前立腺っていう、男にとってのGスポットみたいなところを刺激される。
「やっぱあかん?」
「う……ん……」
 はっきり言って全然感じない。指入れられただけでイッちゃうとか、ありえないからホントに。
「そっか……」
「でも入れてよ?約束だろ?」
「またそういう可愛いことを言う」
 ユウヤは切なげに目を細め、ゴムの袋を口でビリッと開けて付けた。ユウヤが自身に付けている間、覗き込むのも変だし、僕はジッと口を引き結んで天井を見つめていた。
 なんだか、初めての時よりずっと緊張しててる。っていうか、チラッと見た限り、ユウヤのってかなりその……大きそう……なんだけど、大丈夫だろうか。
「はい、装着!と。……お待たせしました。準備OKで〜す!」
「ふふっ、バカ」
 ふざけた言い方に、思わず笑ってしまう。多分、緊張でガチガチになってる僕をほぐそうとしてくれているんだろう。
「大阪ではアホって言わな。言うてみ?」
 ユウヤが、僕の目を見つめながら顔を囲むように両手を置き、ついばむようなキスをする。
 まるで親鳥に守られているヒナみたいな気分だ。僕はうっとりしながら口を開いた。
「じゃあ、アホ……っん!」
 完全に力を抜いていた瞬間を狙いすまして、いきなり挿入された。
「ちょっ……、やっ!…いた……い……」
「ごめん、もうちょっと我慢してな。…っていうか力抜いて?」
 ユウヤも痛みがあるのか、眉根を寄せて掠れた声で言った。
「無理っ!」
 僕は大声で叫んだ。やっぱりこいつ、かなりデカい。信じられないくらいの圧迫感だ。
 ユウヤが、汗ばんだ僕の額にそっとキスを落としながら、あやすように僕のを手に取って扱きだした。
「んっ、んっ……」
「大丈夫、大丈夫。もう太いとこ入ったから、あとは楽なはず。……あと5センチ……4センチ……」
「実況中継かよ……もぅっ……!」
 僕は、ぎゅっとユウヤの身体にしがみついた。大きな背中だから、しがみつきがいがある。
「全部入った〜、きっつ〜」
 見上げると、ユウヤの額にも汗が浮かんでいた。ほの明るい光に照らされ、それがぼんやりと光っていた。
「痛いよ。ユウヤのアホ」
 多分、力を抜いていた瞬間に入れられなかったら、もっと痛かったんだろう。でも思わずそんな憎まれ口を叩いてしまう。
「ごめんな。怒らんといてくれ。頼むわ」
 耳元で優しく囁かれ、僕はユウヤの背中に回した手に力を込めて頷いた。
「動いていいよ」
「ん……ああ」
 ユウヤが頷き、ゆっくりと動き出す。
「痛ない?」
「だから痛いってば」
 言いながら、なんとなく笑いが込み上げてくる。そりゃ、こんなとこに、こんなモノ入れられて痛くないわけない。でも、どうして僕はこんなにも幸せな気分なんだろう。ただの行きずりの男のはずなのに、どうしてたとえ痛くても嬉しいと思っているんだろう。
「もっと痛くしてもいいよ」
「アホ。挑発すんなよ。壊れても知らんぞ」
 ユウヤの熱が、僕の身体の中で脈打っている。他人の身体の一部が、自分の身体の中にあるという事実を、僕は今更ながらに凄いことだと感じていた。



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