梔子の夜

〜The night of the gardenia〜

4


「お前、射精はしたことある?」
「……あ…る……」
「ふうん、そう。ならもう大人だな。遠慮は無用ってわけだ」
 ユウマはそう言うと、ニヤリとした。ぞっとするほどいやらしくて、そして綺麗な笑み。そう、ユウマはどんなに卑猥な言葉遣いをしても、僕の身体を乱暴に扱っても、どこか優雅な雰囲気があった。
 ユウマは僕にじっとしておけと命令し、ソファから離れた。しばらくして、白い小さな小瓶を持って戻ってくる。
「さあ、さっきみたいに脚を広げな」
 ユウマはニヤニヤしながら、仰向けに寝た僕の脚を、さっきみたいに広げさせた。
「あ、何……?」
 ユウマは僕の問いを無視し、瓶の中のクリームを指に取り、僕の後ろに塗り付けた。
「やっ!」
「我慢しろよ。すぐに良くなる」
 そう言いながら、ユウマはなおもクリームを取り、僕に塗り付ける。
 僕は恥ずかしさと恐怖で消え入りそうになりながらも、ヘビに睨まれた蛙のように、冷たい視線で僕を見下ろす男から目が離せないでいた。
 やがて、ユウマの指が僕の中に一本入ってくる。クリームのお陰で痛みはなかったが、違和感と羞恥に広げた脚が震えた。
「ちゃんと脚、持ってろ」
 ユウマはもう片方の手で僕の手を、膝の裏にあてがった。手に当たる包帯の感触と共に、さっきこれを巻いてくれた時の優しげなユウマが思い出されて、僕は思わず涙ぐみそうになった。
「お前のここ、嬉しそうに僕の指飲み込んでる。全部丸見えだ」
 ユウマはそう言って、中に入れた指をぐいっと折り曲げた。
「いたっ!」
 本当は痛いわけじゃなかったけれど、僕はとっさにそう口にしていた。なんだか足の先まで痺れるような感覚があったのだ。
「痛いだけか?」
 ユウマは笑いながら、なおもその場所を擦りあげる。
「あっ、やめて……ユウ……マ」
 僕はゆるゆると首を振りながら懇願した。身体の中のその一点を突かれると、身体が勝手にピクンと跳ね上がった。
「感じるんだろ?ここで」
 ユウマは指をもう一本潜り込ませてきた。ニ本の指で、クルクルと円を描くようにしながら、腹の方の内壁を擦られる。
「あっ、あっ、やめて!……ヘン、なんだ。そこ……」
「どうヘンなの?」
 すぐ耳の側で、息を吹きかけるようにして喋られ、僕は快感に震えた。
「気持ちいいんだろ?」
「っん、いい……」
 二本の指が、てんでバラバラに僕の中を押し広げ、グチュグチュという卑猥な音が辺りに広がった。
「尻で感じるのか?この淫乱」
 ユウマは笑いながら、中から指を引き抜き、僕の身体をひっくり返して四つん這いにさせた。
「さあ、聡のお望み通り、グチャグチャに濡らしてやったぜ」
 そして後ろから僕の尻をぐいっと開いた。秘部を見られているのを感じて、僕は恥ずかしさから身を捩った。
「それからこれを突っ込むんだっけ?」
 楽しげな声と共に、後ろでカチャカチャと金属の触れ合う音がした。振り返ると、ユウマがズボンの前を開け、硬く勃起したそれを引き出すのが見えた。
「い、いや……」
 僕はその禍々しい凶器を見て、恐ろしさのあまりずり上がって逃れようとした。ユウマは意地悪く笑いながら着ているものをすべて取り去り、僕の髪を無造作に掴んで、力任せに引っ張った。
「痛い!」
「当たり前だろ、痛くしてるんだから。ここまできて逃げようとするからだよ」
 ユウマは僕の腰を捕らえて引き寄せ、その怒張を僕の後ろに押し付けた。
「力抜けよ。じゃないと割けちゃうよ。いいのか?こんなとこ血だらけにして帰ったら、パパやママがびっくりするだろうな」
「あっ、待って!」
 僕の制止の言葉など聞こえなかったかのように、ユウマが無慈悲に腰を進めた。太く硬い楔が、ズクズクと僕の中に侵入してくる。
「痛いっ!やだ……やぁぁー……!」
 本当は痛いなんてものじゃなかった。内臓を直接擦られ、引きずり出されるような強烈な感覚。僕は今まで感じたこともないほどの痛みに、目の前が白く霞んだ。
 このままじゃ殺されると、僕は本気で戦慄した。
「大声出すなよ。力を抜け」
 ユウマが僕の耳元に囁きかける。
「いいよ、お前の中。熱くて狭くて、最高に気持ちいい」
 ユウマが僕の背中に口付けする。熱い舌が背筋を這い回り、僕の身体はビクンと震えた。
「気持ちいい?」
「ちがう……もん…あふっ」
 首筋を舐め上げられ、否定しようとした声が裏返った。ユウマが低く笑う。その息が首筋にかかり、それにさえも僕は震えた。
「嘘をつけ。お前が震えて跳び上がるたび、ここはキュウキュウ締め付けてくるぞ」
 そう言って、ユウマがゆるゆると抜き差しを始めた。
「いやっ!もう抜いてよぅ。お願い」
 僕は尻を高く上げた格好で、泣きながら懇願した。
 ユウマは僕の声を無視し、僕の背中にぴったりと胸を押し付けて、腰を小刻みに動かした。その先端がある一点に来た時、指で得たのとは比べ物にならない快感が訪れ、僕は驚いて大きく息を吸い込んだ。最奥を蹂躙するユウマの怒張が、僕の変化に気付いて、そこを集中的に責めて僕を身悶えさせた。
「ここがいいのか?」
「……うん…いい……」
 ユウマが腰を打ち込むごとに深まっていく快感と、挿入時から続く鈍い痛みに、僕は身体を突っ張らせて耐えた。
「あっ、あっ、んん……」
 ユウマが思いのほか優しく僕自身を擦り、先端の割れ目を爪で軽く引っ掻いた。
「いやあぁっっ!」
 僕は行き過ぎた快感に身を震わせ、気付いたらユウマの手を白い液体で濡らしていた。
「子供のくせに濃いな。ベタベタだ」
 ユウマはそう言って、手に付いた僕の精液を僕の裸の胸に擦り付けた。そしてまだ勃ったままの乳首を捻り潰すようにして嬲る。
「次は尻だけでいくか?」
「やっ……お願い、もう……」
 抜いて欲しい、と言う前に、ユウマは最奥を穿っていた己を一度抜ける直前まで引き、再び深く突き入れた。それは内臓が迫り上がるかと思うほどの圧迫感を僕に与えた。
「お前、名器だよ。それとも子供だから柔らかいのかな」
 ユウマの声音には、どこか嘲るような響きがあった。
「元気だな、もう勃ってる」
 その言葉通り、僕の前はユウマの手の中で硬くなり始めていた。
「ふうっ……あんッ」
「いい声だな。可愛いよ」
「あ……ふっ、ユウマァ……」
 僕は、まるで恋人に甘えているような自分の声が恥ずかしくて、ソファに突っ伏した。
「こら、それじゃせっかくの可愛いお前の顔が見れない」
 ユウマが低く笑いながら、僕の身体をくるりと反転させた。
「やぁっ!」
 僕の内部に押し込まれたままの熱い楔で、内壁をこれ以上ないほど激しく擦られ、僕はあまりの快感に我を失ってまた泣き出してしまった。
 ユウマの冷徹な鳶色の瞳が、泣きじゃくる僕をじっと見下ろしていて、僕は恥ずかしくて両手で顔を隠した。
「顔を見せろ」
 ユウマは怒ったようにそう言って、予想外の力で僕の手を引き剥がし、両手を頭の上で磔にした。
「足を僕の腰に絡ませて……そうだ。……お前、クラスで仲のいい友達はいるか?」
「ん……うん」
 僕はしゃくりあげながらも、突然の問いに懸命に頷いた。頭の中に、さっき喧嘩別れした二人の友達、純太と夏彦の顔が浮かんだ。
「じゃあこうやって僕に犯されているところ、その友達に見られたらどうする?」
「や……いや……」
 ユウマにそう言われたら、なんだか本当に二人に見られているような気がして、僕は慌ててユウマの手から逃れようと抗った。しかしユウマはクックッと意地悪く笑いながら、腕の力を強めて僕をソファに深く沈め、さらに腰を激しく打ち付けた。
「興奮してるんだな、友達のことを考えて。お前の中がまた一層俺に吸い付いてきた」
 そんなわけはない。そんなわけはないのに……。
「見られながら犯されるのが好みなら、誰か人を呼んでやってもいいぞ?」
「いやっ!ダメ!!……う、くっ……絶対、ダメだよッ!」
 僕は慌てて抗いながらも、ユウマの悪い冗談にほんの少しゾクリとした。そして、それがまぎれもなく誰かにこの卑猥な姿を見られることへの期待だと気付いて、愕然とした。
「あっ、あっ、あっ……」
「聡……」
 ユウマは欲望に擦れた声で僕の名を呼び、僕の性感帯を激しく擦り上げた。
「んんッ!あああ―――!!」
 僕は堪えきれず、身体全部を震わせて大きな声を上げながら弾けた。内部がユウマ自身に纏わりつくように収縮して、その形をありありと僕に伝えた。
 ユウマが、低く呻いて僕の内壁に熱い体液を打ち付けた。



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