「もういい?」
手を止めた少女に母がきく。少女がうんとうなずくと、母
はシャワーの栓を開いて少女の体の泡を洗い流した。
「んー、・・・も頑張ってるけど、でも不合格かな」
「わたし、ちゃんと洗ったよ?」
ちゃんと洗ったつもりの少女は、何が悪いのか分からず首
をかしげる。
「きれいに見えるけど、まだ洗い残しがあるのよ。ちょっと
ごめんね」
そう言って、染み一つない綺麗な少女の股間に母の手が伸
びる。
「きゃっ!」
痛みを伴った強い刺激。母の指が少女のスリットに分け入
り、何かをこそぎ取るように動く。
「これ、何か分かる?」
少女の前に突き出された母の人差し指。その指先には、白
い豆腐の滓のようなものが付着している。そして、かすかに
漂う刺激臭。
「……!」
少女の顔が見る間に紅潮する。恥垢。その名は知らなくて
も、それが綺麗に洗えずに残った垢の類だというのは分かる。
「恥ずかしがらなくてもいいのよ。これから綺麗に洗うこと
を覚えればいいんだから。お姉ちゃんだって小さい時は綺麗
に洗えなくて、お母さんと一緒に練習したのよ。・・・にも
お母さんが洗い方を教えてあげる」
優しく諭す母。少女は真っ赤な顔でうなずく。啖呵を切っ
た手前、言い訳も拒否もできないし、女の子としてちょっと、
いや、かなりダメージが大きかった。
「ここは繊細で大事なところだから指で洗うのよ」
母は少女の左手を取り、手のひらにボディソープを垂らし
て泡立てる。ほどよく泡だったところで、少女の手を足の間
へと導いた。
「まずは外側からね。優しく撫でるようにして、こう」
少女の手の甲に母の手のひらが重なり、指が交互にからむ。
母の指はそのまま滑るように奥へ進み、発育途中のふくらみ
を撫でる。スリットの始まりから後ろの窄まり、足の付け根
まで、母の指は少女の股間全体をあまねく行き来する。
「うぅっ」
少女の口から小さな声が漏れる。母の指の滑らかな感触が、
少女の敏感な肌を刺激する。それは胸で感じたものよりも強
く鋭くて、でも母のお菓子のように甘かった。
「さぁ、・・・。自分でやってみて」
母の指が少女の手の甲まで引き、少女を促す。
「う、うん……」
返事はしたものの、少女は指を動かすのを躊躇する。胸を
洗われただけでヘンな感じになり、そこはさらに刺激が強かっ
た。洗うためとは言え、その未知の感覚は、少女をためらわ
せるには十分すぎる理由だった。
「大丈夫よ。ボディタオルより指の方が滑らかなんだから、
やさしく擦ってあげればいいの」
母の言うことはもっともだが、少女の悩みとは少しずれて
いる。そうじゃないのと振り返って母を見るが、母はにこや
かに笑って少女を促すだけだった。アイコンタクトは通じず、
理由を言うのも気恥ずかしい少女は、あきらめて洗うことに
した。
(大丈夫かな、何か怖いな……)
少女はそっと指を奥に進める。指で自らの幼い性器をつつ
くと、泡でぬるっと滑る。指の動きに少し遅れ、なぞられた
ところが熱くなる。意識してしまうことで、少女の体が過剰
に反応していた。
「ひゃんっ」
ためらう少女の手を、母の手が後押しする。ぬめった指と
手のひらは容易に性器の上を滑り、熱い刺激が少女に悲鳴を
あげさせた。
「ほら、ちゃんと洗わないとだめよ」
「ま、待って。自分でやるから」
母に悪気はないだろうが、心の準備無しで急にされるのは
結構きつい。だが、ぐずぐずしている自分が悪いのだと、少
女は思い切って手を動かしはじめた。
「……っ!」
母がしたように手を動かす。少女の指が敏感な肌を熱くす
る。それは自分でしていなければ声をこらえ切れないほど熱
く、火が灯ったように下腹部が火照る。その熱は少女に奇妙
な高揚感をもたらし、熱くなればなるほど綺麗になるのだと、
少女は隅々へと指を這わせた。
「…ん…っ……ふぅ…」
一通り洗い終えた少女は大きな息をはき、いつに間に息を
止めていたことに気づく。こめかみを汗が流れ落ちる。まだ
ゆっくり湯船に浸かっていないのに、心も体も茹だっていた。
「ん、よくできました」
どうだったかと後ろの母を見上げると、母の笑顔が少女を
褒める。それが嬉しく、少女も照れたように笑い返した。
「それじゃ、次を洗いましょうね」
「えぇ! ま、まだあるの?」
少女としては大変な仕事をやっと終えた気分だったので、
母の言葉に目を丸くした。結構大変な思いをして母の言う通
りに洗ったのに、まだ何かあるのかと、少女は心配げに母を
見た。
「ここからが本番、一番大切なとこよ。でも今のと要領は同
じだから難しくないわ」
母はほんのり赤くなった少女のスリットに指をあてて開き、
鮮やかなサーモンピンクの秘肉を少女の目にさらした。
「ふぇっ!?」
見たことはなくもないが、普段まじまじと見ることはない
隠された所。赤い粘膜と白い肌との対比が生々しく、かえっ
て自分の体ではないような感じさえする。
「ここは大事なところ。おしっこの出るところもあるし、赤
ちゃんはここから産まれてくるのよ」
「赤ちゃん?」
見づらいだろうと母は少女に手鏡をもたせ、少女のスリッ
トの中の一点を指さした。小さな尿道口の下、閉じた小さな
皺のような穴が鏡に映る。
「・・・が大きくなって、好きな人ができて結婚して、そう
したら・・・の赤ちゃんはここから産まれるの」
「……ここ…から?」
初潮もまだな少女の膣口はとても小さく、そう言われても
現実味が沸かない。甘々な両親をもつ少女として結婚に色々
と夢馳せたりするが、具体的な出産とか生々しいことまでは
想像することはない。
「そうよ。・・・も、お母さんもお父さんも、恭也や美由希
だって、みんな女の人のここから産まれてきたのよ。・
・・のここはまだ小さいから実感が沸かないだろうけど。
お母さんのを触ってみる?」
少女の返事を待たず、母は自分の股間へと少女の指を導く。
豊かだが柔らかい茂みを通り抜け、少女の指は熱く潤ったも
のにつつまれる。
(指が、握られてるみたい!)
母の胎内へ第二関節まで容易に入り込んだ少女の指は、吸
い付かれるような不思議な感触で圧迫され、そこに押し止ど
められる。さらにそれだけでなく、指を包む壁はじわじわと
煽動して刺激を与え続ける。
「わかった? 女はすごいんだからね」
母に指を解放され、少女はほっとため息を付く。どうやら
母はこれを機会に色々と教えようとしているらしいが、今の
少女は一杯一杯で与えられる情報に翻弄されるだけだった。
「……だから、ここは綺麗にしないと赤ちゃんがかわいそう
でしょ? ・・・のここはどう?」
「え? あ、うぅ……きれいじゃない、かも……」
一瞬惚けていた少女は、母の指さす自分のスリットの中に
白い滓のようなものを見つけ、また赤面して縮こまった。年
頃の女の子と言うにはまだ少女は幼いが、赤羅様に洗い残し
の証拠を見せられると恥ずかしいことこの上なかった。
「じゃ、綺麗にしましょうね」
母はにこりと笑って言った。
「狭いところだから指一本でいいわ。爪は絶対立てちゃだめ
よ。傷ついてばい菌が入ったら大変なことになるから」
母から一通りの注意点を聞き、少女は幼いスリットに左手
の中指を差し入れる。
「最初はおしっこの穴の辺りから、後ろの方までね」
「…うん…………ぁんっ!」
母に言われた通りにそっと優しく、スリット内の粘膜を指
の腹で撫でる。そこは少女の想像以上に敏感で、外性器を触っ
た時の何倍もの刺激が少女の腰を走り、産まれてから一度も
出したことがないような甘い嬌声が少女の口から漏れた。
「そうよ、その調子。両側に薄い襞があるのが分かる? そ
こも汚れがたまりやすいから気をつけるのよ」
「…っ…ん……んっ…うっ……」
母の言う襞、少女の未発達な小陰唇はさらに敏感だった。
痺れるような刺激が腰だけでなく背中を駆け上がり、込み上
げる声を押し殺すのに舌を噛みそうなほど体が震える。この
強い未知の感覚は、幼い少女の心に変な気持ちと恐怖を沸き
上がらせる。たまらず、少女は母に泣きついた。
「お、おかあ…さん…」
「なあに?」
「…わたし、へん…な…感じ…なの……ゃ…こわ…い……」
助けをこう少女の体を、母は後ろからきつく抱き締める。
「それは、へん、じゃなくて、気持ちいい、なの」
「…きも…ち…いい…?」
「そう、体を洗うとさっぱりして気持ちいいでしょ。女の子
のここも、同じように洗うと違った気持ち良さがあるの」
「…そう…なの…?」
「そうよ。声も我慢しなくていいの。女の子なら当たり前な
んだから、恥ずかしいことはないのよ」
母の優しい声が、少女の耳元にささやかれる。
「…ん…ゃぁ…ゃっ…あぁっ!」
それを聞いて安心したのか、少女の声が少しずつ大きくなっ
ていく。
少女の母の言葉は、まともな性知識、性教育と言うには少
々ずれがある。それに気づくには少女は幼いし、何より少女
にとって母は絶対だった。
「あっ、ゃぁ、あぁっ」
「今度は大切な穴の回りを圧しながら撫でてみて」
「んんっ、ぁ、ゃっ、あんっ」
嬌声と呼ぶには艶さが足りない幼い声が、少し広めの風呂
場に響く。
母の指示は少しずつ洗うことから逸脱してきている。初め
て知った性の快感に対する恐れも、背中で感じる母の体温と
ゆったりした鼓動が、少女を安心させ霧散させてしまってい
た。
「最後はおしっこの穴の上の方、皮が重なっているとこに垢
がたまりやすいの」
「ぅ、うん、ぁ、っぅ!」
幼くても陰核は陰核、そのために保護する皮膜があり、そ
こを触るのはあまりに刺激が強すぎた。
「きゃっ!」
動揺した少女は椅子から滑り落ちる。母が強く抱き締めて
いなければ、床に思いっきり顔をぶつけていたかもしれない。
「・・・、大丈夫?」
「う、うん」
今ので少し落ち着いた少女は、ゆっくり深呼吸をして股間
から手を放した。
「だめよ、・・・。ちゃんと洗わないと」
「でも……」
ちょっと触っただけで頭が白くなりそうだったそこは、さ
すがに少女を怖じけさせる。
「でもじゃありません。綺麗にしないと病気になっちゃうか
もしれないのよ?」
「……はい」
心配する母の様子に、少女は頑張って洗うことを決めた。
膝立ちで足を広げ、後ろから母に支えてもらう姿勢で、少
女は体の中で一番敏感な場所に指を這わせる。
「あっ!」
分かっていても、きつい刺激に悲鳴に近い声を漏らしてし
まう。
「ゆっくり、優しく、それを忘れないで」
「うん……っ、やぁっ、ぁっ、んんっ」
母の期待に答えるため、少女は強すぎる快感に耐え、陰核
周囲の恥垢を擦り落としていく。一度落ち着いた心も、すぐ
に高揚して絶頂の高みに駆け上がっていった。
「あぁ、ゃ、ぃゃ、で、でちゃう?」
だが、性の快楽を知ったばかりの少女は、たとえ陰核を刺
激したとしても逝くには体が幼すぎた。
「だ、だめ、ゃ、いゃ、いやぁ!」
押さえたホースから噴き出る水のように、股間を押さえる
少女の指の間から、黄色い水が吹きこぼれる。止めようにも
強い刺激を受け続けた腰は力が入らず、一度出始めたものは
指では止められない。
「ゃ、ゃだ、と、止まらないよ!」
排尿の恥ずかしさと快さに震える少女の声と、床のタイル
を打つ排水音が夜の浴室に打ち響いていった。