「うぅぅ……」
少女は肩まで湯に浸かり、湯船の縁にあごを乗せ、母が体
を洗うのをボーッと見つめていた。母は鼻歌を歌いながら体
を洗っている。シャワーを浴びていた時は少女も母の背中を
流すつもりだったが、今の少女はそれどころじゃなく見てる
ぐらいしかできなかった。
結局、しゃくりあげる少女は母に下半身を洗い流してもら
い、ついでに頭も洗ってもらって湯船に入れられてしまった。
初めての行為の衝撃は大きくて、まだ腰に力が入らず、下腹
部は熱をもっている。
(お母さんは普通にしてる。慣れなのかな……)
ちょうど母も下腹部を洗っているが、外と同じようにごく
普通にしている。今までそう洗っているなど知らなかったが、
こう普通では気付きようもないと少女は思う。
「・・・、百数えた?」
「ぇ、ぁ……」
突然話しかけられ、少女はううんと首を振る。数えてと言
われていたが、うっかり忘れていた。
「のぼせないうちに上がりなさいね」
「えと……うん」
もう少し一緒に入っていたかったが、既にのぼせかけてい
るのも事実で、少女はあきらめて立ち上がった。
「おかーさん、・・・、着替えもってきたよ」
入り口のガラス戸に影が映る。姉が少女の着替えを持って
きてくれたのだろう。
「ちょうどいいわ。美由希、今・・・が上がるから拭いてあ
げて」
「はーい。・・・おいで」
脱衣所から姉が呼ぶ。
「じゃぁ、お母さん先に上がるね」
「湯冷めしないようにちゃんと拭いて、すぐ着替えるのよ」
「はーい!」
ガラス戸を開けると、姉がバスタオルを広げて待ち構えて
いた。
「さぁ・・・、お姉ちゃんが拭いてあげるからね」
「お、お姉ちゃん、自分で拭けるよぉ」
「いーのいーの」
火照ってほんのり赤くなった少女の体に、姉がふわりとバ
スタオルをかけ、肩から腕、背中と少女の体に付着した水滴
をふき取る。
「ふーん、・・・って、結構胸があるのね」
「そ、そうかな?」
母にも言われたが、ありさやすずかとたいして変わらない
し、そんな自覚も無いので反応に困る。それよりも少女の胸
を拭くバスタオルの方が刺激が強く、それを姉に気取られる
のが恥ずかしくてそっけない振りをする。肌触りのよいバス
タオルだが、母に洗われて敏感になった肌と妙に合ってしまっ
たようだ。姉の手が胸から腹に移った時には、思わずため息
をついてしまうほどだった。
「ちょっと足を開いて」
姉が白桃のような少女の尻を軽く叩き、少女に足を開くよ
う促す。立っている少女に対し、姉は床に座るようにして少
女の体を拭いているので、股間が姉に丸見えになって恥ずか
しい。
「そ、そこは自分で」
「・・・、お姉ちゃんの言うことは聞くのよ、いい?」
「うぅ、うん……」
強く咎められた訳じゃなく、優しく諭されるように言われ
ただけだが、言われれば少女は従うしかない。
あきらめて足を開く少女。未発達の膨らみを割るスリット
は、足を開いてもぴったり閉じたままで、湿り気を帯びて水
滴が筋を埋めている。
「んっ」
姉の持つタオルが太ももを拭い、さらに少女の股間の水気
もとる。ただ優しくそっとタオルを当てられているだけなの
に、それだけでそこが熱くなって居たたまれなくなり、それ
がいけないことに思えてしまう。ごく普通に体を拭いてくれ
る姉に、そんな自分の様子が丸見えになっているのがとても
恥ずかしい。
(何でかな、わたし、変な子になっちゃったのかな)
名前が分からない事と体の事、どちらが変か比べようもな
く、分かるのはどちらも少女を苦しませる悩みには変わらな
いこと、それだけだった。
少女の耳元で高回転で回るドライヤーの音が唸る。姉に髪
を乾かして梳いて貰うのは普通に気持ちよく、安心して眠気
すら覚えてしまう。
「だめよ、・・・。まだ着替えていないんだから」
「……うん。何か疲れちゃって」
眠い目をこすって返事をし、重い体を引きずるように立ち
上がる。澱のような疲れが少女の心にも体にも溜まっていて、
極度に強いられた緊張が緩んで一気に沸き上がっていた。
「はい、替えの下着よ。足を通して」
言われるまま姉の肩を支えに拡げられたショーツに足を通
すと、姉が腰まで引き上げて履かせてくれる。キャミソール
も同じように着させて貰った。
「うんうん、いい感じかな。ちょっとどうかなと思ったけど、
なかなか似合ってるよ」
腕を組んだ姉は、少女を頭から爪先まで見回して一人納得
している。ボーッとしていた少女は何かと思い、自分の体を
見下ろした。
「………………」
「どう、気に入った?」
「…………お姉ちゃん……これはちょっと、わたしにはどう
かなぁと」
へそが見え隠れするくらいのキャミソール、ウエストライ
ンが低いローライズのショーツ。これだけならまだ少女も驚
かないが、どちらも黒一色で薄く透ける布地にレースがふん
だんにあしらわれている。少女の小さな乳輪はキャミソール
の上から十分に色形が分かるし、ショーツも少女が生えそろっ
ていないのが分かるくらいだ。
(これが似合うって、やっぱりそうなのかな……)
アダルトでセクシー、そんな表現より単純にエッチな下着
と言った方が的確に思える。まだ九歳の自分にそれが似合う
ということは、やはり自分は変じゃないかと少女は思い沈む。
「やっぱ・・・にはまだ早かったかな。ごめんね、これしか
ないの。さすがに小さい時の下着は残ってないし、私のやお
かーさんのじゃ大きすぎるし。明日買ってくるから、今夜は
我慢してね」
「……うん」
他になければ履くしかないが、刺激的過ぎて落ち着かない。
キャミソールの裾を引っ張っても精々へそが隠れるくらいで、
ローライズのショーツは全く隠せない。そのローライズもハ
イレグよりは下腹部を覆っているが、保護の機能が強い子供
用の下着に比べれば圧倒的に布地が少なくて心もとない。
「……ぁ……」
少女はどうにかならないかとショーツを引っ張ったりした
が、元から布地が薄くて少ないのでどうにもならない。しま
いにはクロッチが裂けてしまい、驚きのあまり固まってしま
う。裂け目からほんのり赤い少女のスリットが丸見えになっ
たのもショックだが、他に履くものが無いから下着無しで寝
ないといけないとか、物はともかく姉がせっかく用意してく
れたのを目の前で破ってしまったとか、色々と一気に思い浮
かんで目が回ってしまう。
「へぇ、これオープンクロッチだったんだ。気が付かなかっ
たな」
姉も少し驚いた表情をしたが、すぐに興味津々で少女の下
着に手を伸ばし、裂けたクロッチを閉じたり開いたりし始め
た。
「……破けたんじゃないの?」
「違うよ、最初からこうなっているの。これは結構便利そう
ね」
後ろまで開いているようだがトイレでも使えそうにないし、
これの何が便利なのかよく分からないが、とりあえず破けた
のではなかったので少女は胸を撫で下ろした。
「あ、忘れてた。これはネグリジェもセットなんだ」
姉はクロッチをきれいに閉じると、カゴからネグリジェを
取り出した。これもまた黒一色で透けるように薄い。丈が膝
ぐらいまであるのが救いだろうか。
「きゃ、可愛いわぁ。ねぇねぇ、おかーさん、見て見て!」
少女にネグリジェを着せた姉は、その結果がとても気に入っ
たのか、まだ風呂場にいる母を呼んだ。
「どうしたの、美由希……って、まぁ、・・・ったら……」
扉から顔を出した母は恥じらう少女の様子を見て、緩んだ
頬に手を当ててとろんとなった。どうやら母もかなり気に入っ
たらしいが、少女としては喜んでいいのか微妙だった。
「商店街の忘年会でお父さんが景品で貰ってきたものね。ど
うしようかと思ったけど、こんなに似合うんだもの、捨てな
くて本当に良かったわ」
「………そ、そうなの?」
「そうよ、・・・。ちょっと回ってみて……。そうそう、可
愛いわぁ。濡れてなければすぐにでも抱き締めたいくらい」
「でしょでしょ、おかーさん」
母と姉は少女にポーズを取らせたりして喜んでいる。動く
とクロッチがスリットに擦れる感じがして少し恥ずかしいが、
二人が喜んでいるのを見ているとこれもいいかと思い始める
少女だった。
(でも、こんなの貰うなんて、お父さん何したのかな?)