───迂闊、だった。
「くそっ・・・!!」
長い廊下を早足で急ぎながら、クロノは自分の判断の甘さに毒づいた。
(あの子の性格を考えたら、自分一人でなんとかしようと思ったって不思議じゃないはずなのに・・・!!)
ここは、時空管理局本局。
わずか十分ほど前、仮眠をとっていたクロノはエイミィからの内線によってたたき起こされた。
なのはが姿を消した時と同じ結界の反応が、サーチャーにとらえられたこと。
待機していたユーノとフェイトに、現地へと向かってもらうよう要請したこと。
それだけであればクロノだってさほど慌てなかっただろうし、これほど自分を責めてはいないだろう。だが。
(なのはが・・・あのなのはでさえ負けた相手なんだぞ・・・!?)
フェイト達の転送が完了した後、偶然トランスポーター付近を通りかかった局員が発見したのは、
気を失い壁に寄りかかるようにして寝かされている、アルフとユーノの姿だった。
「エイミィ!!状況は!?すぐに僕も出る!!」
「クロノ君!!それが・・・」
「・・・クロノ、ごめん・・・フェイトを止められなかった」
司令室がわりのミーティングルームに入るなり叫んだクロノに振り返る一同。
ユーノが申し訳なさそうに、謝ってきた。
「気にするな、フェイトのことは君やアルフのせいじゃない。それより状況を」
「そ・・・それが・・・・」
エイミィの言葉に、クロノは絶句する。
フェイトの使用した海鳴への最短の転送装置の回路には現在異常が発生しており、しばらくは使用できないということ。
別のルートの場合、更にフェイトとは数十分の遅れが生じることになってしまう。
「・・・たぶん、フェイトだよ。なのはの敵討ちでもするつもりで、一人で・・・」
「っ・・・あの、馬鹿・・・!!」
アースラが使えない以上、責任感の強い彼女とて暴走することはあるまい。そう思っていた。
しかし、それが逆に彼女を焦らせ、無茶をさせる要因になってしまうとは。
「・・・とにかく、僕も現地に向かう!!艦長が到着したらその旨伝えて!!」
返事も待たずに飛び出していくクロノ。
今はただ、一刻も早くフェイトの元へ行かなければ。
(頼む、無事で居てくれ・・・・!!)
待機状態のS2Uを握り締め、クロノは転送装置へと急いだ。
「──・・・・っあ、あ、ふ、や、あぁ・・・んぁ・・・っく、ぅん!!・・・ん・・」
クスリを塗るから、足を開いて。
その言葉に、なのはは何の疑いも持たずに従った。
どこかで感覚が麻痺してしまっていたのだろう。
だがそれは、けっしてなのはにとって正しい選択と呼べるものではなかった。
「・・・・」
透明な薬品にまみれたシャマルの指が、なのはの胎内へと消えていた。
「あら・・・・?どうかしたの・・・?」
「なん・・・でも、ん、ない、ひぅ・・・で、す・・・ぅぁ・・」
「そう、ならいいのだけれど・・・?ね。」
「─────!!!!!」
目の前の女性がやさしく微笑む。しかしその指は表情とは逆に容赦なく、最も深い部分へと突き入れられていた。
「ふふ・・・あらぁ・・・?ひょっとして、気持ちよかったのかしら・・・?」
「!!そ、そんなこ・・・んああぁぁっ!!?」
否定の言葉は、突き込まれた指に加えられた捻り入れるような動きに消えてしまい。
急速に増してくるもどかしさにも似たむず痒い快楽と身体の火照りとに、なのはの意志は混乱していく。
「っ、あ!!ふぁ、ふぁ、あ、あ!!あ!!」
「ふうん・・・なんだかいっぱい、出てくるわねぇ?」
違う、それはさっき貴女が塗りつけた薬───そう思いながらも反論すらできず抜き差しされる指に身体を震わせてしまう。
そしてまた、シャマルの言うことは否定のしようもない事実でもあった。
なのはの性感を高めているクスリ、それとは明らかに違う、なのは自身から溢れ出る分泌液が、
彼女の股間とシャマルの指をぐしょぐしょに濡らしている。
(な、ん、なの、これ・・・ぇ、おかしい、よ・・・・)
指の動きに合わせなのはの身体は淫猥なリズムを刻み、切ない感覚が全身を駆け巡っていく。
次第に彼女の思考回路は焼きつき、まともな考えすらできなくなりつつあった。
「こんな小さいくせに・・・いやらしいのね・・・?」
「ぁ・・・うぁ・・うん・・・・ふぁ・・・あん、っあ、っあ」
意味のある言葉なんて、返せない。
シャマルの指の動きに、荒い息のリズムで腰を前後に揺らせて。
快楽を身体が貪ってしまう。悦びに対し、身体は実に正直だ。
「さぁ・・・そろそろ、ね・・・!!」
「あああああ!?ああぁ、うああぁっ!!そん、な、あ!!んあああぁっ!!!!」
突き込まれる指が、一気に三本に増やされ、なのはは背中を仰け反らせ涎を撒き散らしながら泣き叫んだ。
その刺激はわずか9歳の女の子が経験するには、あまりにハードすぎて、視界に光が舞った。
気が狂ってしまいそうなほどに、身体の奥底から切なさにも似たなにかが込みあげてくる。
「っ・・・ぁ・・・か・・・うぁ・・・」
もう、声すら出すこともできず。
ぱくぱくと、酸欠に陥った金魚のように、掠れた音を発する口が空を切る。
(だれ・・・か・・・・わたし・・・おかしく・・・)
代わりに部屋の中に聞こえるのは、
少女の淫靡な水音と、シーツの布擦れ、必死に酸素を求める少女の気管支のする呼吸。
それらの奏でる三重奏が、涙と涎を流しっぱなしにした少女の痴態を彩るBGMとなっている。
(だ・・・め・・・・わた・・・し・・・・・・)
「ッ・・メ・・ダメ・・・・ぁ、あっ、あはあああああぁッ!!!!!」
そして少女は、頂点へとたどりついてしまった。
生まれて初めてのそれは、どこまでも深く、深く彼女の身体を駆け抜けていって。
シャマルの突きが最奥に達したのと、叫び声と共に彼女が絶頂を迎えたのは、果たしてどちらが先だったのだろうか。
声をあげた本人であっても、悦楽を極め足を開いたまま、その余韻に意識を朦朧とさせているなのはにそれはわからなかった。
口の端を歪めたシャマルが、苦しげに酸欠の肩での呼吸をする彼女を見下ろしていて。
その手には、男根を模した半透明の道具が握られていた。
「さぁ・・・・続けましょうか?」