「頼んだよ、フェイト」
クロノの言葉に、小さく頷いてみせるフェイト。
「行って・・・きます」
「アルフも。なのはのことを、頼む」
「ああ、わかってるよ。・・・行こうか、フェイト」
フェイトとアルフ、二人の身体が、黄金色の光に包まれる。転移魔法。行き先は・・・
「地球へ」
光は次第に強くなっていき、それに溶け込むかのようにフェイト達の身体が薄らいでいく。
そして光が消えた時・・・・すでに二人の姿はそこにはなかった。
現在アースラは、強大な魔力の発動を感知し、地球に近い座標に停泊している。
90%以上の確率でダイムによるものである───アースラの誇る最新の計器類は、そう結論付けていた。
本来なら武装局員を率い、クロノも前線に立つべき状況だ。しかし、膨大な魔力によって引き起こされた航路の乱れが、
それ以上の接近や、多人数での転移を不可能なものとしていた。
行けるのは、一人か二人。そう聞かされたとき、自分が行くつもりだったクロノよりも早く、即座に志願したのがフェイトだった。
「約束したから。なのはが、困っていたら助けに行くって」
かつてクロノ達に見せたことのない、強い意志のこもった目で、フェイトは言った。
「なのはのことを・・・守りたいんです」
踵を返し、早足でブリッジへと向かうクロノ。
二人の行ってしまった余韻をじっと眺めているヒマはない。すべきことは山ほどあるのだから。
フェイトにはフェイトの。クロノにはクロノの、やるべきことが。