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[699]640 05/03/18 08:29:07 ID:mnnVWNIp
[701]640 05/03/18 08:50:26 ID:mnnVWNIp

forget-me-not 第六回

 掌へと、意識を集中する。イメージは、光の矢。次第に、魔力が収束してくるのが、感じられる。
「いっけええっ!!」
気合とともに放たれた矢が向かうのは、目の前の空間。
そこだけが、まるで塗りつぶされたかのように真っ黒になっている、その場所だった。
着弾と共に轟音が響き、辺りに土煙が立ちこめる。
「どうだっ・・!?」
肩で大きく息をしながらも、少年──ユーノはじっと、光弾の当たった先を見つめる。

煙が晴れた先には、先ほどと何ら変わることなく、黒く塗りつぶされた空間が広がっていた。
「だめ、か・・・」
思わず尻餅をつき、流れ落ちる汗をぬぐう。もうほとんど、魔力は残っていない。
元々あまり得意でない魔法を連発したためだ。

(くそっ・・・・!!)
眼前の黒い空間は、おそらく結界。それも、ユーノの力では破壊することもできないほど、強力な。
そして、おそらく、連絡のとれなくなったなのはもあの中にいる。
(だけど・・・)
結界に秘められた魔力はあまりに強大で。その外壁はあまりに強固だ。
「もう一、度・・・・!!」
なんだか、いやな予感がする。例え残った魔力が少なくても、やらなくては。
立ち上がり、再び詠唱をはじめるユーノ。

 魔力が尽き果てるまでは、何発でも。なのはの元に、なんとしてもいかなければ。
そして、ユーノが光弾を発射しようとしたその時。
「っ!?」
「何か」が、眼前の空間から、閃いた。黒く、金属質な「何か」が。
消耗しきった、魔力弾を放つことのみに集中していたユーノに、それをかわすことはできなかった。
「ぐ、う・・・・!?」
両手、両足。四肢を、万力で締め上げられるような痛みが駆け巡る。
否。ユーノの身体は、空間内から突如現れた幾重もの漆黒の鎖によって、
がんじがらめに拘束されていた。その力に、ユーノは全く身動きが取れない。
ユーノ自身も鎖によって相手を拘束する魔法を使う。だがこの鎖の力はそれとは桁違いだった。

───邪魔は、させない─────

(女の子の・・・声・・・!?)

強まっていく鎖による圧迫感の中で、ユーノは少女の声を聞いた。
悲しげな、けれど、ユーノにとってどこか懐かしい声。
鎖から、魔力を吸収されているのだろう、身体から、力が抜けていく。
「な、の、は・・・・・」
無力感と、疑問。様々な思いを抱えながら、ユーノの意識は混濁していった。


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