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[719]640 2005/03/23(水) 09:20:38 ID:uzS5NUMW
[720]640 2005/03/23(水) 09:40:08 ID:uzS5NUMW

forget-me-not 第八回

 無慈悲なほどに、力の差は圧倒的だった。

───・・・・・───

少女の掌から放たれるのは、光の雨。青白い流星が何百、何千と降り注ぐ、文字通り、光の豪雨。

「っく・・・・・う・・・」
満身創痍の身体を、辛うじて杖で支え立っているなのはに、それをかわす力は残っていない。
「レイ・・・ジング、ハート・・・」
『protection』
なのはの呼びかけに応えるように、傷ついたレイジングハートも防御魔法を起動する。

展開された魔法のバリヤーは、何物も通さない、強固なもの。の、はずだった。

降り注ぐ光の雨は、薄紙を貫くかのように、その破壊力を減退させることすらなく、
一つ一つが光の矢となり、なのはの身へと襲いかかる。

「ああああっっ!!!」
数え切れないほどの光の雨にうたれ、右へ、左へ、倒れることも許されず翻弄されるなのは。
バリアジャケットも、ほとんどその意味はなく。
ただなのはは激痛の波に耐えることしかできなかった。

「う・・・あぅ・・・」

ようやく光の雨が止み、なのはは苦痛の連鎖から開放された。
もはや足に自分の体重を支える力は残っておらず。ゆっくりと、前のめりに倒れていく。
(まだ・・・まだ、だめ・・・)
ともすれば消えかかりそうな意識。それを必死で鼓舞し、杖を出して身体を支える。
(この子が・・・みんなを、消したんだ・・・・)
大切なもの、みんな消してあげる。それは、頭上に浮かぶ少女が、はっきりと、そして敵意をこめて言った言葉。

フェイトと戦った時は、話し合う余地があった。目的が同じだったし、お互い、
なるべくなら戦いたくないという意志があり、悪意、敵意というものは存在しなかった。

だが、目の前の少女は違う。あるのはただ、敵意。そして憎悪。
なぜ、それほどまでに自分を・・レイジングハートを憎むのか。
少女が応えることはない。ただ、自分にその矛先を向けるだけ。

しかし、それ以上に。
(アリサちゃん・・・すずかちゃん・・・)
大切なものを、守りたかった。取り戻したかった。
敵意に対して敵意で返すなんてことは絶対にしたくない。
けれど。
(私が・・・みんなを・・・助けなきゃ・・・!!)
なのはの目は、まだ死んではいなかった。


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