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[734]640 2005/03/25(金) 19:14:10 ID:Mv+/JIjD

forget-me-not 第十回

────あきらめなさい────
少女は、念話で語りかける。どこまでも、憎悪に満ちた目をなのはに向けながら。

───その子では、私に勝つことはできないのだから────
少女から発せられる魔力が、更に増大していく。

───この結界内なら、私は常に最大出力を発揮できるのだから───

それは、絶望的なまでに強大で。なのははただ息を呑み、表情を凍らせるだけだった。

「あ・・・・?」
レイジングハートを握る左手が、震えていた。無意識のうちの、恐怖。絶対的な力に対する、本能的な恐怖だった。
今まで、戦っている最中に怖いと思ったことは何回もある。けれど、これほどに身体の底から来る、抑えても抑えても湧き上がってくるような恐怖は初めてだった。

────性能でも、魔力でも私が上なのだから────

少女の掌が青白く発光する。光は魔力流を伴い、収束していく。

「あ・・・」
少女の周りに浮かぶ魔方陣は、なのは自身がよく知っている魔法だった。

(スター、ライト・・・ブレイカー・・・・・)
脳で理解しても、根源的な恐怖と、敗北感に支配された傷だらけの身体は、動いてはくれなかった。

───貴方達では、私には勝てない────

放たれた光の噴流へと、なのはの身体が飲み込まれていく。
(だれか・・・・フェイト・・・・ちゃ・・)
白んでいく視界の中、なのはは大切な、友の名を呼んでいた。


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