銀の少女が放つ光弾を、フェイトは次々とかわしていく。
「許さない・・・なのはに、こんなことを・・・!!」
光弾の間隙を縫ってフォトンランサーを撃ち出す。狙いは正確、威力は充分──少女は防御魔法を張りつつ、ぎりぎりで回避する。
「バルディッシュには、君の能力は通用しない・・・!!」
──そう。力を封じられたなのはのようには、いかない。
叫びながらバルディッシュの光の刃を、横一文字に薙ぎ払う。
結界の外でユーノから聞いた、ダイムの結界発生能力。それこそが、なのはが手も足も出せずに敗北し、そして、彼女が封印されたもう一つの理由。
その中ではダイムは常に最大出力を発揮できるという。
だが一方で、結界内に満ちたダイムの強大な魔力はスクライア族の魔法具へと干渉し、その能力を著しく低下させるのだ。
なのはのレイジングハートも、例外でなく、大きく力を制限された状態ではさしものなのはも勝てるわけがなかった。
(けど、バルディッシュなら)
フェイトの杖、バルディッシュは完全オリジナルのワンメイド品。
幼い頃、母親代わりだった女性が、手塩にかけて作り上げた代物だ。ダイムからの干渉をうけることはない。
──きっと、なのはを助けてみせる。
少し、戦ってみてわかった。目の前の少女が相手なら、多分勝てる。
魔力ではあちらのほうが上だが、戦闘能力自体は昔の、出会った頃のなのはより少し上程度。
これなら。早くなのはを助けなければ。
フェイトは休むことなく、砲撃魔法を放ち、自らもつっこんでいく。
────仕方ない────
ダイムはせまる光弾をすべて迎撃すると、なのはのほうをちらと見る。
(何を・・・?)
───雷撃───
少女の言葉に雷が煌き、周囲が真っ白に染まる。
「あああああああっっ!!!」
「なのはっ!?」
雷に貫かれる友の姿に、フェイトの動きと思考が停止する。
力なく拘束されるだけだったなのはの身体が、電撃によって激しく揺さぶられていた。
「しまっ・・・・」
フェイトがなのはに気を取られている隙に、ダイムは至近距離まで詰めてきていた。
──落ちなさい──