「アルカス・・クルタス・・レイギアス・・・」
フェイトの口から、呪文が紡がれていく。
雷光を呼び、己の持つ魔力、そのすべてを開放するフェイト最大の攻撃魔法。
その詠唱の名は───
「フォトンランサー・・・ファランクスシフト・・・・!!」
雷を帯びた幾多の魔力弾が、フェイトの周囲に発生する。
けれど。
(まだ。これじゃ・・・ダメだ・・・)
それだけでは終わらない。
バルディッシュを天に向けると、その先端に魔力弾が集まり、ひとつの大きな光を形成していく。
アースラで暮らすようになって、クロノと共に訓練しながら練習してきた、ファランクスシフトの、もうひとつの形。
集めた魔力、すべての破壊力を一度にぶつける。その一発の威力は、なのはのブレイカーと同等。
「ダイム・・・君を・・止めてみせる・・・!!」
必殺の一撃を放ったのは、双方、全くの同時。
「いっけえええっ!!!」
真っ向から二つの強大な力がぶつかり合う衝撃は、地面を、木々を揺さぶり、空気を振るわせていく。
轟音と干渉の火花もまた、その威力を物語る。
───!!!!!!!
「ぐうううううっ!!!」
両者の力は互角。どちらに傾くこともなく、丁度中間でせめぎあっている。
(負け・・・、ない・・!!!)
少しでも気を抜けば、均衡は崩れる。それほど伯仲した力だった。ゆえに、フェイトも、ダイムも、押し切られまいと、歯を食いしばって耐える。
その身に残るありったけの魔力で。二人の力のぶつかり合いは、いつまでも続くように見えた。