どれほど、拮抗状態が続いていただろう。
「っぐ、う・・・・う・・!!」
徐々に───ほんのわずかずつ、だが───フェイトは、押されはじめていた。
彼女の予想したとおり、確かに二人の残った力や攻撃の破壊力は互角だった。
しかし、無傷のダイムと、その攻撃を受け傷ついたフェイト、そのダメージの差が少しずつ、二人の均衡を崩していく。
さらにファランクスシフトとは本来、多数の魔力弾を立て続けに撃ち出す魔法だ。いくら何度も訓練して身につけたとはいえ、それらを収束して放ち続けるという
イレギュラーな発射形態がフェイトの身体に及ぼす負担も、けっして軽いものではない。
ダイムの魔力弾に、ランサーが徐々に後退していく。その度に、フェイトの両腕にかかる衝撃が、ずしりと重いものになっていく。
「あ・・・・く・・・!!」
「フェイト!!」
アルフの叫びに対し大丈夫、と返す余裕もない。対照的にダイムの表情には次第に押し始めたことを自覚した余裕が浮かびだしていた。
状況は、絶望的だった。あと、ほんのわずか。ほんのわずかの差が、ランサーを支え続けるフェイトにはひどく遠いものに感じられる。
あと少し、魔力があれば。
このままではフェイトは負ける。だが打開する方法はなく、
拮抗状態が崩れれば、光弾とランサー、二発分の魔力がフェイト達を襲うこととなる。そのときはフェイトだけでなく、後ろのなのは達もひとたまりもないだろう。
「ぐうううううっ・・・!!!」
光弾の勢いに押され、フェイトの身体が後ずさる。
(ごめん・・・なのは・・・・私の力じゃ・・もう・・!!)
君を、助けることはできない。約束を、守れない。
─あきらめ、ないで・・・──
「!?」
「スター・・・ライト・・・・・」
聞き覚えのある声が、すぐ隣から聞こえてくる。
「ブレイカァーッ!!!」