大地に向かい、黒い宝石が、ゆっくりと降りてくる。
『sealing』
フェイトの掌によって受け止められたダイムはバルディッシュの封印を受け、その中に格納される。
「・・大丈夫。君を待っている人達の元へ・・・返してあげるから」
既に機能の停止しているダイムに聞こえるわけはないが、フェイトは杖の中で眠る彼女に、そう語りかける。
「なんとか・・なったね」
「うん・・・」
「よか・・・・た・・・」
「なのは!?」
隣に立つなのはの体が突然がくりと沈みこみ、フェイトは慌ててそれを支え、
崩れた正座の姿勢からあまり揺らさないよう気をつけながら膝の上に寝かせる。
「ちょっと・・・・無理、しちゃったかも・・・はは・・・」
無理に笑顔をつくり、ごまかそうとするなのは。
──少しなんてものじゃない。こうやって意識を保って話すことができていることすら不思議なほど、なのはのダメージは大きいのだから。
「ごめん・・・すぐ立つから・・・、え?」
フェイトの手が、視界を覆っていた。まるで、寝かしつけるかのように。
「休んで・・。あとは私たちで何とかするから」
「え、でも」
「クロノ達もすぐ来るから。だから、お願い」
これ以上、無理はさせたくなかった。
「・・・・うん、じゃあ・・・お願・・・い・・・・・ね・・・」
やはり限界だったのだろう、口元に安心したような表情を浮かべるとすぐに、フェイトの腕の中でなのはは眠りに落ちていった。