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[129]640 2005/05/11(水) 17:08:16 ID:PrKzv8xn
[130]640 2005/05/11(水) 17:09:39 ID:PrKzv8xn

She & Me 第三話 きっと忘れない

 「すごい・・・」
門の前に立ったフェイトは、そう感嘆の声をあげた。
「そうか、フェイトははじめてだったか?」
「アリサの家も大きかったけど・・・すずかの家も、こんなに・・・」
「ま、無理もないか。俺もはじめて来たときは驚いたからな」
「あはは、私も・・」
呆然とするフェイトの様子に苦笑する、なのはと恭也。たしかにアリサの家も、この月村家も、一般的な家から考えると非常識な大きさかもしれない。
とは言っても、冷静に考えれば、フェイトが以前住んでいた時の庭園もそう変わらない大きさではあるのだが。

例によって三人は、月村姉妹の誘いで月村家に遊びに来ている。既にアリサももう中で待っているはずだ。
恭也がドアを鳴らすと、ほどなくしてノエルが顔を出す。
「ようこそ、恭也様、なのはお嬢様。そして、はじめまして、フェイトお嬢様」
「あ、・・えっと、はじめまして」
「お邪魔します」
「お邪魔しま〜す」

中では忍達がお茶を飲みながら待っていた。
「忍」
「いらっしゃい、恭也、なのはちゃん。・・その子が、フェイトちゃんね?」
「ああ。さ、フェイト」
「あの、フェイト・テスタロッサ=ハラオウンです。たしか、すずかのお姉さんの」
「忍よ。すずかから話は聞いてるわ、よろしくね。ファリン、二人にもお茶を」
「はい、ただいま〜」
元気よく、ファリンが返事をする。彼女とは以前すずかと買い物をしているところに出くわして
会っているのではじめてではない。


忍と恭也が部屋にひっこむと、お茶会は子供達だけの雑談の場となる。
「しかし・・・すごいんだね。こんなに、猫がいっぱい」
「何匹いるんだっけ?」
「うーんと・・・昨日里親の人が来たから・・・17匹のはずだよ」
子猫を抱き上げ、すずかが答える。と、フェイトは足元に寄ってくる一匹に気がついた。
「あ、この猫・・・」
灰色の、虎縞模様。覚えている、この猫は、あの時の──
抱き上げながら、なのはのほうを見ると、なのはもまた小さくうなずいていた。

なのはもフェイトも、忘れるはずはない。
この猫こそが、二人が初めて出会ったその日、きっかけとなった猫なのだから。


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