「それじゃあファリン、すずか達のこと、お願いね」
「はい、お気をつけて」
廊下のほうから、そんな声が聞こえた。
「お姉ちゃんと恭也さん、お出かけ?」
ふと、すずかが顔を出し、尋ねてみる。
「うん、ノエルもいっしょにちょっと買い物に。アリサちゃんたちもゆっくりしていてね」
「はーい」
「そろそろ、戻ろう」
「そうだね。あんまり長いとすずかちゃん達が心配するかもしれないし」
フェイトの言葉をきっかけに、屋敷に戻ろうと二人が踵を返しかけたその時。
「「!!」」
町の方から強力な魔力が膨れ上がり─────そして、はじけた。例の怪物たちの現れる時に起こる、特徴的な兆候だった。
「フェイトちゃん、今の・・・」
「うん。急ごう」
誘ってくれたすずか達には申し訳ないが、アルフやユーノが持ち堪えている間に、急がなければ。
だが。
二人の背後、遠くのほうから、聞き慣れた少女のものらしき悲鳴があがるのが二人の耳に届いた。
「すずかちゃん!?」
方角は、屋敷の方。そしてそこからは、いくつもの魔力の反応を感じ取ることができる。
町のほうに気を取られ、気付くのが若干遅れたが、かなりの数だ。
「そんな・・・こっちも!?」
「どうしよう・・・!!」
このままでは───すずかとアリサの身が危ない。
(どっちに・・・?いや、二手に・・・だけど・・・)
どうするべきか。
しかし、迷っている暇はない。こうしている間にも時間は過ぎていくのだから。
一瞬考えた後、即座に決断を出すフェイト。
「・・・ユーノやアルフなら、きっと大丈夫。・・・だから」
二人は頷きあい、左右の手をそれぞれ掲げる。
「・・・バルディッシュ、行くよ・・・!!」」
「レイジングハート、お願い・・・!!」
一瞬でバリアジャケットを装着し、各々の杖を手に屋敷へと急ぐなのは達。
二人の想いは一つ。アリサを、すずかを守るために。
((間に合って・・・・!!))