「このっ!!」
二つの刃の閃きが、異形を真っ二つに切断する。左右に分かたれた身体は、砂のようにあっという間に風化していった。
「こいつら・・・・一体、何者だ?」
しかし、手強い。忍とノエルを行かせて、正解だったと思う。
実力者のノエルはともかく、忍を守りながらではこの化け物達の相手は正直きつい。
(なのはやフェイトのいつもの外出になにか関係があるのか・・・?)
とりあえず、今は目の前の敵を倒すことに集中しなければ。
「少々本気でいかないと、まずいな・・・・」
アレをやるか、と恭也は精神を集中する。
(実戦で使うのは久しぶりだな・・・!!)
───神速。
「行くぞ・・・!!」
恭也の身体は、一陣の風となった。
「・・・あり、がとう、二人、とも・・・」
そういいながら立つフェイトの足つきは弱弱しい。隣のなのはも、それは同様だ。
「行かなきゃ・・・」
「ちょ・・!?あんたたちふらふらじゃない!!どこ行く気なの!?」
「なのは・・・行ける・・・?」
「うん・・なんとか・・・」
アリサの気遣いが、聞こえていないわけじゃない。無視しているわけでもない。
むしろ、そうやって心配してくれているのがうれしいくらいなのに。
(ごめん・・・)
二人は振り返ろうとはしない。待っている人達が、いるから。今は振り返れない。
「なのは・・・!!フェイト・・・!!」
「・・・待って・・・」
「すずか・・・?」
「待って・・・待ってよ!!!なのはちゃん!!!フェイトちゃん!!!」
「・・・・・・ッ!!」
二人の歩みを止めたのは、フェイトにとっては初めての。なのはが聞くのは二度目の、すずかの心の底からの叫びだった。
「すずか、ちゃん・・・」
「すずか・・・」
「待って・・・お願いだから・・・!!このまま、なんだか二人とも遠くに行っちゃいそうで・・・・不安で・・・・」
うつむくすずかの目には、涙が浮かんでいた。アリサに肩を抱かれながら、それでも精一杯自分の気持ちを二人にぶつける。
きっと、思っていることはアリサも同じ。
「だから・・・お願い・・・こっちを向いて・・絶対、絶対戻ってきて、全部話してくれるって約束して・・・!!」