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[392]640 2005/07/17(日) 01:45:11 ID:NaAHqjJ1
[393]640 2005/07/17(日) 01:47:46 ID:NaAHqjJ1
[394]640 2005/07/17(日) 01:48:41 ID:NaAHqjJ1

She & Me  第十五話 だれのせいでもない

「ち・・・・」
リニスは、自分の邪魔をしているこの少年の強さに、思わず舌打ちをした。

(情報としては知っていたけれど、これほどとは・・・・!!)

『stinger snip』
「そこ!!」

不規則な軌道を描くクロノの射撃を相殺し、リニスは叫ぶ。

「お前達・・・行きなさい!!」

彼女の左右の地面に水面のような波紋が広がっていく。
来る────クロノのその読み通りに、波紋の中心に満ち満ちた魔力から、それぞれに異形が現れる。

「させるかっ!!」
右手のS2Uが、左手に発生させたシールドが、異形達の牙を防ぐ。

『break impulse』

そのまま一気に両の腕から衝撃波を流し込み、二体同時に撃破するクロノ。

「・・・やりますね・・・・・」
「お互いに・・・・ね」

このままでは埒が開かない。敵対する二人の胸中は一致していた。

『blaze canon full charge shot』
「・・・・・」
二人の魔力が、それぞれに必殺の一撃となるべく集まっていく。

「・・・考えることは、同じのようですね・・・」
「・・まったくだ」

クロノは、なるべく傷つけずに済ませるため、威力調整が可能な余裕のあるうちに決着をつけるために。
リニスは、迅速な撃破そして、フェイトの捕獲のために。

それぞれの、最大の攻撃を放つ。

「すごい・・・クロノ君、こんなに魔力あったんだ・・・」
クロノの背中を見つめながら、なのはがつぶやいた。

今までなのはの見たことのあるクロノの戦闘スタイルは、最小限の魔力で最大の効果を生み出す、といった
効率を重視した魔力消費を抑えたものだった。もちろんクロノの魔力自体が凄まじいものであるとは知っている。
フェイトから何度も聞かされていたし、アースラの切り札というくらいなのだから。

それでも、これほどとは。

「これなら・・・・?フェイトちゃん?」

フェイトは、自らを抱きしめるようにしながら────震えていた。

「フェイトちゃん・・・?」
「ごめん・・・大丈夫だから」

───私が、弱いだけだから。勇気がなかったから。

だから、こうやって震えていることしかできない。
リニスが自分を狙っていることを知りながら、それを止める力も、彼女と戦う選択をする勇気も持ち合わせていなかった。
だからかわりにクロノが戦っている。自分の無理な願いを聞き入れて。
(私の、せいで・・・・)
大切な二人が全力をぶつけ合わなければならないのは、自分のせい。

「フェイトちゃん・・・」
自分を責めないで。なのはがそう言おうとしたその時。



────そうね。その通りよ、フェイト─────



「え・・・・!?」

かつての大魔導師の声が、辺りに響き渡った。


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