エイミィが連れ出されて約3時間後、説教が終ったのか医務室のクロノとリンディ、
それから半泣きのエイミィが戻った。
「やっと戻った…って、その様子やとタップリ絞られたようやな」
はやては戻ったエイミィの様子を見てそう言った。
「ヒックッ、クロノ君も、ヒック、リンディ提督も、ヒック、酷いよ。ヒック、
私はただ、ヒック、ちょっと大袈裟に言っちゃっただけなのに、ヒック」
エイミィは今にも大泣きしそうな声を出してそう言った。
「そのちょっとの大袈裟で皆が大騒ぎしたんだ」
「そうよ、エイミィ。ほら皆さんに謝って…ってあら?アリサさんとすずかさんは?」
リンディが医務室を見回したが二人の姿が無かった。
「ついでにフェレットもどきも居ないな」
「ああ、ありさちゃんとすずかちゃんだったらもう遅いからってユーノ君が転移魔法で送って行ったよ」
なのはは、ありさとすずかが帰った事をリンディ達に教えた。
「フェレットもどきの次はタクシーもどきか、忙しない奴だ」
「ユーノが聞いたら怒るよ」
クロノの言葉をフェイトが注意した。
どうやら機嫌が直ったようだ。
「あはははは、ん?噂をすれば影みたいやな」
はやてがそう言うと同時に部屋の片隅に緑色の魔方陣が浮びそこからユーノが現れた。
「なのは、二人を送ってきたよ」
「あ、ご苦労さ…」
「よう、タクシーもどき、送るついでに襲ってないだろうな?」
なのはが「ご苦労様」と言い終える前にクロノが意味深な事を言った。
「だ、誰が襲うか!?…って、タクシーもどきって何だ!!??」
すると、医務室では何時も通りの光景が広がった。
「…さて、フェレットもどきをいびるのも止めて…」
「オイィィィ!!!」
「フェイト、何があったのか話してくれるか、なにぶん情報が少ないんだ」
クロノはユーノの声を無視してフェイトにそう言った。
「…うん」
「敵の数はどの位だ?テスタロッサが敗北したとなると、相当の数か…」
「…いや、数は二人、そいて戦ったのはその中の一人さ」
フェイトの隣に居たアルフがそう言った。
あれは、任務で局員が消息を断った場所に行った時だ、
『この辺りだね。局員が行方不明になったの…』
『うん、エイミィはこの辺りだって…ん?』
その時だよ、フェイトが局員倒れてるのに気付いたのは、
『大丈夫ですか?しっかりして』
『…大丈夫、生きてるよフェイト。気絶してるだけだ』
あたしは、局員の動脈や呼吸をしてる事を確認したんだよ。
『そう、良かった。でも誰がこんな事を…』
『外傷は殆ど無いよ。プロかね?』
その時だよ、後ろの岩場で石が動く音がしたのは、
『『!!』』
そして、そこに居たのは、フード付きマントを被ったいかにも怪しい二人組みだった。
『あんた達かい!局員を気絶させたのは!』
あたしがそう怒鳴りつける様にそう言ったんだけど……あいつ等、何の反応も示さなかったんだよ。
そして、次にフェイトがバルディッシュを起動させて、
『私は時空管理局 執務官候補生の一人。
フェイト・T・ハラウオン。貴方達が局員を気絶させたんですか?』
そう言ったんだけどそいつ等それも無視して飛行魔法で飛んで行こうとしたんだ。
『逃がしません!』
<ハーケンフォーム>
すると、フェイトはバルディッシュをハーケンフォームにして、
『ハーケンセイバー!!』
ハーケンセイバーを繰り出したんだ。
そして、ハーケンセイバーはそのままそいつ等に命中したんだ。
「命中したのなら倒せなくともダメージは食らう筈だ」
ああ、あたしも、そう思ったさ、
けど、命中した時の爆煙が消えると、そいつは傷を負ってる訳でも無く。
そして、フード付きマントも全くの無傷だったんだ。
「何か結界魔法でも使ったんじゃねえの?」
いや、結果系の魔力は一切感じなかった。
あたしは多分あのフードに秘密があると思うけど、
「そのフードがバリアジャケットの類なら可能性もあるけど、
フェイトの攻撃を無傷で抑えるのは僕も納得がいかないよ」
すると、奴等の一人もやっとその気になったのか初めてあたし達に喋ったんだ。
「喋ったって何を?」
…ただ一言『少し遊んでやろう』だ。