パンを一口ほおばって、私は味の異様さに吐き出しそうになった。みんなは普通に食べている。
舌がおかしくなったのかなと思って、もう一口ほおばってみた。やっぱり普通じゃない。
桃子さんはまだ私を見ている。せっかく作ってくれたんだから全部食べないと…美有希さんが少し笑ってる?
何かおかしいことがあったのかな?
食べていて、だんだん気分が悪くなってきた。我慢ができなくなって、トイレではいてしまった。
ダイニングを出るとき、肩を震わせて笑っている美由紀さんが見えた。
恭也さんも士郎さんも桃子さんもみんな笑っていた。なのはだけがきょとんとしていた。
結局何も食べることができずに学校へ行く時間が来てしまった。
家を出た後、「ちょっとでも食べないと持たないよ」となのはがバターロールをくれた。
とても美味しくて、なのはに『美味しい』と言おうとしたら、胸が詰まって目から涙があふれてきた。
なのはがあたふたしている。なのはには迷惑をかけてばっかりだね、私。
きっと家族のみんなも私が悪い子だから、お仕置きしてるんだよね。
なのはにも、なのはの家族にも好きでいてもらえるようなよい子にならなくちゃ。
涙が引いてなのはに微笑みかけた時、通学バスが私達の前に止まった。