しばらく車で走る。商店街の近くに来た所で、せっかくだからお昼にしようという提案が
アリサからあった。なのはと私はうんと頷いた。行き先はもちろん翠屋。
近くの駐車場に車を止め、お店のドアをノエルさんが開けてくれた。
「いらっしゃい…あ、なのはとフェイトちゃん」桃子さんが出てきた。
「こんにちは」すずかちゃんが挨拶して、桃子さんが返す。
「お久しぶりです」ノエルさんも挨拶した。
なのはが桃子さんにお昼ここで食べたいんだけどいい?と聞く。
桃子さんと士郎さんは、お昼前だし別に構わないといってくれた。
私達はランチを頼んだ。すこし早い目の昼ご飯。
昨日の事があったせいかみんな会話が少ない。
ノエルさんがちょっと怪訝そうな顔をした。
食べ終わった時、桃子さんは新作だと言ってパフェを持ってきてくれた。
「あとで感想聞かせてねー」そう言い残してカウンターへ戻っていった。
ぱっと見は普通のパフェだけど、よく見てみると、
アイスの上にべっこう飴のカゴがかぶせてあって、それがきれいな琥珀色の光りを放って
いた。ほかの飾り付けも色々と凝っていて見ていて楽しい。
アイスにスプーンを入れる。パリッと小気味のいい音を立て、飴が割れる。
一口食べると、とてもクリーミーな口溶けでほどよい甘さ、そして濃厚なのにくどくない
とても美味しいアイス。”私”、そういえばアイスって初めてなんだな。
記憶の”あの子”が母さんと食べてるので、どんなものかは知ってたけど、
こんなに美味しい物だったんだ。私は、感動と切なさで胸がいっぱいになった。
涙もちょっぴり流れ出る。なのはとすずかが心配そうに大丈夫?と聞いてきた。
私は美味しくて、ついというと大げさだよと笑い、私も泣き笑いみたいな感じで笑った。
カウンター越しに見ていた桃子さんが照れ笑いのような顔をして
「泣くほど喜んでくれるなんて、料理人冥利に尽きるわ」と嬉しそうに言った。
食べたいときは作ってあげるからとウインクしてくれた。
私は涙をぬぐってありがとうとお礼をした。