すずかを送って自宅へと向かう。バックミラー越しに私の様子を見た鮫島が
「アリサお嬢様、ずいぶんとご機嫌なご様子で」と聞いてきた。
わたしは当たり前じゃない、と軽く返す。なのはの家でお泊まりなんて初めてだから、
今すぐにでも飛んで行きたい気持ちでいっぱい。楽しみだな。
すずかとはまだ目を合わすことが出来ないけれど、お泊まりで何とかなると良いな。
話をしてもお互いを見られないっていうのはつらいしね。さ、家に着いたら気合い入れて用意するぞ。
鮫島も一緒に来る?と冗談交じりで話すと鮫島はすこし慌てて滅相もないと切り返してきた。
私は冗談よと言ってしばらく互いに笑いあった。
私と鮫島って実際の親より親子みたいな関係だから、両親がいなくても寂しくないんだなとふと思う。
そして多分、鮫島には私のことはお見通しなんだろうな。
その上で黙っていてくれるんだろう。
私がぽそっと『ありがとう』と言うと、鮫島は優しい目をして黙っていた。
それからしばらくして、家についた。時間は8:40 …ちょっと急がないとだめかな?