アリサちゃんの車が遠くなり、私はお屋敷に向いた。いつもなら迎えに来てくれるはずの
ノエルやファリンがいない。さすがにおかしい。私はお姉ちゃんに電話しようとして止めた。
せっかく二人っきりなのに、邪魔をしたくないと思ったから。慎重に屋敷を進む。
もしかして、お姉ちゃんの仕掛けたとラップが誤作動を起こしたんじゃないかと思い
周りを確かめながら一歩ずつ進む。玄関についてふと時計を見る。
8:45 …玄関に進むまでに10分ほどかかった計算。私は玄関の奥に物陰があるのを
見つけた。おそるおそる近付くと、人の形をしてるのが見て取れた。あれは…
私は急いで駆けつけ、その影を抱き起こす。私がファリンしっかりして!と声を荒らげて
肩を揺すると、かすかに目を開けて
「すずかちゃん、早く逃げて」と言ったきりかくっと、意識を落とした。
私はファリンの呼吸と脈を確認した。どちらも正常なのを確認して、床にそっと横たえ
別の部屋に進んだ。私はファリンの姉…ノエルを捜しに屋敷を歩き回った。
電気はついているものの、屋敷が広いので発見できない。こんな時はそうそう無いけど、
広い屋敷が恨めしい。方々の部屋をざっと見て、何もないことを確認して私は庭に出た。