"evasion Widearea Protection" 後ろからボイスがかかる。瞬時にバリアーがはられ、
ノエルさんの腕をはじき返した。…私のバリアーを貫通した刃物ごと、はじき返した。
「何で…私を連れてきたの?」後ろから沈んだ声が聞こえてきた。私は動揺し、思わず聞き返した。
何でなんて考えていなかった訳じゃない。私はまだすずか達にあって2日しか経っていないけれど、
なのは達、誰か一人欠けてもダメなんだと直感で感じたし、なのはも頷いてくれた。
だから連れてきた、と言いたかった。
でも、その言葉が口から出ていかない。アリサが詰め寄って目に涙を浮かべ何度も繰り返す。
私は…自分が恨めしかった。アリサの問いに答えてあげられない自分が。
少しして、なのはがやってきた。そして、アリサを抱え、
<<フェイトちゃん、すずかちゃんをお願い>>とだけ言い残し、少し離れたところへ飛んでいった。
なのはちゃんが去った。その場所にはフェイトちゃんが佇んでいた。
私がアリサちゃんと同じ立場だったら、同じこと言うだろうな…。
私はフェイトちゃんの元へ向かう。うつむき加減なフェイトちゃんの顔を見ると、
相変わらずの無表情だけど目が潤んでいた。この子、私と同じ引っ込み思案で、
本当は私たちに話しかけるだけでも精一杯なんじゃないか、
そう思うと胸が痛くなった。と同時にいとおしさを感じるようになった。
私は、アリサちゃんなら分かってくれているからとフェイトちゃんに言って笑いかけた。
「うん」短くフェイトちゃんが言い、顔を上げてくれた。私はそれを見てからノエルの方に向き直った。
ノエルは今にも攻撃を仕掛けてきそうな雰囲気で私たちの行動を見守っていた。
待っててね、ノエル。今助けてあげるから。そう思いながら、杖を構えた。