アリサちゃん置いて戻ってきたけど、それで良かったのかな…。
私はフェイトちゃんとすずかちゃんを交互に見た。フェイトちゃんはやっぱりというか
少し不安そうな表情をしている。すずかちゃんは、軽く首を振って心配ないというような
感じで私を見返してきた。そして、優しい声でこう、切り出した。
<<フェイトちゃん、アリサちゃんのところへ行ってあげて。>>
<<でも…今はそんな事>>
<<アリサちゃんが気になって仕方がないんでしょ?ここは私となのはちゃんで何とかするから>>
わたしも頷いて、行っておいでよと念話を送った。フェイトちゃんは私たちを2・3回見た後、
アリサちゃんのとこへと飛び立った。私とすずかちゃんはお互いに頷きあってノエルさんに杖を構えた。
○すずか・なのは
ノエルさんがわたしに向けて腕を伸ばす。
「距離15…風向き参考…照準セット…カートリッジ×2…ファイエル」
すずかちゃんがわたしの前に来てシールドを展開する。シールドにはじかれて腕が戻る間に
ディバインシューターをノエルさんに向けて打つ。ほとんどはノエルさんのシールドにはじかれたけど、
一つは貫通して足下に着弾した。間髪入れずに次のパンチが飛んでくる。
今度は二手に分かれて腕が格納されるまでの間にシュートを連続して打つ。
腕がはまる瞬間、シールドがなくなり、一発は刀のような物に命中した。
すると、ノエルさんの周りが揺らいだように見えた。
わたしはすずかちゃんとコンタクトをとりながら数回それを繰り返す。
すると、今までほとんど動かなかったノエルさんが走り出した。速いっ!?
あっという間に詰め寄られ右手の刀を振り下ろされる
"Protection"ぎりぎりのところでバリアがかかった。その時、ノエルさんの左腕がわたしの方を向き、
「距離2…標準セット…カートリッジ×4…」わたしはもうだめだと目をつぶった。
「ファイエル」発射音がしたけど、わたしには当たらなかった。
目を開けると、バリアを破った切っ先がわたしの目の前にあった。
そして、その刃先は円陣に阻まれている。
「なのはちゃん、離れて」わたしは飛び退いた。同時に円陣が消え、
刀がわたしのいた空間を切り裂いた。
間に合った。私はほっと一息を付いた。防御性能が高いっていうのは伊達じゃなかったんだ。
「ありがとう、すずかちゃん」なのはちゃんが笑ってこっちを見た。なのはちゃんに少し疲れの色が見える
でも、ノエルの攻撃は休むことを知らなかった。さっきから防御魔法出力最大だけど
なのはちゃん持つかな?心なしか動きに切れがなくなってきたようだけどフェイトちゃん。
早くアリサちゃんを連れてきて。お願い。
○フェイト・アリサ
私はアリサの元へ降りたった。アリサの方へ手を伸ばそうとして…やめた。
「何しに来たのよ…」うつむいたままアリサが言う。私は何も言えずに黙っていた。
「黙ってないで何とかいいなさいよ」ぽつりと、しかし強い口調でアリサが言った。
私はアリサの手を取り、じっと目を見つめた。アリサがそっぽを向く。顔が少し赤くなっている
「な、何がやりたいのよ」私はてを胸元まで持って行って、一言ごめんねとつぶやいた。
「どうしてあんたが謝るの」アリサは困惑した表情を見せる。
私は、私が連れてきたことでアリサを傷つけたと言うと、アリサはこっちを見つめ返して
「私はそんな事を怒ってたんじゃないの。自分自身の無力さに腹が立って、
それでフェイトに八つ当たりしただけ。おかげでなのはに叩かれちゃったけどね」
声は怒っているようだったけど、顔は少し笑顔になっていた。
…なぜだか分からないけど、フェイトにはかなわないな。顔見てたらなんだか毒気が抜けちゃった。
無口で無表情。だけどなんだか放っとけない。意地はって突っ張るのもバカらしくなってきた。
「怒ってない?」おそるおそる聞いてきたフェイトにしつこいと怒るわよと言ってみた。
ごめんなさいとあわてて謝ってきたのがおかしくて、つい吹きだしてしまった。
釣られてフェイトもくすっと笑った。
「じゃあ、そろそろ行こう。なのはもそろそろ限界だろうし」私は耳を疑い、もう一度聞き直した。
「すずかが攻撃を防ぐためにずっと最大出力で防御魔法使ってるから、
攻撃に回せる分が少なくなってきてるみたい。」私はまだ大丈夫だけどと付け足すフェイト。
あたしはフェイトに早く言いなさいよと言うか言わないかの間に飛び出した。