「ノエル、調子はどう?部品が所々傷んでるけど…」すずかが聞く。
「確かに、各所の部品に損傷が見受けられるようですが、
この程度の損傷ならば日常動作に何ら支障を来すことはありません」
と、ノエルさんが事も無げに話す。私たちはほっと胸をなで下ろした。
「じゃあさ、なのはのうちまで送っていってくれない?」とアリサが言った。
すずかが少し驚いた顔でアリサを見る。
アリサは軽くすずかに振り向きウィンクをした。それですずかは納得したようだ。
私は、隣にいたなのはにすずかの納得した理由を聞いてみた。
「ノエルさんは自分のことよりみんなのことを大事にするから。
特にすずかちゃんと忍さんの頼みは無理してでもかなえようとするから」理解できるような、
出来ないようなそんな答えが返ってきた。
「フェイトちゃんがプレシアさんにしてきたことと同じじゃないかな?」なのはの一言に
私は頭を鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。
確かに、私は母さんの言うことは何でも聞いて、願いは出来るだけかなえようとした。
自分が母さんの子供じゃないって分かったとしても、
なのは達を敵に回す覚悟で母さんを守ろうとした。
私は母さんに拒絶されたけど、ノエルさんはみんなに受け入れられて愛されている。
いや…あのときの母さんは多分私の自惚れだけど、優しい目をしていた気がする。
ただ、母さんのアリシアを見る目にはどうやっても敵わなかったけど…。
私は少しノエルさんを羨ましく思った。
「もし無理なら、鮫島を呼ぶから」アリサが言った。ノエルさんは軽く頭を振り、
「ご心配には及びませんよ。アリサお嬢様」ノエルさんが微笑む。
「それじゃ、決まりだね。すずか、早く準備して来なよ」アリサがすずかに向けてウィンクを送ると、
少しだけ待ってねとすずかは自分の部屋に向かっていった。