私となのはは湯船のほうを出来るだけ見ないようにしていた。
少しでも見るとアリサのすがるような視線とすずかのどんよりと重たい視線が同時に突き刺さる。
私はなのはの背中を流しながら、どうするのと聞いた。
「どうするのって言われても…とにかく事情がわからないとどうにも出来ないよ」
私もなのはに背中を流してもらって、二人で湯船のほうに向き直る。…やっぱりなんともいえない奇妙な雰囲気が覆っていた。
そういえば、ユーノはどこにいったんだろう。シャンプーの置いてあるところを見ると、ちゃんと”あった”。
ユーノは体を洗うスポンジの横でずぶぬれになって伸びている。なんだか少し幸せそうな顔をしている気もするけど…。
体を洗うスポンジのほうは、アリサ達が使った後誰も使ってないのだろう。水気がすっかり引いていた。
つまり、私となのははユーノをスポンジ代わりに使っていたと…。
「ユ、ユーノ君、しっかりして」ユーノをさするなのは。ユーノは伸びたままピクリとも動かない。
「ごめんね、ユーノ君」となのはは、脱衣所に置いてあったユーノ専用のタオルにくるんで籠に入れた。
「天罰が下ったのよ」とアリサがボソリと言う。
「あは、あははははは」なのはの顔が少し引きつっていた。