少しまどろんでいるときに、私は夢を見た。
「なのは、ちょっととーさんのところに行ってくるからお留守番お願いね」
誰だろう?小学生くらいの子供が申し訳なさそうに言う。
「うん、おねーちゃん。行ってらっしゃいなの」明るくなのはが返事する。おねーちゃんってことは、美由希さんだろうか。
美由希さんが出て行ったあと、一人ぼっちでリビングにたたずむ。
少しテレビを見たけどすぐに消して、用意してもらっていたお菓子とジュースを冷蔵庫から取り出して食べる。
ふと、目から涙があふれてきそうになるのをぐっとこらえる。でも、こらえきれずに少しだけ涙がほほを伝った。
一人でいるのは慣れてきたはずなのに、やっぱり寂しい。
自分の部屋からぬいぐるみを持ってきて抱いていると、不意に意識が途絶えた。
気がつけば、周りが暗くなっていた。少し長い時間眠っていたみたい。
リビングの明かりを点けてしばらくテレビ番組を見ていると、中学生くらいの男の子がやってきた。
「おかえりなさい。おにーちゃん」多分恭也さんなんだろう。
恭也さんの手には籠が握られていた。恭也さんは籠から何かを電子レンジに移して暖めている。
しばらくして、恭也さんに呼ばれたので、テーブルのほうへ向かった。
テーブルの上には夕食と思わしきものが並んでいた。
頂きますと手を合わせて料理に手をつける。
話したいことはいっぱいあるのになぜか言葉が出てこなくて、なのはは黙々と食べている。
食べ終わってしばらくすると、もう少し店の手伝いがあるからと再び出かける恭也さん。
それを見送り、テレビを見ながら時間を過ごす。お風呂も一人で湯を張って入った。
もうちょっと起きていればみんな帰ってくるかなと思いながら眠い目をこすって起きているけど、
我慢できずに仕方なく自分の部屋に戻ってベッドの中に潜る。
うっすらと目じりに涙を浮かべながらそのまま眠りについた。
「おかーさん…」