私ははっと飛び起きた。目からあふれる涙をごしごしとぬぐってなのはをみた。
もしかしたらなまじ暖かい生活をしている分、なのはのほうがつらかったのかもと思った。
私の小さいころはアリシアから借りてきた記憶しかないけど、やさしい母さんと楽しく過ごしている。
その記憶が少し前まで、私のよりどころだった。
…多分、私が生まれてからはずっと母さんにつらくあたられてばっかりだったけど、
リニスやアルフがいたから大丈夫だった。
でもやっぱり愛情を注いでもらったことって無かったような気がする。
その時はアリシアの記憶も自分の記憶だと思ってたから母親にあえないつらさはいっしょなのかな。
なのはは、母親に甘えられないつらさを”少し”は知っているといってくれたけど、
少しどころではないような気もする。
結局はかなえられなかった母さんとの穏やかな生活。
でも、そのおかげでなのはたちに出会えた。
今振り返るとわざと私を突き放したようにも思える母さんの行動。
それは、私が母さんのことを好きだからそう思い込んでいるだけかもしれないけど
最初からこういう結末になることを知っていたのかもしれない。
でも、だったらどうしてあのときに私を苦しめるようなことを…