「そう言えば、さっきの通信は何だったんだ? アラートって訳でもなさそうだったが」
咳払いを一つすると、クロノが言った。
「あ、そうそう。30分くらい前に、ミッドチルダのこの辺りで妙な魔力反応があったの。ホントに一瞬だったから、まだ何とも言えないんだけど…」
「まさか…ロストロギア!?」
「それはないと思う。検知した魔力、そんなに大きくなかったし」
「CPUの回答は?」
「検索データなし。類似したパターンもデータベースにはないみたい。少し前に、5人チームの小隊が調査に出たの…そういえば、そろそろ連絡来てもいい頃なんだけど…」
「こちらから呼びかけてみよう」
そうだね、とエイミィがキーボードを叩く。
「こちら司令室。聞こえるか? 状況報告を頼む」
クロノの問いかけに、応答はない。繰り返し尋ねてみても、結果は同じだった。
「エイミィ、現地の映像出せるか?」
「やってみたけど、無理みたい。武装局員が直接行ったのも、そういう理由だし」
「それじゃあ、彼らの現在地は?」
「ええと………OK、5人とも反応あり。反応のあった場所には到着してるみたい」
ディスプレイには、5人の生存を示すマークが点滅していた。
「妙だな…」
「クロノ君…?」
「艦長は?」
「まだ本局から戻ってない。多分、あと2時間くらい」
「そうか…。エイミィ、僕が出る。この場所なら10分程度で転送できるはずだ」
「構わないけど…クロノ君が行くまでもないんじゃないの? もう少し待ってからでも遅くないと思うんだけど」
クロノは踵を返すと、転送ポートの方へ歩き出した。
「そうだといいんだが…少し、気になることがある。なのは達には黙っていてくれるか。余計な心配をかけさせたくない。艦長にも、帰ってから僕が報告する」
「うん、分かった。気をつけて、クロノ君」
「信用してないのか?」
「まさか。ちゃんと『信頼』してるよ」
光に包まれたクロノを、エイミィが笑顔で送り出す。瞬く間に、クロノの姿は消えた。