―時空管理局本局内『無限書庫』―
「ユーノ君!」
トレーニングを終えた2人は、アースラの転送ポートで管理局本局を訪れていた。
フェイトは本局での手続きを、そしてなのはは、大切な友人に会うために。
「なのは! どうしたの?」
積み上げられたの書物の間から、ユーノが顔を出した。
「どうしたの?本局に用事?」
「ううん、用事があるのはフェイトちゃんで、私は特になかったんだけど。
ユーノ君に会いたいなって思って」
「そ、そうなんだ…」
なのはの笑顔に、ユーノが頬を染める。
「凄いねこの本の数。遺跡の調べ物?」
「うん。無限書庫の本はほとんどが未整理だけど、検索魔法をうまく使えば
かなりの事が調べられるんだ。さすがは時空管理局って感じだよ」
「検索魔法かぁ…ユーノ君、防御とか結界以外にもそういうのも得意なんだよね。
すごいなぁ」
「なのはやフェイトみたいに、戦闘で活躍できるタイプじゃないからね、僕は」
苦笑するユーノに、そんなことないよ、となのはは笑顔で言った。
「そういえば、クロノは来てないの?」
「クロノ君はアースラに残ってるの。私とフェイトちゃんの特訓に付き合って
もらったから、今は休んでると思う」
「それはまた…何ともご苦労様だね…」
「え?」
「いや、何でもないよ」
「何か、含みのある言い方だったね、ユーノ」
2人の脇に、フェイトが現れた。
「フェイトちゃん、用事は終わった?」
「うん。嘱託関連の書類の提出が一つだけだったから。久しぶり、ユーノ。
(もしかして、お邪魔だった?)」
「じゃ、邪魔って…別に」
「ユーノ君?どしたの?」
「あ、いや、何でも!(フェイト!念話でそーゆーのはやめてくれ!)」
くすくすと笑うフェイトに、苦笑いのユーノ、そして事態をよく飲み込めていない
なのは。三者三様の表情が、彼らの関係を如実に表していた。
「2人共、今日はどうするの? 本局の方に泊まっていくの?」
「ううん、今日はもう戻らなくちゃ。母さんも入れ違いでアースラに戻ったみたいだし。
クロノにも、心配かけちゃいけないから」
「あはは、クロノ君、心配性だもんね」
「そっか。今度またゆっくり話せればいいんだけど。送っていくよ」
そう言って3人が部屋を出ようとしたとき、なのはとフェイトの通信機が鳴った。
『なのはちゃん、フェイトちゃん、聞こえる? クロノ君が!!』