―再び、船艦『アースラ』司令室―
「嘘…」
信じられない、といった面持ちで、なのはとフェイトは顔を見合わせた。
「ごめん…。クロノ君がトレーニングから戻るちょっと前に、別世界で魔力反応があって
…武装局員と連絡が取れなくなったから、クロノ君が単独で捜査に…」
「それで、クロノ君は? 無事なんですか!?」
「うん…ずっと通信防御が展開されてたんだけど、少し前にそれが一瞬だけ解除されて…
それで、これが」
エイミィが悲しげな表情で、スクリーンに映像を映す。そこには、クロノとほぼ
同年齢の、銀髪の少年の姿があった。そして隣には、剣を喉元に向けられたクロノ。
『時空管理局の皆さん、こんにちは。ご覧の通り、そちらの執務官のクロノ・ハラオウン
さんを預かっています。古典的な手段で悪いんですけど、こちらの要求を伝えますね。
そちらの本局が保管しているロストロギア、『センターポイント』を持ってきてもらえますか?
制限時間は24時間以内。それじゃあ、ヨロシクです』
プツン、と映像が切れた。
「…映像はここまで。とりあえず、クロノ君は無事みたいだし、他の5人のバイタルも
確認できた。それでも、向こうの人数は不明だし、突入しようにも不確定な要素が多すぎて…」
エイミィが肩を落とす。目元には、涙が浮かんでいた。
「…やっぱりあの時、私が止めてればよかった。闇の書事件があってからクロノ君、
『グレアム提督とリーゼ達の抜けた穴を、少しでも僕が埋めなきゃ』って、ずっと
無理してたのに…それなのに…」
「エイミィさん…」
なのはとフェイトが、エイミィの肩に触れた。
(フェイトちゃん…)
(うん…私達みんなの中で、エイミィが一番、クロノと付き合いが長いんだもんね…)